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かわいいものが、すき。
鏡の前でくるりと一回転して改めて思った。
明るい色のぶかぶかカーディガン。
肉付きの悪い体はいっそ武器にしようと思った。
骨ばった男の骨格がカーディガンで隠れて、いい感じ。
頑張って手に入れた自慢の白い足を出した、短めのズボン。
毎日手入れをした顔にはうっすらと化粧を。
可愛いくまさんのピンなんかしちゃって。
白いシャツにリボンタイ。
くまさんの小さいバッグ。
ああかわいい。
こんなに可愛いものに囲まれていると
男を、
現実を、
突きつけてくるようにも見えた。
外に出れやしない。
こんな格好じゃ。
ぬいぐるみとか、可愛い服とか。
嬉しかったことを、可愛いを
共有したくてたまらない。
でもそれは、
人の目。世間の目。
拒まれた、否定された。
認められない。
苦しい。
自分はただ、好きなものを、好きだって。
周りと少しズレてる
ゆうと
認められたい。愛されたい。
可愛いと、愛される。
呪いみたいなその言葉が繰り返される。
いつしか愛されたいという欲望は大きくなって
自傷に走った。
傷つけた。
訳が分からなかった。
愛されたいという思いが強すぎて
寂しくて寂しくて
構って欲しかった。
関わりを持って欲しかった
可愛くない。可愛くない。
血がにじみでて醜い体に嫌気がさした。
自分でやった事だ。
後悔して余計
激しくなった自傷。
ゆうと
ゆうと
ゆうと
ゆうと
ゆうと
ゆうと
どんどん、
激しくドアを叩く音。
玄関のドアだ。
僕はこんな格好で来客に応じるわけもいかずに迷っていた。
ドアを叩く音は強くなるばかり。
ゆうと
無視するのも気が引けて僕はドアを開けた。
ゆうと
???
ドアを開けた途端勝手に押し入ってきたその男は僕よりかガタイが良くて頭2個分くらい身長差があった。
悔しい。
筋肉の差も、身長差も。
ガタイのいい体にほわほわした顔がくっついている。
しかし違和感を感じさせない彫りの深い顔。
まあ一言で言えば、モテそうな男。
ゆうと
???
ゆうと
怖いお兄さん
怖いお兄さん
ゆうと
ゆうと
???
は?
少年?
???
???
???
???
ゆうと