雪(みだいふく)
雪(みだいふく)
雪(みだいふく)
ロボロが、死んだ。
死因は、教えてくれなかった。
長男、次男、四男。3人に聞いたのに、誰も答えてくれなかった。
なんで?どうして?ロボロは、俺のマブダチなのに...!
葬式が行われる場所は、やけに明るくて嫌だった。
まるでロボロが天に昇ってしまうような、そんな気がして。
頭の上からは、ロボロと一緒に歌ったあの歌が流れてきていた。
昔、一度だけ俺は迷子になったことがあった。
夜だったことも相まって、怖くて怖くて仕方がなかった。
俺はその場で、泣き喚くことしか出来なかった。
そんな時、ふとききなれた歌声がした。
???
優しくて暖くて、まるで俺のことを包んでくれるような、そんな声だった。
その声の持ち主はこの世でたった一人の俺のマブダチであり、お兄ちゃんの声だった。
シャオロン
俺は必死に訴えかけた。今、今伝えないと見つけてもらえない気がして。
だから俺はひたすらに訴え続けた。「ここ!」「ここだよ!」と。
ここなんて言っても分からないことくらい知っている。だってロボロの声は微かにしか聞こえなかったから。
もしかしたらロボロは遠ざかってしまうかもしれない。それでも、俺は叫び続けた。
ふと、すぐそばにあった草むらからカサっと音がして、俺は怖くて目を瞑った。
すると誰かの足音が近づいてきて、俺の隣で止まった。
これが誰か、まず人なのか分からない。でも俺はロボロを信じて、こう質問した。
シャオロン
当時5歳だった俺の声はあまりにもか弱くて、ろくに聞き取れるようなもんじゃなかった。
それでも
ロボロ
と、ロボロは優しく答えてくれた。そして俺はそっと目を開けて隣を確認した。そこには、ロボロが空を見ながら寝そべっている姿があった。
その瞬間、俺は涙をぽろぽろと流して。ロボロに抱き着いて
シャオロン
とずっと言っていた。その後はあんまり覚えてないけど、ロボロがただひたすらに俺の背中をさすってくれていたことだけは覚えている。
あの時、なぜロボロが歌っていたのかは分からない。俺は焦っていて特に疑問を持っていなかったけど今思えばかなり変な話しだ。
聞きたくても、肝心のロボロがこの場にいなければ意味がないじゃないか、、、!!
家に帰ってからも俺は立ち直れないでいた。
ロボロに言いたいことはまだまだたくさんあった。ロボロとやりたいことだってまだまだあった。
嫌いだ。あんなやつ、あんな…
そう考えていた時、ふと窓の外に”あの時の場所”が見えた。
ロボロ
中庭を駆け回る俺とロボロ。俺の手には、ロボロの面が握られていた。
シャオロン
シャオロン
ロボロ
ロボロ
怒り口調のくせに顔が笑っているロボロ。煽りはしたけど少し焦っている俺。でもそれが楽しかった。
シャオロン
そう言い返すと
ロボロ
と、あきれた声が返って来る。
ふと目を閉じればそんなことだけが思い浮かんで、頭から離れなかった。なぁ、おい。ふざけんな!なんで俺より先に死ぬんだよ!
俺を一人にしないでくれよ。、、お兄ちゃん!
まだ、五歳の時の借りも返せていないんだから。だからさ、ロボロ。今度は俺が質問する番だ。
シャオロン
「窓の側にいるよ。」そんな声が聞こえた気がして、俺は驚いて窓の方を見た。
窓には誰も居なかった。あぁ、でもそうだな。お前はここが好きだったな。弟達の楽しそうな顔が見えるって。
絶対誰にも譲らなかったもんな。その席。
シャオロン
「何もしてへんよ。」またそんな声がした気がした。嘘つけ。そんなこと言いながら、皆の事盗撮しとったくせに。
そんで、一丁前に盗撮の写真集皆に自慢して、怒られてたよな。
シャオロン
、、、なんで、なんで何も反応せぇへんねん。ほんまふざけんな。お前なんか大っ嫌いや。
あれから、結局返事は帰ってこなかった。ほんま都合のええ奴やな。
でもな、ロボロ。俺もう自分が限界って分かってんねん。
だってな、俺どんどんやつれてきてんねん。ご飯もおいしくないから食べたないし。
運動やってもう楽しくない。勉強だって、お前に褒めてもらえないならもう必要ないし、な?
それに学校も楽しくないし、もう家族みんなと俺口聞いてへんねん。もちろん皆は話しかけてくれてるけどな。
シャオロン
シャオロン
シャオロン
シャオロン
俺、もう疲れちゃった。
シャオロン
俺もそっちに行っていいよな?
静かな部屋で一つ、小さな雫が落ちた。
雪(みだいふく)
雪(みだいふく)
雪(みだいふく)
雪(みだいふく)
目が覚めると、綺麗な場所にいた。
一瞬どこか分からなかったが、直ぐに理解した。
ここは天国なんだと。
やっとロボロに会える、と喜んでいると、前から誰かが近づいて来た。
初めは分からなかったが、段々と分かるようになった。正真正銘、ロボロだった。
俺は嬉しくて、ロボロの名前を呼んだ。そして俺に近付いて足を止めると
ロボロは俺の胸ぐらをつかみ、俺の頬をビンタした。
痛くてつい一筋の雫が俺の頬をつたった。
でも、そんな事お構いなしに
ロボロ
と、すごい剣幕で怒鳴り、続けて
ロボロ
ロボロ
ロボロ
ロボロ
ロボロ
と、とてもとても我儘な事を言ってきた。
そして、俺に話す隙も与えずに、
ロボロ
と言ってきた。その瞬間俺は深い闇へ落ちていった。
目を覚ますと、俺は自室にいて、周りには心配そうな兄弟がいた。
でもそんな事より
シャオロン
あの時ビンタされた場所がひりひりしていた。
酷いよ。つまりあれは夢でもなんでもなかったって事だろ?
もう、そっちに行けないじゃん。
泣いている俺を見て、慌てる兄弟達。本当はもう少しだけ、少しだけで良かったから余韻に浸っていたかった。
でも我儘なお兄ちゃんは、許してくれないだろうからと
俺は涙をぬぐって、包帯などを取りに行こうとしている皆に対して言葉を放った。
シャオロン
その一言を聞くなり、皆の動きは止まった。
目を見開いて俺の方を向いて、まるで次の言葉が紡がれるのを待っているかのように。
シャオロン
その瞬間、皆は涙を流した。ロボロが居なくなってから、皆俺の事ばっかり気にかけてろくに泣けていなくなったんだなと思うと、少し申し訳ないけど、本当に大切にしたい人たちだと改めて思った。
ついにショッピ君が高校を卒業した日。俺達は旅行に来た。
そして久しぶりに、旅行先で家族写真を撮った。
俺たち全員はその写真を見て、微笑み合った。
だって、その写真には、ロボロが映ってたんだから。
雪(みだいふく)
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雪(みだいふく)
コメント
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わああああ!バッドエンドもハッピーエンドも作っていただけるとは…✨本当にありがとうございます幸福です!