krpt 短編

木製のブラインドから覗く朝日は, 俺の身体を優しく包んでくれる心地がした.

と彼に問い掛ける. きっと起きている事だろう。

乾いた笑を溢れさせながら, 何時ものつっこみをしてくれる.

不機嫌なのか良く分からない返事を適当に返し,その場を流す. 俺は此奴と居る,何時も通りの 平和な日常が愛おしくて堪らない.

ぐｩ..

限界まで溜めた息を吐き出す. ...どうせ自分も何も食べてない癖に.

俺は素直に己の身体に答える. たっつんとは違うからね~っ

がさがさ と食品庫を探す. と云ってもがさがさ なんて擬音が使える程,物が有る訳では無い.

最近のお気にのパンのストックが無くなっていて,今日1凹んだ. ...まぁまだ始まったばっかなんだけど 笑

気が変わったのはたっつんがそう言うからだ ..とかは一生言う事はないだろう.

今日も平和な言葉を交わし,1日が始まる.

...はは..

..夢見過ぎだよな.

何やってんだろ,

誰も居ないのに 2人分の御飯用意して、

壁相手に話し掛けて.

...もういいや,

俺は何時も彼奴に助けられてた. 彼奴が居ないと生きられない. 生きる意味が無い.

寝て,夢で黄と暮らそう.

あれ今黄の声...? でも良いよね, また会えるからさ.

そう思うと同時に,俺は新しい生活の銃声を聞く事が出来た.

─────また一緒に.

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ ｰ解説ｰ 黄はとっくの昔にこの世を去っており, 黄を愛していた緑は 黄を忘れる事が 出来ず,幻覚 幻聴を患っていた. しかし黄がこの世を去った事に 気付いていた緑は, 「たっつんが居ない世界に生きる意味なんか無い」─────. そう感じ,黄と同じ世界に逝く事を決意. 最後に霊である黄の本当の言葉が1度 だけ届いたが, それも幻聴だと錯覚し,世を去った. 最後の 「俺は新しい生活の銃声を聞く事が出来た.」 は 銃声を聞く⇒スタートする つまり,第2の世界 天国で新しい生活を始める事が出来た = 自分で命を絶つ と云う意味.