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第1話 - あ

2023年05月25日

#恋愛

結城真矢

アキ

ちょっと！マキさん！

アキ

一体あなたは今どこにいるの！

マキ

いったいどうしたんですか義母さん

マキ

さっき夕ご飯の買い物に行くって声かけたじゃないですか

アキ

私の可愛い孫ちゃんがどこにいるのか知らないかしら？

マキ

コウタなら私と一緒に買い物中ですよ

アキ

そんな！美味しいお菓子がせっかく手に入ったから

アキ

孫ちゃんに食べさせてあげようと思ったのに...

マキ

義母さん、この前も言ったじゃないですか...

マキ

コウタはまだ3歳なんですよ？お菓子なんか食べさせすぎたら健康にも悪いですし...

アキ

私たちの子供の頃はそんなの無かったわよ？

アキ

それに子供はいっぱい食べてこそなんだから！

アキ

ね？

マキ

いや...もう最近はそんな感じじゃないんですよ

マキ

お菓子ならあげる時に義母さん呼びますから、それで我慢してください

マキ

勝手にあげるのだけはやめてくださいね

アキ

なによ、私の息子と結婚したのに

アキ

私の子供の教育方針が間違っているっていうの？

マキ

そうは言ってないですけど...

マキ

これは夫とも相談して決めたことなので...

アキ

あの子がそんなこと言うわけないじゃない

アキ

ほんと、嘘つきって嫌だわ

マキ

えぇ...？

マキ

別に嘘ついてないんですけど....

マキ

そう思うなら本人に聞いたらいいんじゃないですか？

アキ

そんなあの子を疑いようなことできないわよ

アキ

ほんとにマキさんは...

アキ

私が子育てを1から全部教えてあげるって言ってるのに...

マキ

だから結構です

マキ

それで、結局用事はコウタの居場所だけですか？

アキ

当たり前じゃない！

アキ

なんで私があなたの居場所なんて気にするのよ

マキ

はぁ...

アキ

あ、でもそうだ

アキ

何か和菓子買ってきてちょうだいよ

アキ

甘いものが欲しいの

マキ

じゃあ買っていきますね

マキ

帰ったらまた連絡します

アキ

センスのいい和菓子、期待してますからね！

アキ

じゃあよろしくね〜

マキ

はぁ...わかりました...

