劇薬中毒
表向きは、スキンケア用品を製造する普通の工場。
――しかし、その裏では「幸せな記憶」を原材料とした違法薬物が作られていた。
その薬を飲めば、もう戻れないはずの過去へ戻れる。
大切だった人との時間。
忘れたくない幸せ。
人生で一番輝いていた瞬間。
現実を変えることはできない。
ただ、幸せだった記憶をもう一度見ることができる。
違法薬物の製造疑惑を知った衣織は、組織から命を受け、その工場へ潜入する。
目的はただ一つ。
製造の証拠を掴み、組織を壊滅させること。
そこで衣織が出会ったのは、薬の製造に深く関わる舞香だった。
最初は、ただの潜入先の人間。
そう思っていた。
けれど、舞香を知るほどに、衣織の中で何かが変わっていく。
任務のために近づいたはずなのに。
守るべきではない相手だったはずなのに。
いつしか衣織にとって、舞香は――
「あなたしか効かない」存在になっていた。
そしてついに、組織による工場への一斉突入が始まる。