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田中 凛

別れよ

玲王

……え?

玲王

なにいってんの……お前…俺から離れるって……?

田中 凛

もう玲王のその重い愛、耐えられないよ。

田中 凛

元々私、重い愛好きじゃない。

待ったをかけられた。

けどちょっと考えた。

玲王は私のことを愛しすぎている。

盗聴、盗撮するくらいには…。

玲王

ほんとに……ほんとに言ってんのお前……

同情だって出来やしない。

玲王

ほんとにお前の本心かよ。

だからそうだって言ってんじゃん。しつこいな。

田中 凛

本心……に決まってんでしょ。

玲王

っ……

玲王

待ってよ…まだ待って…って

待ったをかけられた。

もうほんとに面倒くさい。

玲王

もうちょっと考えろよ……!

田中 凛

ちょっと考えたからこう言ってんじゃん!

玲王

……わかったよ。もう……関わんなクソ。

田中 凛

そっちこそ……絡んでこないでよね。

やっと……別れられた。やっと……!

やっと……自由だ!

なんで……

なんでなんで

玲王

……なんでなんだよ。

なんで……俺の愛が重かったから?

けどそんな俺も愛してくれるってあいつは言った。

そんな俺も受け入れてくれるって言った。

そんな俺も大好きだって言った。

なんで……なんでなんで……!

俺はあいつをこんなに愛してるのに……なんでなんで!

玲王

なんでなんだよ……!

誰もいない教室の机をどかんっと蹴り飛ばす。

ひとつ蹴り飛ばし、もう感情の収集がつかなくなってしまった俺は、物音に気づいて凪が止めてくれるまで暴れまくった。

田中 凛

うっわ……傑作♡

田中 凛

私で玲王が狂ってる……ああ、可愛い……っ♡

反対側の校舎から暴れて机を蹴り飛ばしている玲王を見つめる。

もともと愛が重い方だと思ってたけど、ここまでとは……傑作♡

人を惚れさせて狂わせるのってなんでこんなにも楽しいのだろう…!!

凪が止めに来て、玲王は落ち着いた。

その途端、何故か急に興奮が冷めた。

田中 凛

……凪ごときで止められるのかよ。

田中 凛

愛、重くないじゃん。なんだ……そんなもんか。

田中 凛

つまんないの。もっと酔わせてから捨てるべきだったか。

たかがその程度か玲王…つまんな これこそホントの_______

ド屑♡

玲王

……っ!

凪 誠士郎

玲王やめろ。なにやってるんだよ。

いつもは面倒くさそうにしている凪が焦って表情で彼をなだめている。

玲王

…凪…俺あいつに捨てられた。

凪 誠士郎

……やっぱり

玲王

なんで……?なんでやっぱりって…

凪 誠士郎

あいつはそんなもんだよ。

玲王

…俺の愛が重かったから捨てられて…

凪 誠士郎

違う。あいつはそういうやつだ。

まるで凪と玲王の会話は噛み合っていない。

玲王が一方的に暴走している。

凪 誠士郎

あいつは人の絶望する顔みて快感覚えるやつだ。

凪 誠士郎

ここで玲王がへこたれたあいつの思うつぼだよ。

玲王

わかってたよそんなの。だから今……

玲王

こんな表情してあいつをまた戻そうとしてるんじゃんか……♡

凪 誠士郎

……玲王、お前もだいぶやばいな。

どこかで凛、お前か見てるのは知ってる。

玲王

俺はこういうもんだから仕方ない。

玲王

依存対象が必要なんだよ……♡

玲王

これでまたアイツが俺を絶望させようとアプローチしてくる。

玲王

それがたまらない♡

凪 誠士郎

何回目だよ……玲王……そろそろ目、さませよ……!

凪 誠士郎

なんで……そんになったんだよ玲王。

凪 誠士郎

戻ってきてよ……サッカーしてた頃の玲王。

あの凪が取り乱しそうになっている

玲王

おれはもうそんなもんじゃなくて凛が欲しいんだよ♡

あいつがおれを求めてくれるのが本望だけど、凪が俺を求めてるのも気持ちいい……♡

玲王

もう凪だって必要じゃない……♡俺はただ、あいつが欲しいだけ……そういうやつだ俺は。

凪 誠士郎

なんで……なんで玲王。

凪 誠士郎

待ってよ……戻ってきてよ。間違ってるよ……玲王。

玲王

俺が間違ってるわけないじゃん。凪。

俺を求めてる凪……ああ……いい!♡

そんな玲王……知らないよ……玲王。

玲王

戻るわけないじゃん。

玲王

俺はこの自分が1番好きだ。

玲王

凛をおってる時の俺が……♡

凪 誠士郎

……っ。

凪 誠士郎

……だからって……

もう……無理なんじゃないの。玲王を戻すの。

確かにためらった。

玲王

なんでかなぁ……なんでなんかなぁ……

玲王

お前だって潔だって千切だって俺のこの考えを否定する……ただ俺はあいつが好きなだけなのに……!

凪もあいつも俺を求めてくれる……♡ 元宝物と今の宝物が俺を求めてる…気持ちがいいっ!

凪 誠士郎

……。

もう無理だ……諦めるしか。

凪 誠士郎

もう……玲王……なにいっても変わらないからもういいよ。

ちょっとためらった。

けど凪はそんな言葉を発した。

玲王

……凪……なんなんだよお前。

玲王

お前まで俺を見捨てるのか!?

凪 誠士郎

玲王、支離滅裂だよ。

凪 誠士郎

もう、玲王と関わりたくない。

凪 誠士郎

バイバイ、玲王。めんどくさいよ。

玲王

……は!?

玲王

なんだよお前!?

玲王

なんでなんでなんで……!

玲王

こんなこと望んでない!

玲王

なんでなんで……!

そんな俺に見向きもせず、凪はどこかへ行ってしまった。

なんでなんでなんで!なんでみんな俺から離れていくんだよ!

俺はこんなに尽くしてるのに、なんでみんないなくなるんだよ!

どういうつもりなんだよ…お前ら。

玲王

俺に……従えよ。

怜央が……絶望してない!私は……玲王……黙って私の思い通りになってよ!

私欲望に染ってよ!

田中 凛

……玲王……玲王!

姿勢を崩して泣きじゃくる凛。玲王の名前だけを必死に呼んでいる。

玲王の絶望する顔が見たいと言っておきながら、結構依存していた凛は、大好きな人を振ってまて得ようとしていた絶望の顔を見られずに、生気を失っていた

ねぇ……!……私に従ってよ!

お願い……

お願い……

お願い

お願い……!

玲王

……凪もあいつも。

玲王

なんで俺の思い通りにならない!

玲王

クソっ!

先程のように机を蹴り飛ばして教室を散らかす玲王。

なんでみんな俺の思う通りにならない!

なんでみんな俺から離れていく!?

嫌い嫌い……俺はなんで……こんなんになったんだよ……

なんで……こんな絶望しているのだろう。

いつからこんなことになったのだろう……疑問が湧き出てくる。

けど……!

けとみんな、黙って俺に従えよ……!

お願い

お願い

お願い

お願い!

お願い……

お願い……!

お願い…!

お願い!

お願い!!

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