テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
休日の午前11時 駅前の時計台の下は、の澄んだ青空が広がっているのに肌を刺すような風が吹き抜けていた
mz.
僕は、約束の時間の15分前には到着し、何度もスマホの画面で時間を確認していた
cl.
人混みの向こうから、ゆっくりとした足取りで歩いてくる姿が見えた 僕は思わず息を呑んだ
mz.
cl.
言葉選びの下手な自分がもどかしい 「めちゃくちゃ綺麗だ」 なんて、口が裂けても言えなかった
cl.
mz.
買い物の目的は来週に迫ったサッカー部の遠征に持っていく防寒具や、ちょっとした雑貨を見るためだった
お洒落なセレクトショップを巡りながらころんは 「これまぜちに似合いそう」 「あ、これは僕とお揃いにしちゃう?」 と、僕を翻弄してきた
買い物を終え少し暗くなり始めた午後5時 駅前の広場はイルミネーションが点灯し幻想的な光に包まれていた
cl.
mz.
ー嫌な予感がした
自販機の前で小銭を探しているころんの背後に見るからにチャラついた男2人組が近づいていった
お兄さん(1)
お兄さん(1)
cl.
cl.
お兄さん(2)
お兄さん(2)
男の一人がころんの細い手首を掴もうとした ころんは困ったように眉を下げどこか遠くを見るような掴みどころのない瞳で立ち尽くしている 動きのゆっくりな彼はこういうとき強く拒絶するのが苦手だった
mz.
mz.
低い声とともに僕は男たちの間に割って入った ころんの前に立ちはだかりその華奢な肩を自分の大きな手のひらでぐっと引き寄せる
cl.
mz.
サッカーで鍛えた体躯と普段の爽やかさからは想像もつかない鋭い視線に男たちは一瞬怯んだ 「なんだよ、チッ」 と舌打ちを残し男たちは人混みへと消えていった
静寂が戻る 僕の手はまだころんの肩を抱いたままだ 急に我に返った僕は心臓が爆発しそうになり慌てて手を離した
mz.
mz.
cl.
cl.
ころんは少し潤んだ目で僕を見上げ、フワッと微笑んだ あのすべての始まりとなった日と同じ笑顔だ
cl.
mz.
僕は焦ってマフラーに顔を埋めるようにして目を逸らした また言葉選びが下手になってぶっきらぼうな物言いになってしまう
cl.
cl.
ころんはそう言って温かいミルクティーの缶を僕の頬にピトッと当てた 冷え切った肌に缶の熱さがじわりと広がる
mz.
mz.
ころんは僕のこのオドオドした反応を 「親友としての照れ」 だと疑っていないはず その掴みどころのない優しさが、僕の胸をきゅっと締め付ける
イルミネーションの光に照らされた冬の街 2人の影は長く伸びて、まるでお互いの境界線を探るように重なり合っている
cl.
mz.
縮まりそうで縮まらない、だけどこのままでいたい 2人の休日が夜の冬の寒さのなかで、ゆっくりとだけど終わることなく続いていく
終わり
お久しぶりです
#おさでぃ
ゆい
349
#ご本人様には関係ありません
コメント
1件
第2話、読ませていただきました! 「縮まりそうで縮まらない、だけどこのままでいたい」って一行がもう…胸に沁みました。まぜちくんの言葉選びの不器用さと、でも体は真っ先に動いちゃうところ、すごく好きです。ころんの「男らしくてちょっとドキッとしちゃった」に照れてマフラーに顔を埋める姿が目に浮かんで、こっちまで照れました。最後のミルクティーの缶を頬に当てる仕草、優しくてじんわりしますね…🌷 続き、ゆっくり楽しみに待ってます!