蜩 聖葵
先生…
弱り果てた先生に、俺は声をかけた
先生はゆっくり振り返った
リユ
せ…
先生は俺の名前を言いかけ、考えるように黙り込んだ
田噛 歩香
はぁ…黙り……
ウザ…
ウザ…
歩香が俺の後ろでボソッと呟いた
蜩 聖葵
ちょ、歩香……
こいつ、よくボソッと本音言うんだよな……
リユ
…なんで来たの
俺たちに背を向けながらそう質問してきた
蜩 聖葵
そんなの、心配だからに決まって…
リユ
なら……
リユ
心配してんなら来んなよ!!
蜩 聖葵
…!
式神 榎戸
先生…?
リユ
僕は今、誰にも会いたくない……
誰にも見られたくない…
誰にも見られたくない…
リユ
だから、ほっといてよ……
先生は子供みたいにそう言った
柏葉 依兎
先生……
柏葉 依兎
どうして、こっちを見ないんですか?
田噛 歩香
あ、そういえば確かに
式神 榎戸
てか…さっきもそうだった気がする……
リユ
……
蜩 聖葵
…先生
完全に黙り込んでしまった先生に、どう声をかければいいか分からない
でも一つだけ、伝えたいことがあるから、少し緊張するけど、口を開いた
蜩 聖葵
先生、俺夢を見たんです
蜩 聖葵
先生の妹と会いました
リユ
え…?
蜩 聖葵
リアって子ですよね…
その子と話した
その子と話した
リユ
り、リアと?!
先生は驚いたように声を荒らげ、ついにこっちを見た
その姿は角が生えてて口周りが血だらけだったけど、俺は触れずに話を続けた
蜩 聖葵
…あくまでも夢ですが
でも、すごく現実的だった
でも、すごく現実的だった
リユ
…夢の中のリアはなんて言ってたの……?
何か希望を見つけたような表情で、先生は俺に尋ねた
蜩 聖葵
俺たちのことをずっと見てるとか…
死んで欲しくないとか……あと…………
死んで欲しくないとか……あと…………
蜩 聖葵
「お兄ちゃんを助けて」
リユ
……!
蜩 聖葵
リアはそう言ってました
リユ
…そっか
蜩 聖葵
先生
蜩 聖葵
俺の事、助けようとしてくれてありがとうございます
蜩 聖葵
…今回だけじゃない
俺達が高校生の頃も、沢山助けてくれた
俺達が高校生の頃も、沢山助けてくれた
蜩 聖葵
優しい先生に沢山助けられた
だから、今度は俺たちが先生を助けたいんです
だから、今度は俺たちが先生を助けたいんです
リユ
…優しくなんかないよ
ただ自分の生徒だから助けただけ
ただ自分の生徒だから助けただけ
リユ
生徒に助けてもらうつもりは無いから
蜩 聖葵
……生徒とか教師とか関係ない
蜩 聖葵
今回は仲間として助けたいんです
リユ
…仲……間
先生はポカンとした顔をこちらに向けた
式神 榎戸
……そうだね
式神 榎戸
僕達、仲間だもんね!
リユ
……
田噛 歩香
先生、なんでそんな驚いてんですか
リユ
えあ、えと……
柏葉 依兎
互いに助け合って頼りあう…
仲間だから当たり前のこと
先生も、私たちのこと頼ってください
仲間だから当たり前のこと
先生も、私たちのこと頼ってください
リユ
……
リユ
…うん
リユ
ありがとう
先生はほっとしたように笑った