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風海
風海
風海
風海
友人の夏生くんは、学校の帰り道
アスファルトの真ん中で突然しゃがみ込んだ
そして重たい口ぶりで呟いた
夏生
風海
一発目に出た言葉がそれだった
風海
風海
風海
風海
風海
風海
夏生
普段あまり怒らないはずの夏生くんが叫んだ
風海
何を淡々と返してんねん、
と僕は自分自身に突っ込んだ
夏生
風海
夏生
風海
夏生
夏生
夏生くんはおもむろに立ち上がり、ぐんと手足を伸ばした
夏生
夏生
風海
青すぎるほどの青空の下
僕達は何てことない感じで駄菓子屋に向かった
唯一いつもと違ったのは
横ではなく縦に並んでいることだった
それはそれで良さげだとも思った
風海
気付いたらアイスを食べ終えていた
夏生
風海
夏生
夏生
微妙に不自然な会話の中
パン、とわざと音を出して夏生くんは手を合わせた
夏生
人殺しでも食事の挨拶は欠かさないらしい
案外そういうものなのだろうか
首を傾げながら棒を捨てようとすると
目の前に夏生くんの棒が差し出された
夏生
風海
夏生
風海
夏生
風海
夏生
風海
夏生
二人で笑い合ったかと思うと
夏生くんは急に真顔になった
夏生
風海
風海
夏生
風海
風海
その言葉は嘘じゃなかった
けれど手の中の当たり棒が
僅かに曲がったことも確かだった
風海
夏生
風海
夏生
夏生
風海
夏生
夏生
風海
一縷の望みを懸けた
夏生
その逆ギレで確信した
風海
風海
夏生
夏生
夏生
風海
僕は静かに当たり棒をベンチに置き
夏生くんの前に立ちはだかった
風海
風海
風海
風海
風海
夏生
夏生くんも立ち上がり
至近距離で睨み合う羽目になった
誰も殺してない、とも
誰が殺した、とも言えなかった
特に、水基くん自身が殺した、とは
口が裂けても言いたくなかった
風海
咄嗟に出たその答えが
自分の本当だと思った
風海
風海
風海
風海
風海
夏生
夏生
夏生
夏生
夏生
夏生
風海
夏生
風海
夏生
夏生くんは僕の胸ぐらを掴んだ
その手がブルブル震えていたので
僕はますます夏生くんが可哀想になった
風海
夏生
風海
風海
夏生
風海
夏生
夏生
夏生
風海
風海
夏生
脱力したようにベンチに腰を落とす夏生くんを
静かに見下ろしながら
僕も同じくらい苛立っていた
風海
風海
風海
夏生
夏生
夏生
夏生
夏生
夏生
膝に両手を置き
俯きながら叫ぶ夏生くんは
殺害予告をするには礼儀正しすぎた
風海
風海
風海
夏生
風海
夏生
夏生くんは泣きながら笑った
風海
風海
風海
夏生
夏生
夏生
夏生
泣けない僕の代わりに
大粒の涙を流してくれていた
それが今の僕にとっては、本当に救いだった
風海
風海
風海
風海
風海
風海
風海
風海
夏生
風海
僕は当たり棒を交換しに行った
ソーダが売り切れで、次はレモンになった
風海
夏生
風海
夏生
風海
夏生
半分だけのアイスを
さっきより長く味わっていた
夏生
風海
夏生
風海
夏生
風海
夏生
夏生
風海
夏生
風海
夏生
夏生
夏生
夏生
夏生
夏生
ベンチに堂々と仰け反る夏生くんは
小学生の頃と変わらぬ面影で
万が一誰かを殺しても
そのままであってほしいと願うほど
こういう夏生くんが僕は好きだった
夏生
風海
夏生
風海
風海
夏生
風海
夏生
風海
アイスを食べ終えた
途端、蝉の鳴き声が大きくなった
“蝉のクライマックスセックス”
ふと思いついたそんな単語は
決して笑い事ではなかった
蝉にとっての7日間は
壮大な人生の全てだ
そんな当たり前の事実を
今更になって理解していた
風海
僕は夏生くんを真似てしゃがみ込んだ
風海
夏生
風海
夏生
風海
夏生
風海
店主
店主
風海
夏生
夏生
風海
小学生の頃、この駄菓子屋は
水基くんと夏生くんと僕の三人で
鬱陶しいくらい訪れていた
そのことを店主はすっかり忘れているだろう
それはそれで幸せなのかもしれない
などと勝手なことを思いながら
僕達はまた何事もなかったかのように
横一列で帰り始めていた
夏生
夏生
風海
夏生
風海
夏生
風海
夏生
風海
夏生
風海
やっぱり本当のことは分からないままだ。