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高橋麻呂
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カラン と店の扉が開く。 モダンで落ち着いた雰囲気の店内には客が数人とバーテンダーのみ。 『ここ、とても落ち着きやすくてバーテンダーさんも優しいのに、客が少ないので結構穴場なんですよ』 そう連れに説明するのはこの百鬼学園島を治め、百鬼学園の長である学園長こと蘆屋道満。 桔梗色の髪に皓と柘榴の瞳は、誰もが目を奪われてしまう程に美しい。 もう一人の連れは背が高い道満より更に高いが、威圧感は無く寧ろもじもじと縮こめている為可愛らしく見える。ぶんぶんと暴れるあほ毛は彼の表情と繋がっているかのように萎れたりぴんと立ったりを繰り返す。 ***
『すみません、XYZとテキーラサンライズを。晴明くんは何にしますか?』 そう道満は連れの相手に問う。 『うーん、どれも高そうで頼みにくいなぁ』 『気にしなくてもいいんですよ。今日は私の奢りですから。』 どうやら金額が不安だったようで、遠慮がちに連れの相手は選ぼうとする。 しかし、道満は今日は奢る前提できた為、遠慮はしなくてもよいと伝えた。 『ええ〜、そうですねぇ それじゃあこれで!』 そう言いながら晴明は"アラスカ"の文字を指す。度数が高いが酒に強い晴明のことなので問題は無いだろう。 ***
そのまま呑み進め道満に酔いが程よくまわってきた頃、道満は晴明の大きい手に自身の手を重ねた。 『ピャッ』 晴明は突然のことに驚いたようで、小さく声をあげる。 『あ、すみません。突然手を重ねてしまって、、、』 『いや、全然大丈夫ですよ!』 『ありがとうございます。あの、少し話したいことがあるのですが、大丈夫でしょうか?』 そう道満は晴明に持ち掛ける。 道満は晴明に恋心を抱いていたのだ。このバーに連れてきたのも、告白をお洒落にする為だった。 勿論、そんな道満の気持ちに気付いていなかった晴明は了承する。
『はい!どうぞ!』 『晴明くん、少し声が、、、』 『あ、すみません、つい、、、』 『いえ、』 この時、道満は少し焦っていた。 (まずいまずい、さっきあれだけ考えて手重ねるまでできたのに、緊張で声出ねぇ、!) そう焦りながらも声を振り絞り、体感数十秒後にようやく話を再開する。
『じ、実は私、晴明くんが好きなんです。初めは晴明の代わりだと思っていましたが、太陽のように明るく皆を照らす貴方の姿に惹かれました。どうか、付き合っていただけないでしょうか』 ようやく出た声は少し掠れていたものの、晴明に伝えるには十分だった。
『、、、まず、お気持ちはありがとうございます。』 『っ、』 絶対失敗した、と道満は直感で感じる。晴明の代わりとして見ていたツケが今になってまわってきたのか、何故今なんだと道満は後悔する。 しかし、晴明が話を再開した途端、道満のその思いは消し飛んだ。 『僕も学園長、いや、道満さんが好きです!』 『、え?』 その言葉で道満の目に光が宿る。目からはぼろぼろと涙が零れ落ち、道満の気持ちを物語っている。 『あわわわわ、泣かないで〜!』 そう言って晴明は道満を抱き締める。 『ひぐっ、ありがとうございます』 『これで晴れて恋人なんですから、泣かないでくださいよ。』 ***
二人は金を払ってバーを後にする。 外の肌寒い空気すらも心地よいと感じる程に火照った体は、家に帰っても尚冷めることは無かった。
高橋麻呂
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追記 大量に区切ることによりバグが起こらないと思っていたのですが、表示できないというバグがありました。 本当に申し訳ございません。
別部屋『妖はじ腐小説』にて全編ご覧になれますので読みたい方はそちらまで行ってくださると幸いでございます。