太宰
ねぇ、国木田君。日本語は一番難しい言語だと云われてるね
国木田
ああ、そうだがそれが何だ?
お昼休憩。私は卵焼きを口の中に放り込んだ。
太宰
でもね、わたしが一番難しいと感じる言語は中国語なのだよ。
太宰
文法は英語とほぼ同じ。注音という平仮名に似たようなものの組み合わせで出来ている。
太宰
そこに四声という声調。
太宰
これがねぇ〜難しい
わたしが得意気に話しても国木田君は右耳から聞いて、左耳に私の言葉を流す。
何故、私が突然中国語の話を始めたのかというと先日中国人?台湾人?親子に道を聞かれたから。
多少なら聞き取れるものの、親子は私が判るのをいい事に、次が次へと異国語を飛ばす。
英語交じりのカタコトな中国語でなんとか道を教え、やはり世界一の人口を誇る国の言語は買い物ぐらいできるようにしとかねばと、思った次第だ。
そして、国木田君は元教師故、何か面白い話が聞けるのではないかと少し、期待した。
国木田
難しいからなんだ、太宰貴様なら寝ている間にできるだろう
国木田
余計なことを考える暇があるならさっさと書類を纏めろ!!
私はは〜い〜と抜けた返事をし弁当の中身をかきこんだ。
国木田
太宰。
太宰
ん?
国木田
即使你不會講中文,聽不懂中文我不在乎。
国木田
你只要在我的身邊就好。
何を言っているかはさっぱりわ、からなかったが何故か国木田君は顔をうつむけていた。
そして、彼の耳はほんのりと赤く色付いていた。
喩え、私が中国語を話せなくても、解らなくても、正直私はどうでもいい。
国木田君がそばにいてくれるのならば。
私はそれでいい。
太宰
ねぇ、国木田君。さっきなんて云ったの?
国木田
しっ、知るか!!貴様には関係ない!!
国木田
昼飯を食べ終わったのならさっさと報告書を纏めろ!!
太宰
は〜い〜
ずっと、ずっと此の儘で。変わらぬように。脅かされぬように
大好きな人と毎日、盃を交わせますように