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第1話 - あ

2023年09月26日

#恋愛

結城真矢

ソウシ

カナミ、明日の映画の時間、何時にしようか？

カナミ

ごめん...ちょっと今朝から熱がでちゃってさ

カナミ

多分、行けないかもしれない

ソウシ

え？大丈夫？

ソウシ

今からお見舞い行こうか？

カナミ

ううん、大丈夫

ソウシ

でも、１人で辛いでしょ

ソウシ

いつも、お母さんの看病して疲れがたまってたんだと思うよ

カナミ

う～ん...そうかな...

カナミ

でも、本当にお見舞いは来なくていいよ

ソウシ

うつしちゃったら悪いから

ソウシ

じゃあね

～翌日の朝～

ソウシ

カナミ、やっぱり心配だから今から家行くよ

ソウシ

カナミの好きな桃も買ったし、届けに行くよ

カナミ

え？なんで勝手なことするの！？

ソウシ

え？勝手なこと、って...

ソウシ

そんな言い方あるかよ！

ソウシ

心配だから言ってるのに...

カナミ

だから、心配してくれなくていい、って言ったじゃん

ソウシ

あっそうかよ

ソウシ

おかゆとかなら食べれるかもしれない、と思って材料も買ったけど、

ソウシ

なんか無駄足だったみたいだな

ソウシ

何か損した気分だわ

カナミ

勝手に言ってればいいじゃん

カナミ

私は風邪うつしたくないから言っただけなのに...

ソウシ

なんか、カナミってそういうところあるよな

カナミ

は？何が？

ソウシ

誰かが助けれくれようとしている時に、

ソウシ

そうやってきつい言い方して突き放すようなことしてる、ってところ

ソウシ

カナミの悪いところだと思うけど

カナミ

体調悪い時にそういうこと言う方が、デリカシーないと思うんだけど

カナミ

女子の気持ち考えられないところ、直した方がいいと思うよ

ソウシ

それは、最初にカナミがケンカひっかけるようなこと言ったからだろ！

ソウシ

誰だって、頭に来ることだと俺は思うけど？

カナミ

そうやってすぐに人のせいにするところも、大嫌い

ソウシ

あっそうかよ！もうどうでもいいや

ソウシ

大人しく寝てたらいいよ

ソウシ

じゃあな

~３日後～

カナミ

ソウシ、今月、少しお金貸してほしいの

ソウシ

え？また...？

ソウシ

この前、５万貸したばっかりじゃん

ソウシ

俺だって、毎回デート代払ってるんだし、そんな金ねーよ

カナミ

２万だけでいいから

カナミ

お願い

ソウシ

２万も何に使うの？

カナミ

今度、母親の大きな手術があるんだけど、少しお金が足りないの

カナミ

色んな知り合いに聞いて回ってるところで、少しずつ借りてるの

ソウシ

いいよ

ソウシ

ただし、カナミが今度お義母さんのお見舞いに行く時、俺も連れてって

ソウシ

俺、まだカナミのお義母さんに会ったことないから

カナミ

できるなら私も会わせてあげたいけど、

カナミ

ママ、身内以外の人にすっぴんで会うの嫌がるから、連れてけないよ

カナミ

ごめんね

ソウシ

別に、俺は気にしないよ

ソウシ

病室着いた時に、最初はカーテン越しに話せたらいいよ

ソウシ

両々もらえたら、直接顔見て話せばいいでしょ

カナミ

それでも、やめてあげて

カナミ

お母さんに極力ストレス与えるようなことはしたくないから

ソウシ

恋人と会うことがストレスになるの？

ソウシ

そんなこと、聞いたことないんだけど

カナミ

私がそう思うから言ってるの！

カナミ

詳しい理由なんて、そんなに聞かなくてもいいじゃん

カナミ

本当にしつこいな

ソウシ

分かった

ソウシ

じゃあ、２万貸してやるよ

カナミ

ほんと！？ありがとう！

ソウシ

その代わり、今からカナミの家に直接渡しに行くよ

カナミ

え？今から？

カナミ

私、今は外出してて家にいないから、いつもみたいに銀行に振り込んで欲しいの

ソウシ

いや、俺が直接渡しに行きたいから、行かせてよ

ソウシ

いいでしょ？

カナミ

私、今いるところから家まで２時間くらいかかるの

カナミ

今日は歩いて移動する時間が多いから、急ぎたくないんだって

カナミ

疲れるじゃん

ソウシ

別に、急がなくていいよ

ソウシ

俺がカナミが返ってくるの待ってるから

カナミ

こっちがソウシの時間無駄にしたくないからいつも振り込みでいいよ、って言ってるのに、

カナミ

どうしてその優しさを素直にもらおうとしないの？

カナミ

いつも強引だし...

