桜兎?
………
私屋上で靴を
脱ぎかけた時に
月?
………
三つ編みの先客に
声をかけてしまった
桜兎?
ねぇ、やめなよ
月?
……え?
桜兎?
ほら、話したら楽になるかもだし
月?
(。_。`)コク
口をついて出ただけ
本当はどうでもよかった
先を越されるのが
なんとなく癪だった
三つ編みの子は語る
どっかで聞いたようなこと
月?
運命の人でした
月?
どうしても愛されたかった…ポロ
桜兎?
ッ!
桜兎?
ふざけんな!
月?
ツ!
桜兎?
そんなことくらいで
桜兎?
僕の先を越そうだなんて!
月?
………
桜兎?
欲しいものが
桜兎?
手に入らないなんて
桜兎?
奪われたことすらないくせに!
月?
話したら楽になりました…ニコ
って
三つ編みの子は消えてった
桜兎?
今日こそは…
…と靴を
脱ぎかけたらそこに
麻衣?
………
背の低い女の子
また声をかけてしまった
桜兎?
ねぇやめなよ
麻衣?
ッ…
背の低い子は語る
クラスでの孤独を
麻衣?
無視されて
麻衣?
奪われて
麻衣?
居場所がないんだよ
桜兎?
…ッ!
桜兎?
ふざけんな!
桜兎?
そんなことくらいで
麻衣?
………
桜兎?
僕の先を越そうだなんて!
麻衣?
そんなことなんかじゃッ
桜兎?
それでも
桜兎?
うちでは愛されて
桜兎?
あたたかいごはんもあるんでしょ?
麻衣?
お腹がすいた…ポロ
って泣いて
背の低い子は消えてった
そうやって
何人かに声をかけて
桜兎?
ーーーーー。
モブ
ーーーー。
追い返して
モブ
ーーーー。
桜兎?
………
僕自身の痛みは
誰にも言えないまま
桜兎?
…ッ
初めて見つけたんだ
似たような悩みの子
何人目かにあったんだ
有栖?
………
紫のカーディガンの子
有栖?
うちに帰るたびに
有栖?
増え続ける痣を
有栖?
消し去ってしまうため
有栖?
ここに来たんだよ
っと言った
桜兎?
……
口をついて出ただけ
ホントはどうでもよかった
思ってもいないこと
でも声をかけてしまった
桜兎?
ねぇ…やめてよ
有栖?
……
有栖?
…悪いけどお断りやな
桜兎?
…ッ
あぁ、どうしよう
この子は止められない
僕には止める資格がない
桜兎?
それでも
桜兎?
ここからは消えてよ
桜兎?
君を見ていると
桜兎?
苦しいんだ
有栖?
…じゃあ今日はやめとくわニコ
って
目を伏せたまま消えてった
桜兎?
今日こそは誰もいない
桜兎?
僕ひとりだけ
桜兎?
誰にも邪魔されない
桜兎?
邪魔してはくれない
カーディガンは脱いで
三つ編みをほどいて
背の低い僕は
桜兎?
今から飛びます。