実況者
ドイツ対日本!2対2のデッドヒート!!!瞬き禁止のラストスパート!!!一体誰が決めるのか!!

糸師 凛
(ラストプレー!!!俺が決める!!)

糸師 凛
ここだろ!!!

糸師 凛
兄k((

潔 世一
冴!!

糸師 冴
…エゴイストが

潔 世一
ッッ!!!やっぱお前天才!

審判
ピーーーーーーー!!!!!!

実況者
ゴおぉぉおおおおル!!!

実況者
潔 世一が糸師 冴からのラストパスをダイレクトシュートで華麗に決めたあああ!

実況者
ドイツVS日本 2対3!!

実況者
日本!!!!悲願のW杯優勝です!!!

糸師 凛
(ハァッ、、ハァ、、ッ)

潔 世一
冴!!お前やっぱりクッソ天才だな!

糸師 冴
分かりきったことを言うな。くそエゴイスト

糸師 凛
(なんでだよ…)

糸師 冴
俺からのパスだ。決めなきゃ殺してた

糸師 凛
(俺、頑張ったのに…俺は2点決めた!…)

そのハイタッチの音で糸師 凛の中の何かがプツンと切れた。二度と修復できないような感じが、糸師 凛の中で何かが崩れていくような音が、耳鳴りのように響いている。
糸師 凛
(あ…俺、なんのためにサッカーやってたんだろう、馬鹿らしくなってきた。あぁ…ダメだ、何も考えられない…)

潔 世一
冴、凛のところには行かなくていいのか?笑

糸師 冴
黙れ。今から行く。

潔 世一
褒めてやれよー笑
((あいつ面倒臭いから))

糸師 冴
お前に言われる筋合いは無い。

糸師 冴
(凛はどこだ?)

糸師 冴
おい潔。凛はどこだ?

潔 世一
凛?んー…まぁあいつ疲れてたし、先にシャワーしに行ったんじゃない?

糸師 冴
そうか…
(何故か嫌な予感がするな…)

糸師 凛
(帰ったらとりあえず風呂入ろ)

糸師 凛
(あぁ…俺ってなんのためにサッカーやってたんだろう…もう怒りも湧いてこない…俺は最後までクソみたいな欠陥品だったな、)

糸師 凛
(あの時サッカーの才能がないって、兄ちゃん気づかせてくれたのに、俺が変な意地張って、あぁ…何してんだろ。)

糸師 凛
ただいま、

糸師 母
凛!おかえりなさい!試合お疲れ様!テレビでしか見てあげられなくてごめんね、本当は見に行きたかったんだけど

糸師 凛
いや、忙しい中見てくれてありがとう

糸師 父
凛!おかえり!試合すごい活躍だったじゃないか!!自慢の息子だ!お疲れ様

糸師 凛
うん、父さんもありがとう

糸師 母
試合も終わって疲れてるんだから、ゆっくりしていきなさい

糸師 凛
ありがとう、母さん。けど明日予定があるからすぐ帰らないといけないんだ。ごめん

糸師 母
そうなのね、あんま無理しすぎちゃダメよ。体壊しちゃうからちゃんと休むことも大事よ

糸師 凛
うん。

糸師 凛
シャワー浴びてくるね。

糸師 凛
はぁ…

糸師 凛
(必要なものだけ持ってどこが遠くへ行こう、、なるべく兄ちゃんにあわないようにしないと)

糸師 凛
(いつから…だめだったんだろ)

糸師 凛
(いや…本当は最初からダメだったんだ…)

糸師 凛
(俺が欠陥品で…目障りで、面倒くさくて、愚図で…ッ才能のないクソみたいな奴だから…)

その時…クローゼットにあるトロフィーが目に入り、過去がフラッシュバックする
糸師 冴
((だったらやめろ。ぬりぃんだよ))

糸師 凛
(あぁ…)

糸師 冴
((慰めて貰えると思ったか?低脳が))

糸師 凛
…ッ

糸師 冴
((もう二度と俺を理由にサッカーするんじゃねぇよ))

糸師 凛
(そりゃ迷惑だよな…)

糸師 冴
((俺にとっちゃお前はもう))

糸師 凛
(聞きたくないな…)

糸師 冴
((ただの目障りで))

糸師 凛
(あぁ、、、)

糸師 冴
めんどくさい愚弟だ…

糸師 凛
ハヒュッ…ゲホッ、ゴホッ…ぁ"…ッふヒューッ、ゲホッッ

糸師 凛
(あ゛?…あ゛れ…、息が…息の仕方が…ッわかんない、)

糸師 凛
助け゛…でッ…

糸師 凛
ゲホッ…カヒュウ…ッハァ゛…ッゴホッハァ…ッ

指先から流れる血を見たら何故か少し楽になった気がしたんだ
糸師 凛はトロフィーの破片に手を伸ばし、白く美しい肌を強く引き裂いた