私はいつものように海岸に来ていた。私の一番好きな場所だ。ここにいれば全部忘れられる……はずだったのに……
百合
さあっと吹いた風が私の長い髪を撫でる。
生きる価値のないゴミ
これは実の母に言われた言葉だ。
身体の傷も、心の傷も、どんどん深くなっていく。もう、涙も枯れて出なくなってしまった。お義父さんに欲望のままに汚されたこの体も、お母さんに毎日のように吐き捨てられた暴言も、クラスメイトに付けられた沢山の傷も、全部、全部、全部、
ここで無くしてしまいたい……
百合
そんな感情は、日に日に私を蝕んでいって、ついにどうしようもなくなってしまった
私は海の中へ入っていく、後悔なんて微塵もない
深く暗い海の闇が私を飲み込んでいく
私が口から吐いた酸素が泡となって上へ上へと上がってゆく
その姿に、過去に出会った少年の面影が重なる。この残酷過ぎる一生で唯一見せて貰えた夢……
身体中の力が抜けていく…… どんどん深く沈んでいく
これが死なんだ…… 遠のいていく意識の中、私の目には月の光がチラチラ舞っている光景が映っていた。あぁ、素敵な死だな。
さよなら、大っ嫌いだった世界
もうすぐ、君の所へ行けるよ。 私のヒーロー
??
誰?
??
何言ってるの?
??
なんて言ってるか全然分かんない
??
百合
百合
百合
目を覚ますと私は知らないベットの上にいた。汗が私の頬をつたる。 訳が分からない困惑と襲いかかってくる頭痛が私の最悪な憶測を煽る。
百合
百合
百合
百合
頭が真っ白で何も考えられない。どうして私生きてるの?どうして死なせてくれないの?私なんて……私なんて生きてる意味ないのに!!
??
??
ドアから入ってきたのは背の高い男だった。髪は女みたいに長くて体は少し触っただけで崩れてしまいそうなほど細い。
百合
??
蘭ちゃん
百合
にっこりと笑いながら蘭ちゃんがココアを渡してくれた。手に取ったココアが暖かくて涙が出そうになる。
百合
こんなに暖かいココア……何年ぶりだろう……いや、飲んだことなんか無かったかもしれない
百合
百合
ココアの温かさが身体中へ伝染していく。冷え切った体に熱が伝わっていく。
蘭ちゃん
と、蘭ちゃんが笑いながら私の頭を触ろうとする。その瞬間、私の頭をよぎったのは
なぁ、ちょっとだけ……良いだろう?♡
あいつの声だった
百合
百合
思わず手に持っていたマグカップを落としてしまった。
百合
苦しみと気持ちの悪い嫌悪感が私の体内を駆け巡る。触られるのが怖くてやっと逃げ出してきたのに、またあの生活に戻ることになりそうで……
ただただ怖かった
蘭ちゃん
蘭ちゃん
百合
彼が発した言葉でふと我に返った。 床を見ると散らばったマグカップの破片が……
百合
百合
何やってんだろう。人様のコップを割ってしまうなんて…私ってば大馬鹿者だ……
急いで破片に手を伸ばすと
蘭ちゃん
と、蘭ちゃんが私の左手に手を重ねる。予想外の行動に私は手を引っ込めた。すると彼はこう続けた
蘭ちゃん
蘭ちゃん
蘭ちゃん
百合
蘭ちゃんが私に抱きついてきた。意味がわかんない、なんで今?
蘭ちゃん
百合
蘭ちゃん
百合
なんでわかったんだろう。私がずっと泣きたかったこと。
蘭ちゃん
蘭ちゃん
あまりにも優しく言うから……優しく笑いかけてくるから……涙が止まんない
百合
蘭ちゃん
百合
蘭ちゃん
百合
蘭ちゃん
百合
しっかり泣いちゃって恥ずかしぃ もう蘭ちゃんの顔見れないよ……
蘭ちゃん
百合
蘭ちゃん
百合
蘭ちゃん
百合
蘭ちゃん
百合
百合
蘭ちゃん
蘭ちゃん
百合
百合
蘭ちゃん
百合
蘭ちゃん
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