マキ

私が選んでいいんですね？

アキ

そんなこっちは頼んでる側なんだもの〜

アキ

マキさんなら私の好物くらい知ってるでしょうからねぇ

アキ

じゃ、また後でね〜

〜次の日〜

マキ

義母さん！いったいどういうことですか

アキ

あらぁ？どうしたのマキさん

アキ

こんな朝早くに連絡なんかしてきて珍しいわねぇ

アキ

それとも今どきの主婦って意外と楽なのかしら？

マキ

なにいってるんですか！

マキ

昨日私が義母さんに買ってきたお菓子、捨てましたよね？

マキ

ちゃんとした和菓子屋のものなのになんであんなことするんですか？！

アキ

あぁ、だってマキさん買ってきたの羊羹でしょ？

アキ

私お菓子の中でもあれが特に苦手なのよね～

アキ

まさか自分の義母の好みすら知らないとは思わなかったわ

アキ

ごめんねマキさん！

マキ

一口も食べずに捨てる必要なんかないですよね…！

マキ

ずっとあんなことばっかりして楽しいですか？

アキ

なんのことかしら？

アキ

あんなことって一体何か私、まったくわからないわぁ

アキ

年寄りをそんな虐めないでくださいねぇ

アキ

だいいちね、私の好みなんか息子に聞けばわかるでしょ？

アキ

なんであんなもの買ってきたのかわからないわぁ

マキ

……そのあなたの息子さんが羊羹って言ってたんですけど

マキ

ほんとうにああいうことするのはやめてください

マキ

誰の得にもならないじゃないですか

アキ

あら、そうなの

アキ

あの子も間違えることはあるのかもね

アキ

ま、間違いは誰にでもあることだからね

アキ

マキさんも気を付けて頂戴ね！

マキ

はぁ…

マキ

そうですか

マキ

分かりました、私が悪かったです

マキ

義母さん

アキ

いえいえそんな！

アキ

分かればいいのよ、分かればね

アキ

あ、そうだ

マキ

今度は何をしろって言うんですか？

アキ

孫ちゃんのことだけど

アキ

やっぱり習い事とか早めにさせたほうがいいと思うのよねぇ

アキ

マキさんはどう思う？

マキ

いや…私はまだ早いと思いますけど…

マキ

やっぱり三歳じゃまだ体もできてないし好きなことも決まってないと思うので…

アキ

えぇ！そんな考えなのね今の人は！

アキ

大きくなってからだと大変よ？

アキ

だってマキさん、なにか得意なことあるの？

マキ

そんないっぱいはないですけれど…

アキ

ね？！

アキ

マキさんみたいにほら、特化型っていうのもいいかもしれないけど

アキ

今はそんな人、使えないって言われちゃうからねぇ

アキ

習い事、どうかしら？

マキ

あの…

マキ

別にお菓子捨てたりとかその他もろもろは気にならないんですけど

マキ

私たちの子供の教育について口出しをするのはやめてもらえますか？

アキ

なによ？

アキ

私はいいと思って言ってあげてるのに！

アキ

そんなに義母が気に食わないのね…・

アキ

あぁ酷い酷い

マキ

酷い酷いじゃなくてまともに話聞く気ありますか？

アキ

あぁ、またいじめられたぁ

アキ

辛いわぁ

アキ

息子に相談しなきゃ…

マキ

そんなに言うならこの家から引っ越したら

マキ

どうなんですか？

マキ

引っ越し代金ぐらい出してあげますよ？

アキ

まぁ！

アキ

この家から追い出して野垂れ死ねっていうの？！

アキ

あぁ、最近の子はほんとに情が薄いのねぇ…

マキ

そんなこと言われても……

マキ

そもそもうちに押しかけてきて勝手に部屋に入って

マキ

二世帯住宅よ～なんて言って住み始めたのは義母さんじゃないですか

アキ

あぁ、そうよ！

アキ

じゃあマキさん私たちにマンションでも買ってちょうだいよぉ

アキ

それがいいわね

マキ

いや、うちにそんな収入はまだないですし夫も反対すると思いますけど…

アキ

そんなわけないじゃない！

アキ

息子は私の事大好きなんだからねぇ

アキ

きっと大賛成してくれるはずだわぁ

アキ

そうと決まったら内見とかもいかなきゃね～

アキ

忙しくなるわよぉ

マキ

はぁ…

マキ

まぁ見るだけならタダだからいいんじゃないですか？

アキ

決まったらまた言うわね～、じゃあね！

～１ヶ月後～

アキ

マキさんマキさん

アキ

ありがとうねぇ

マキ

どうされたんですか義母さん？

マキ

何が決まったんですか？

アキ

まーーた、そんなしらばっくれちゃって！

アキ

この前に言ったじゃない？

アキ

マンションでも買ってちょうだいよって

マキ

ああ、義母さんおっしゃってましたね

アキ

それでそれで？

マキ

いえ、特に何もないですけど

アキ

えぇ？

アキ

隠さなくてもいいのに―！

アキ

もう、サプライズがしたいのかしら？

マキ

本当に何のことかわからないんですけど…

マキ

何が言いたいんですか？

アキ

最近引っ越しの準備、マキさんたちしてるじゃない？

アキ

あれはこの家を譲ってくれるからなんでしょ？

マキ

はい？

マキ

何言ってるんですか？

アキ

もぉ～、いいのよそんな

アキ

知らない振りしなくても！

マキ

知らない振りも何もしてないですよ…

アキ

私たちにこの家を譲ってくれるなんて本当にいい息子と娘を持ったわぁ

アキ

これで老後も安心ね！

アキ

あ、孫ちゃんは週一で連れてきてね！

マキ

あれ…

マキ

なにも夫に言われてないんですか？

マキ

多分今日舅さんに連絡行くと思いますよ？

