寧々
主人公寧々です
寧々
今日は、私1人みたい
司
だーれがひとりだ!
司
俺がそんなことさせない!
えむ
私も私もー!
類
フフ、僕もね
寧々
…せっかくゆっくり出来ると思ったんだけど……まぁいいや
寧々
本編スタート
神宮高校・1-B 教室
寧々
…はぁ
紫色の無気力そうなその瞳
今日はその瞳が、どこか黒で染められているように見えた
寧々
(今頃、司何してるのかな……)
寧々
(…自分が記憶障害ってこと…わかんないで、どうやって過ごしてるの?)
寧々
(…何も知らないで生きる方が、怖い)
寧々
(私はそう思う)
寧々
(けど…)
寧々
(私のせいで……)
類
寧々、どうしたんだい?
寧々
え…な、なんで2年のアンタがここに…
類
遊びに来たのさ
類
まぁ、これからのワンダショのこと……かな
寧々
…!
類
わかってると思うけど、現在座長の司くんは入院中…
類
…まともにショーをする人数ではないし、このままフェニックスステージの皆さんに頼ってばかりではいられない
寧々
じゃあどうするの?私たち……ショーを出来なくなるの?
類
それは大丈夫さ、司くんが戻り次第勿論、すぐにショーの構成を作ろうと思ってる。
類
…だけどやっぱり、代理の座長として、誰か推薦するべきだと思ってるんだ
類
寧々はどう思う?
寧々
うん、それでいいと思う
寧々
それで?代理は誰かするの?
類
多数決で決めれたらいいなと思ってるよ
類
えむくんは、どうやら僕にやって欲しいみたいだけどね
寧々
へぇ……私もアンタでいいと思う
類
え?本当にいいのかい?
類
司くんみたいに出来ないけど…
寧々
私やえむよりマシでしょ……
寧々
第一、フェニランのお嬢様に座長任せるわけないでしょ
類
まぁ、それはそうかもね
類
それじゃあ、代理として座長は僕がやろう
寧々
わかった
類
それじゃあ、僕はもう行こうかな
類
またね
寧々
うん、また
放課後
寧々
失礼しま…
寧々
……?!
咲希
お兄ちゃん昔ね、私と一緒にショーを見に行って…
咲希
それから、お兄ちゃんショーが好きになって…
寧々
……っ
咲希
私、ショーをしてる時のお兄ちゃん大好きで…
咲希
……大好きで…
咲希
…あ、お兄ちゃんとね、その何ヶ月か後にお人形さんでショーの真似をしたよね!
咲希
あ…覚えてない?そっか…
咲希
…昔、お兄ちゃんが今の私みたいにお話してくれたんだよ
咲希
それでね……
寧々
…
寧々
(私…)
寧々
(なんで…)
寧々
(こんなに…人に迷惑かけて、悲しませて……全部、全部全部……)
寧々
(私は……)
「寧々には、トラウマを克服して、 ショーで胸を張って楽しんで欲しい」
寧々
(無理だった……)
「類は克服したんだな…」
寧々
(類みたいに……)
寧々
(トラウマを克服して胸を張れるような人間じゃない…)
寧々
…ごめん
寧々
……みんな
寧々
(これを気に…抜けるのもありかな)
寧々
(これ以上、迷惑をかけたくない)
寧々
(逃げるみたいになっちゃうけど…そんなことずっとやってきた)
寧々
(…逃げることに慣れちゃった私なら)
寧々
(もう、なんでもいいよね)
寧々
……
えむ
…あ、寧々ちゃん
類
寧々、今日は早いね
寧々
……あ
寧々
る、類……その、話があって…
類
?そうか、それじゃあ司くんのいるところで……
咲希
みんないらっしゃい!入って入って!
寧々
あ、うん……
寧々
(言わなきゃ……ちゃんと辞めるって…)
寧々
……
類
寧々、それで話って?
司
…あ、みんな!む、話?
えむ
どうしたの?
寧々
…………えっと
寧々
その…
寧々
……わ、わたし、ワンダーランズ×ショータイムを……
類
?
寧々
…やめたいの
数年前のあの日
あの劇団で、私は努力して 歌も演技も、実力を伸ばした
やっと選ばれた主人公役
嬉しくって、心が弾んだ
みんなにも褒められて
幸せ
だった
セリフをうっかり忘れてしまった
私のミスで大事なショーは大失敗
みんなに迷惑をかけた挙句
私は辛くなって逃げた
ひとりの世界に逃げたんだ
それから人前に出るのが怖くなった
自然に誰かを助けようとすることも 無くなった
どうせ足を引っ張るだけだから
今の私も、そうだ
みんなの足を引っ張って
迷惑をかけるいらない子
人前に出れないし
ショーで何回も大失敗の原因になる
いらない子
私って
なんのために生きてるのかな