監督
もしもし?柊しず____…
雫
何で私の電話番号をご存知なんですか?
監督
……合ってたようで良かったよ
監督
あの早熱ベイビーに教えてもらったんだよ、許せ
雫
……まぁ、今私から連絡しようと思ってたので大丈夫ですけど……
雫
どうしましたか?
監督
お前も俺にクレーム入れに来たんだろ?
雫
そうですけど……
雫
冷静になって芸能界の事を考えると仕方ない事だと理解したので、きっていいでしょうか?
監督
めちゃくちゃ腹立ててんじゃねぇか
監督
ま、そこで詫びと言っては何だが
監督
アイに映画の仕事を振りたい
雫
映画……
雫
有難いお話ですけど、何故私に連絡を?
監督
条件がある
雫
……と、言うと?
監督
お前とアイツも出ることが条件だ
雫
……………
雫
私は大丈夫ですけど、アクアはまだ子供ですよ?
雫
それに事務所に入っていない人材を使うと面倒なことになるのでは?
監督
何言ってる、アイツはマネージャーの子供なんだろ?
監督
ソコの事務所入らせりゃいいだろ
雫
………そうですか
雫
分かりました、私も社長にお話して事務所に入っておきますので、日程は苺プロにお願いします
監督
あぁ、助かる
雫
失礼します
ピッ
雫
はぁ………
雫
(急に映画出演なんて……)
雫
(演技なんてやったこと無いのに…)
雫
……出来ないに決まってるじゃない
サァァァァァァ……
アイ
こんばんは……今日は月が綺麗ね
主人公
え……?
アイ
貴方もこちらに来て____
アイ
一緒に月を見る………?
ゾワッ
スタッフ
カット!お疲れ様でーす
雫
お疲れ様、アイ
アイ
ありがと〜…、疲れた
アイ
次はお姉ちゃんの場面なんでしょ?
アイ
頑張ってね!
雫
ええ……
スタッフ
アイさん、ちょっと
アイ
あ、は〜い!
タタタ…
雫
…………、、
雫
(考えてたらいつの間にか撮影日……)
雫
(カメラにどうやって表情を見せたら良いの……?)
雫
(主人公にどんな声色で話しかければ……)
雫
(あぁ…、分からない……)
雫
……どうやったら、アイみたいに____
スタッフ
柊さんお願いします!!
雫
っあ、はい…
スタッフ
カット143!
パチンッ!
タタタタッ
主人公
はぁ、はぁ……!!
主人公
………!
雫
……何処に行くの…?
雫
逃げられないわよ……?
スタッフ
はいカットカット!!
雫
ビクッ
スタッフ
柊さん、えっと、もう少しなんか……なんていうんだろ
スタッフ
もっと、人間らしさを消して不気味さを引き出してもらわないと……
雫
す、すみません……
雫
(___人間らしさなんて、人間に無くせって言う方が頭おかしいんじゃないの……?)
雫
(不気味ってなに?わからないわよそんなの)
雫
(何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で)
雫
……分かんない…………、、、(ボソッ)
アイ
___お姉ちゃん
雫
!
アイ
分かんないよね、私達にそんな事
アイ
皆、恵まれた環境が当たり前
アイ
私達の体験した、捨てられる恐さなんてわかんないんだよ
アイ
でもお姉ちゃんは私みたいに最低じゃないから、嘘が吐けないんだよね
アイ
お姉ちゃんは優しいもん
アイ
だから、嘘は吐かなくていい
アイ
お姉ちゃんは、皆に求められたことを実行すればいいだけなんだよ
雫
アイ………
アイ
人の心を読むの、得意でしょ?ニコッ
雫
!
雫
(あぁ、もう……)
雫
……そうね、得意よ
雫
(どこまで眩しいんでしょうか、この子は)
雫
ありがとう、アイ
アイ
どーいたしまして!
スタッフ
カット143!
雫
(ここで私に求められていることはただ一つ……)
パチンッ!
タタタッ
主人公
はあ、はぁ……!
雫
___何処へ行くのかしら?
主人公
え……
フワッ…
雫
まだ夜は明けてないわ……
雫
ニガサナイ……(フッ)
雫
(人間の想像を超える事)
ゾクッ……
主人公
っあ____………
スタッフ
………!?
監督
(っ、これはこれは)
監督
ただの心写じゃねえか……
スタッフ
お疲れ様でしたーー!!
雫
……………、、、
雫
(夜が明けた……)
雫
……この世界って、綺麗だったのね___
ミヤコ
雫さん、帰りますよ
アイ
眠い〜〜!!!
雫
あ、はい
ブゥゥゥゥゥン……
雫
___アイ
アイ
ん?
雫
今日はありがとう
雫
アイのお陰で私は嘘を吐けたわ
アイ
もー、だからお姉ちゃんは嘘を吐いてないよ
雫
……貴方は
雫
私の太陽よ(ニコッ)
アイ
……………
アイ
…あははっ!
アイ
なんだか、告白されてるみたい!
雫
告白よ?ある意味
アイ
ありがと!
アイ
………あっ!
雫
どうしたの?
アイ
私が太陽なら、お姉ちゃんは……
アイ
私の力を借りて輝く、月だね!
雫
………っ!
アイ
…あれ、お姉ちゃん?
雫
……ふふっ、そうね
雫
もっと輝いて、私を輝かせて頂戴