アキ

ん？権利書かしら？

マキ

いえ、契約の更新書類ですよ

マキ

この家、賃貸なので支払う人を変えるための書類ですね

アキ

へ？

アキ

え…？こ、この家って買ったんじゃないの？

マキ

そんなわけないじゃないですか

マキ

転勤が多くなるから、家は買わずに賃貸にしようって最初に話してたんですよ

アキ

え、じゃあ、家を譲ってくれるって話は…？

マキ

そんなの最初からしたことないじゃないですか

マキ

義母さんがマンションを買ってって言った時も

マキ

私、見るだけならタダですからって言いましたよね

アキ

そんなこと言ったって無理よ！

アキ

だって、もう家もらえるって夫には言っちゃったもの！

アキ

夫も大喜びだったのよ！

アキ

すごい恩返しをしてくれるんだなぁって言って感謝してたのに！

マキ

だってもともとは義母さんの勘違いじゃないですか

マキ

そんなこと私たちに言われても無理ですよ

マキ

だいたい、貯金だって義両親でされてるんですよね？

マキ

それにもうすぐ年金も入るし仕事だってされてるじゃないですか

アキ

あの…それが…

アキ

えっと、もう老後は安心だっておもったから…

マキ

え？まさか…？

アキ

夫も仕事、今日退職するのよ…

アキ

それに貯金もこの際だから最低限以外は使っちゃおうって思って

アキ

私が旅行を予約したのよ！

マキ

あらら、大変ですね

マキ

この家、家賃１５万くらいするので

マキ

頑張って払うか

マキ

引っ越したほうがいいんじゃないですか？

マキ

あとは旅行をキャンセルするとかしかないですね

アキ

それが、旅行はキャンセルできないプランにしちゃったのよ！

アキ

ハワイに二週間行くプランで契約しちゃって…

アキ

ど、どうすればいいのよ……

マキ

頑張ってくださいね…

マキ

ちょっと私たちも支援できないので

マキ

自分たちでどうにかしてください

アキ

え、あ、そうだ！

アキ

息子ちゃんは何か言ってないの？

アキ

ほら、義母さんになにか支援してあげようねとか

アキ

きっと言ってるはずだわ！

マキ

特に何も言ってないですよ？

アキ

そんなわけない！

アキ

息子ちゃんをここまで育てたのは私なのよ！

アキ

感謝してるんだからこんな仕打ちするはずないわ！

マキ

本当に何も言ってないですよ

マキ

話題にも挙がってないですね

アキ

あなたのせいね！！

マキ

はい？

アキ

あなたが息子ちゃんをたぶらかして私をいじめさせてるのね！

アキ

訴えてやる！

アキ

あなたみたいな女と結婚させたのが失敗だったわ！

マキ

何言ってるんですか笑

マキ

そもそも勝手な勘違いをして困ってるのは

マキ

義母さんのせいじゃないですか

マキ

そんなことをいちいち私のせいにしないでくださいよ

アキ

あなた…なんて性格悪いの！

アキ

息子ちゃんに言って目を覚まさせてやるわ！

マキ

はーーー

マキ

どこまでお花畑なんですか？

マキ

そんなに自分がかわいそうだとか被害者だって思うなら

マキ

しっかり教えてあげますよ

マキ

『さすがに気持ち悪すぎるだろ』

マキ

これなんだと思いますか？

アキ

あなたが勝手に言ってることでしょ！

アキ

黙りなさいよ！

マキ

これ、あなたの息子さんにいわれたことですよ？

マキ

全部義母さんからの嫌がらせとかちゃんと見せて相談してたので！

アキ

そ、そんなこと

アキ

息子ちゃんが言うはずないわよ！

アキ

私信じないわ！

マキ

ふーーん、まぁ信じないならそれでいいんじゃないですか？

マキ

事実なので

アキ

そ、そんな言いつけるなんて卑怯な人間ね！

アキ

ほんとうに育ちがよくわかるわ！

マキ

さっきまで言いつけようとしてた人の発言とは思えないですね笑

アキ

ふん

アキ

もういいわ

アキ

それより次の家の住所、教えなさいよ

アキ

色々送ってあげるから

マキ

いや、普通に教えませんけど

アキ

はぁ？！

アキ

なによ

アキ

孫ちゃんにもの送ってあげるのすらダメなの？！

マキ

前回もそういって教えたらうちに無理やり引っ越してきましたよね？

マキ

もう無理ですよ

マキ

あ、それにたぶん義母さんでは来れないですよ

アキ

まだ足腰までやられてないわよ！

マキ

海外なので

アキ

嘘でしょ……

マキ

本当ですよ！

マキ

引っ越しの代金もだいぶ高いので、貯金とかも使い切ったなら絶対来れませんよ

マキ

ま、どこの国かも言いませんけどね

アキ

せ、せめて家賃くらい助けてよ！

マキ

いやですよ笑

マキ

最後にハワイ旅行

マキ

楽しんできてくださいね笑

～後日談～

マキ

どうやらあの後、真実を知った義父さんに義母さんは

マキ

こっぴどく叱られたらしいです

マキ

どうにかこうにか謝罪し続けて私たちの住所を聞いた義母さんは

マキ

国際郵便で菓子折りを送ってきました！

マキ

すっかりおとなしくなった義母さんですが正直反省していないと思うので

マキ

しばらくは関わらないでおこうと思います

マキ

今回の転勤と言い、やっぱり人生タイミングって大事ですね！

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結城真矢

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