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両腕を上に伸ばし、 小さくあくびをする。
俺は所謂インフルエンサー。
主にYouTubeやX、TikTok、 Instagramなどで活動している。
だが、普段は普通の大学生だ。
どうやら早く着きすぎたようで、 誰もいない講義室で1人、 バッグの中からスマホを取り出し、 少しだけ…と、Xを開く。
@Hi-ro_nico おはひーろ〜!🪼 朝からマクド行ってきた〜! ハッシュドポテトとアップルパイ めちゃうまでした♪🫶 💬718 🔁2525 ♥️8160
「ハッシュドポテトと 好物のアップルパイで 大喜びのHi-roくん可愛いっ、♡」
「相変わらず美しいおてて… 🫰ファンサありがとうございます!!」
「朝食べずに会社直行予定 だったけど…マック寄ろ((」
「陽キャぶってるだけだろ、w」
「キショ、w」
そこでスクロールする手を止めた。 いくら反応がたくさん来ていても、 全て良いものとは限らない。 アンチはこういう活動につきもの だし、有名になり、ファンが 増えるにつれて、そういう人も 増えてきているのは知っていた。
けれど、どんなにたくさん アンチコメントが来ようと、 まだまだ慣れてはいない。
だから、少しもやっとして、 アンチのことなんか忘れよう、と 頭を横に振った。
左耳の、十字架のピアスが揺れた。
俺の活動は、アンチの為でも、 最初のように自分の為でもない。 ファンの為なのだ。 そう言い聞かせた。
そしてまた、スクロールする。 時折、独り言を呟きながら。
他の人から見たら、かなり 異様な光景だろうが、既に 俺の中では日常となっていた。
というか、今は誰も講義室に いないから見ているだけだ。 活動が周りにバレたら困るから、 普段から、誰かが来ると秒で閉じる。
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急に隣から声を掛けられ、 驚いてしまう。
🐤
と、笑っているこの赤髪は、 大神裏ト。
大学に入り、ぼっちライフを 謳歌しようとしていたところ()、 たまたま隣に座った、陽キャ りうらに話しかけられ、 友達になった。((
そして今では、馬が合うので しょっちゅう2人で ご飯を食べに行ったり 旅行に行ったり…… という仲だ。 多分大学内では一番の親友。
彼は、俺がビビりなのを 知ってやっているのだろうか… いや、別にお化け屋敷とか、 そういうのは大丈夫だけど、 ただ、集中してる時に、急に 声を掛けられたり肩を叩かれたり するのが本当にダメなのだ。
🐤
「何してんの?」と言い、 覗き込もうとしてくるので、 慌ててスマホをバッグに入れた。
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「えーっとねぇ…」と、 再びスマホを取り出し、推しの Xのプロフィールを開く。
そしてそれを、りうらの 顔面に突きつけて
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プロフィールを見せ、 「いれいす」と言った瞬間 から、しばらく目を見開いて フリーズしていたりうらだったが、 俺が、我ながら凄い勢いで 悠佑さんの魅力について熱弁 しだすと、我に帰ったように それを止められた。
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……目線が合わない。 そっぽを向き、俺と目を 合わせようとしないりうら。
その整った小さい顔を 両手で掴み、無理やり こっちを向かせると、 何故だか少し照れて いるようだった。
その顔をじっ、と 見つめていると…
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と、少し照れたような 口調で言われる。
そんな顔を見ていると、 一つ思いついて…
と、勧誘してみる((
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が、即座にキッパリと 断られてしまった。
いれいすのことを、 アニキのことを、楽しそうに、 目を輝かせて語るひいろ(聖彩)を 見ていると、ふと思う。
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…そういえば、スマホケース にも、アニキのチェキとか、 シールとか、色々入ってたな… と思い出す。
そして、彼・ひいろのバッグに 目をやり気づく。
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彼のバッグに付いたアクキーの アニキを見つめていると、 ひいろが顔を覗き込んでくる。
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上目遣いにこちらを見つめ、 潤んだ瞳でそう聞いてくる。 …この人たらしが。 俺より背高いくせに 上目遣いすんな、((
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俺がそう答えると、パァッと 顔を明るくし、目を輝かせる。
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と、笑う彼。
…りうらのことも推して くれないかなぁ…なんて。
推し変を求めてるわけじゃない。 ぴよにきとしてでも良い。 アニキの次でも良いから。
そう思う俺の想いは、まだ 彼に届くはずもない。