「美術部のあいつ」

ｶﾞﾗｶﾞﾗｶﾞﾗｯ

もし本当に用事があるだけで、 俺の思い違いだったとしたら…

俺がなつの事を疑ってる みたいに思われそうで怖い

キーンコーンカーンコーン～～♪

らん、あいつのこと心配してたな…

言った方がいいのだろうか。

でも、

▪️

▪️

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言うなって言われてるからな、

でも…

らんは今ですらあいつを心配してる

こんな事を知ってしまったら…

らんは、

“壊れて仕舞う”んじゃないだろうか？

そんな考えばかりが頭を埋め尽くす。

らんとどう話そうか…

俺と顔を合わせたくないのかもしれない

朝会った時も、素っ気なかったし…

これは…言うべきなのだろうか。

あいつが、されていることを。

あいつが、虐められていることを。

“様子見がいい”

俺は、これでいいのか？

らんに、伝えなくていいのか？

思ってない。

あいつなら大丈夫？そんな訳無いだろ……

“虐め”は、それ程までに辛いものなんだ。

俺は、知っているはずなのに。

ﾎﾞｺｯﾊﾞｺｯｯ

ｶﾞｽｯﾄﾞﾝｯﾊﾞﾝｯｯｯ

ﾎﾟﾀﾎﾟﾀｯ

こうやって暴力を振るわれるのは、今日で何週間目だろうか。

最初の頃は“痛い”とか、“辞めて”とか、

そればっかりが頭を支配してたけど

今はもう、

何にも思わなくなった。

痛くないし、辛くもない。

でも身体は動かないし

言葉を絞り出すのがやっとで

最近、部活行けてないなぁ…

らんとも、朝しか話せてないし

この前なんかいるまに見つかって、 無様な姿を見られてしまった。

でも、

俺が傷つく分には

らんの周りにあいつらみたいなバカが居なくてよかった。

そう思うしかないんだよな。