それは、平和な午後のことだった。
そらちゃんが赤ちゃんを抱いて中庭を散歩していると、突如、空が真っ赤に染まり、凄まじいプレッシャーが街を襲った。
そら
「な、なに!? この魔圧……敵襲!?」

そらちゃんが身構えた瞬間、脳内にジェジェの緊迫した声が響く。
ジェジェ
《 警告。……個体名:ミリム・ナーヴァ、およびシオン、シュナが、かつてない『暴走状態』に突入。……原因は、そら様が先日投稿した『赤ちゃんの寝顔写真』による、可愛さの過剰摂取(オーバードーズ)です 》

そら
「ええっ!? 理由が平和すぎるよぉ!!」

ミリム
「そらぁぁ! その子を私に抱かせろぉぉ! 我慢の限界なのだぁぁ!!」

シュナ
「いいえ、まずは私が着せ替えを……! 準備した100着のドレスが泣いていますわ!」

シオン
「私が一番高く高いをして差し上げます!」

ジェジェ
《 解析。……彼女たちの精神状態は正常ではありません。……放置すれば、テンペストは『赤ちゃんの抱っこ権』を巡る内乱により壊滅します。……そら様、直ちにこの場を離脱してください 》

そら
「そんなこと言ったって、どこに逃げれば……っ」

その時、現実のジェジェがそらちゃんの前に立ちはだかり、影から無数の漆黒の鎖を取り出した。
ジェジェ
「……やれやれ。教育が行き届いていないようですね。……そら、私の指示に従って。……今から私の全魔力を用いて、あなたと赤ちゃんを『隔離空間』へ転送します」

そら
「ジェジェ、一人で大丈夫なの!?」

ジェジェ
「……私を誰だと思っているのですか。私はあなたの『知恵之王』。……彼女たちの暴走を止め、この国を守り、そして……」

ジェジェがそらちゃんの腰を引き寄せ、一瞬だけ深く、情熱的に口づけをした。
ジェジェ
「……騒動が収まった後、静かな場所で、あなたとこの子を独占する権利を手に入れる。……これもすべて、計算通りです」

ジェジェ
《 完了。……転送を開始します。……行き先は、誰にも邪魔されない『二人の秘密の離宮』です。……さあ、そら。嵐が過ぎるまで、私に溺れていてください 》
