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授業中
陸が小声で言う
高瀬陸
慎は一瞬ペンを止めたかと思ったが、 視線は変わらずノートに向けられたまま。
高瀬陸
その言葉にも慎は変わらず、無反応。
陸は小さくため息をつき、慎をじっと見つめ、 頬杖をつきながら少し首を傾げる。
陸は小さく唇を尖らせた。 犬みたいにいじけるその仕草に、 隣の慎は気づくはずもない。
陸が肩をすり寄せるようにして身を乗り出す。
慎のノートをそっと傾けて表紙の裏を見る。
その瞬間――
志原慎
慎はびくっと肩を跳ねさせ、思わずペンを止めた。 慌てて目を見開くその表情に、陸はくすっと笑う。
慎の声に、周りのクラスメイトがちらりと顔を向ける。 担任の松野先生が慎の声を聞き、 「どうしたんだ、志原」と言った
志原慎
「そうか、授業中は静かにしろよー」と言うと、 松野先生は再び黒板に向き直った。 教室は再び静寂に包まれる。
ノートの端に丁寧に書かれた文字―― 「志原慎」
高瀬陸
慎は鋭い目で陸を睨みつけた。 陸はその睨みを見て、くすっと微笑んだ。