ソウシ

直接渡しに行けないんだったら、２万円は貸さないよ

カナミ

もういい！別の人に頼むから！

～翌日～

カナミ

ライト、明日の待ち合わせ、どこにしようか？

ライト

いつものところでいい？

ライト

駅近くの広いカフェで

ライト

そこでモーニングしてから、買い物行こうか

カナミ

うん！そうだね

ライト

俺、カナミの家まで迎えに行くよ

ライト

何時くらいならいい？

カナミ

え～と...１０時くらいでいいかな？

カナミ

それまでに準備できるよ

ライト

了解！

ライト

じゃあ。それぐらいに行くから準備して待ってて

カナミ

うん！ありがとう

カナミ

ライトはいつもお迎え来てくれて、優しいね

カナミ

自慢の彼氏だよ

ライト

俺こそ、カナミは自慢の彼女だよ

ライト

俺のためにキレイにメイクしてくれるし、会うたびに可愛くなってるし...

ライト

俺があげるバックとかネックレスとか、ちゃんとつけてくれるしね

カナミ

だって、プレゼントされたものはしっかりつけないと、

カナミ

もったいないしね

カナミ

ライトがプレゼントしてくれるもの、全部ブランドもの新作だから、

カナミ

私もおしゃれしててめちゃくちゃ楽しいよ

ライト

よかった

ライト

楽しんでもらえて

ライト

カナミなら、何つけても似合うよ

カナミ

嬉しいな～そう言ってくれて

ライト

可愛い子のことは可愛い、って言わないとね

ライト

女性の努力をしっかり見てあげないといけないから

カナミ

私、もっと頑張りたくなるよ

カナミ

明日、楽しみにしてるね

ライト

うん、１０時に行くからゆっくり準備しておいて

カナミ

～翌日１２時頃～

ライト

カナミ、今ちょっと駐車場探しててさ

ライト

この前、オーダーした鞄なんだけど、俺が駐車場探してる間に取りに行ける？

カナミ

うん、分かった

カナミ

着いたら、連絡するね

～５分後～

カナミ

ライト、お店の前ついたよ

カナミ

ここで待ってたらいいかな？

ライト

いや、受け取っていいよ

カナミ

え？先払いしてくれてたの！？

カナミ

さすがライトだね～

カナミ

気が回るな～

ライト

え？まだ払ってないよ

カナミ

え...？待って...どういうこと？

ライト

だから、まだ払ってないから合計の値段、７万払ってね

カナミ

え！？なんで！？

カナミ

プレゼントじゃなかったの！

ライト

え？俺、そんなこと言ってないよ

ライト

カナミが欲しい鞄がある、って言って、ついて行って

ライト

「これがほしいな～って言ってたのは聞いたよ」

ライト

でも、在庫がないから取り寄せてもらうのを頼むまで、俺はやったよ

カナミ

それで、その時に支払ってくれたんじゃないの？

ライト

払ってないけど？俺、そんなお金なかったもん

ライト

まさか、俺が全額払うとか思ってた？

カナミ

いや...そうは思ってないけど...

ライト

だよな～カナミはそんな図々しくないよな

カナミ

でも、ごめん...値段までその時見てなかったから、

カナミ

さすがに７万円も払えないからキャンセルするよ

ライト

え？キャンセル料も、お金かかるよ

カナミ

え？そうなの？

ライト

うん、しかも全額ね

カナミ

え！？無理だよ！そんなお金、払えない！

ライト

払えるだろ

ライト

俺以外の男にプレゼントされてるブランドもの売れば

カナミ

え？待って、何言ってるの？

ライト

俺も、今まで気づかなくて本当にバカだったよ

ライト

この前沙、急に非通知から連絡かかってきて、

ライト

「あなたの彼女のカナミと付き合ってる彼氏です。ソウシ、って言います」

ライト

とかいきなり連絡来てさ

カナミ

え！？ソウシから！？

ライト

さすがに俺もビビったよ

ライト

そのソウシ君、カナミのこと色々調べたんだって

ライト

ソウシ君に母親が入院しててその入院費を払わないといけないから、って言って、

ライト

デートにかかるお金全部ソウシ君に任せてたらしいじゃん

ライト

ありえないんだけど

カナミ

そんなことまで聞いて...

