柴 大寿

柴大寿の沼は深かった

以上

私は逃げていた

靴も履かずに

どのくらい走っていたんだろう

私は酷く息を切らしていた

ｻﾞｯｻﾞｯ

逃げなきゃ。

逃げなきゃ、

それでも体が言うことを効かない

思うように声が出ない

男の人はしゃがみこんで私の頭を撫でてくれた

大寿さんは少し悩み口を開いた

私は大寿さんに

父や母は仕事はせず

朝から晩まで私が仕事をして

生活費などを出していること

少しでも失敗したり機嫌を悪くしてしまえば

殴られること

私が家でされていることを全て話した

先程にも話したが

私はお風呂に浸かった事がない

父と母の機嫌しだいでシャワーも浴びれない日があった

なんて言って私は泣いた

話していてわかったことがある

大寿さんは言い方は冷たいが

とても優しい人ということ

両親はもう亡くなっていて

両親の代わりに

大寿さんが妹、弟を育てていること

今まで私を助けてくれる人はいなかった

"……大丈夫守ってやるから"

温かい

人の体温に触れたのは久しぶりだ

大寿さんは話の中ずっと真剣に聞いてくれていた

大寿さんは優しく頭を撫でてくれた

続く