ライト

まだまだあるよ？

ライト

手術にかかるお金を出せないから、って言って、

ライト

今まで、合計で１２万借りたらしいじゃん

カナミ

お金に困ってたのは、本当なの

ライト

は？うそだろ

ライト

借りた金は全部、自分のコスメとか、エステとかに使ってたらしいじゃん

カナミ

だって、ライトに会うには見合う人になりたかったんだもん

ライト

そもそも、俺浮気するような軽い女と付き合うなんてしたくないから

ライト

それに、俺以外の１０人くらいの男にも、同じようなこと言えるんでしょ？

カナミ

え？ちょっと...なんのこと言ってるの？

ライト

今更、とぼける必要なんてないだろ

ライト

もう全部ばれてるんだよ

ライト

カナミがマッチングアプリで１０股かけてること

ライト

そうなんだろ！？

カナミ

私、だって...ブランド物の鞄とか、アクセサリーとか...

カナミ

自分で払うことなんてできなかったから、しょうがなかったの

ライト

それで、金持ってそうなやつにアプローチかけて、

ライト

ブランドものの鞄とかアクセサリーが欲しいがためだけに、

ライト

「好きとか適当におとせるようなこと言って、裏では俺らのことバカにして笑ってたのか」

カナミ

違うよ！そんなんじゃなくて...

カナミ

ブランド物の鞄とか、ライトが初めてプレゼントしてくれた時がうれしくて...

カナミ

それで、また欲しくなっちゃって...

カナミ

気づいたら、ブランドもの集めるために、プレゼントしてくれそうな人と付き合ってたの

ライト

やっと、本当のこと言ったか

ライト

それじゃあ、そのブランドの鞄も買えるよな

ライト

今、家にあるブランドの鞄とか、ネックレスとか売れば

ライト

合計８０個暗いあるらしいじゃん？

カナミ

え？なんでそんな詳しい個数まで...

ライト

だってそれは...他に浮気してる男たちがカナミの家にいるからさ

ライト

ほら、みんな自分がプレゼントしたもの、見つけてるよ

ライト

ほら、この動画

カナミ

え！？ちょっと待って！

ライト

カナミ、いつも俺がプレゼントしたものつけてくれてたけどさ、

ライト

誰からプレゼントしてもらったか見分けつけるために、

ライト

彼氏の名前をつけたボックスとかタグ作って、そこに収納してたんだな

ライト

家に行ったとき、かたくなにクローゼットとか見せてくれなかったから少し不振だったんだよ

カナミ

これは、さすがに売れないよ...

カナミ

だって、プレゼントしてくれたものだし、そんなもの手放すなんて

ライト

別に、俺らは誰も、カナミとの思い出なくすことにためらいなんてないよ？

ライト

むしろ、今すぐ消し去りたいところだから

ライト

だから、これ今すぐ売ってきて

ライト

それで、俺らに今まで払わせたお金、時間かけてでもいいから返してけよ

カナミ

そんな全部合計したら、とんでもない金額になっちゃう...

ライト

うん、なるだろうな

ライト

でも、今ここにあるもの、全部売ったら結構な金額になるんじゃない？

ライト

俺らの苦労分かるんだったら、返せるよな？

カナミ

でも、私ほとんど服はライトたちがくれたものだから、

カナミ

着るものなくなっちゃう...

ライト

俺らに服の代金の定額を渡せば、カナミがもらえばいいじゃん

ライト

でも、それができないんだったら売って、

ライト

代わりにぼろい古着でも買えよ

ライト

ボロ着でも、カナミなら似合うだろ

カナミ

そんなの、いきなりしたらストレスになっちゃう

ライト

俺らがカナミの浮気のこと知ってどれだけ腹立ったか...分かってる？

ライト

反省して、ちゃんと返してけよ

ライト

じゃあ、家で待ってるからちゃんと来いよ

～後日談～

ソウシ

それからカナミは家に帰ってきた後、10人の彼氏が作成した請求書にそれぞれサインをし、

ソウシ

バイトをしながら時間をかけてブランド品の服やバックの代金を払うことで、

ソウシ

なんとかことに結末を売ったみたいです

ソウシ

着る服は今までに来たことがない中古のボロボロな服を着ているそうで、

ソウシ

がらりと変わった生活様式に慣れず、毎日最近は泣いているみたいです

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結城真矢

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