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いーちゃん…ッ……いーちゃん…!

夢は泣きながら、必死に鏡樹の身体を揺すった。

鏡樹

(……ゆ、め?)

鏡樹

(声…聞こえる)

鏡樹

(左目…見えない、体……動か、ない…)

鏡樹

(夢、泣いてる…私の、せい…)

鏡蘭

ほら夢ちゃん、行くよ

やっ”…離して!いーちゃんが、やだッ…!

すると鏡蘭が近づいてきて、夢を鏡樹から引き剥がし抱えた。

鏡樹

(…ッ待って、ダメよ、連れていかないで)

鏡樹

(もう失いたくない…)

鏡樹

(例え本物じゃなくても、それでも…)

鏡樹

(あの子は、私の親友よ…!)

鏡樹

……ゆ、め…ッ”…

ッ…いーちゃん…!

鏡樹

ご、めん……ゆ、め…

次第に視界が暗くなり始め、鏡樹はゆっくりと目を閉じた。

鏡蘭

やっと死んだか、結構しぶとかったな

鏡蘭

おい誰か、この女処理しとけ

鏡蘭

もしかしたらまだ生きてるかもしんねーから、一応頭に鉛玉ぶち込んどけ

梵天社員A

はい!

いーちゃん…

(違う、まだ死んでない)

(若干ではあるけど、呼吸してる)

(でも、撃たれたら確実に死ぬ)

(何とかしないと、でも…)

(足は転がった時に打って上手く動かない、私一人…武器も何も無い)

(こんなに近くにいるのに、助けられない…)

(あの時と同じだ、いーちゃんが小暮と一緒に落ちた時も)

(私は見てるだけで、何も出来なかった)

(また…なにもできない)

(嫌だ、もう…いーちゃんが死ぬところなんか見たくない)

(お願い、誰か…)

(助けて…!)

鏡樹に銃口を向ける梵天社員Aを見て、夢は思わず涙を零した。

しかし、その時だった。

梵天社員B

?おい、なんか聞こえないか?

梵天社員C

聞こえるって何が?

梵天社員B

いやなんか、車の音っつーか

梵天社員C

完全包囲してんだぞ、一般車が入ってこれるはずがねぇ

梵天社員B

それは分かってるけどよ…

ブウゥゥゥゥンッ!!

梵天社員B

お、おい!やっぱ聞こえてるって!

梵天社員C

うるせーな、気のせいだって言って…

ドオォォォンッ!!!!

梵天社員達

うわあ”ぁああ”ぁぁ”───ッッ”!?!?

すると突然ひとつの車が、車と梵天社員達を巻き込んで十字路に突っ込んできた。

…ッ!?

鏡蘭

なんだ…?

バァンッ!!

梵天社員A

ぐぁっ…!?

車が十字路に侵入すると、車内にいた人物が梵天社員Aを撃った。

そして車は鏡蘭と夢の前に止まり、車から3人の男が降りてきた。

鏡和田

悪ぃな、遅くなった

鏡和田っち…!

鏡ブックル

和田さん運転荒すぎッスよ!!殺す気ですか!?

鏡MDO

普通の道路で120キロはイカれてますって!!

鏡和田

うるっせーな、急いでたんだから仕方ねーだろ

鏡和田

いいから、お前らは花笠を車に乗せてこい

鏡ブックル

はい…

2人は不満を垂れながら、負傷した樹の元へ向かった。

鏡蘭

よう和田、久しぶりだな

鏡蘭

交流再開の交渉でもしに来たのか?

鏡和田

それもしたいところだが、今回は違う

鏡和田

俺たちの目的はただ一つ

鏡和田

夢を返せ

鏡蘭

嫌だと言ったら?

鏡和田

お前の脳天に風穴を開ける

そう言って鏡和田は、鏡蘭に銃口を向けた。

鏡蘭

おお、怖い怖い

鏡蘭

アンタは相変わらず、言うこともやることも物騒だな

鏡蘭

でもよ和田、自分の立場を履き違えるなよ

そう言うと鏡蘭は銃を取り出し、夢の頭に突き付けた。

……ッ!?

鏡蘭

お前に命令権はない

鏡蘭

夢ちゃんを殺されたくなければ、銃を捨てて降伏しろ

鏡蘭

そうすれば夢ちゃんは殺さないし、俺もお前らを撃たない

鏡和田

………………

(大丈夫、きっとこれは想定内の展開)

(鏡和田っちならきっと、いい策を考えてるはず…)

カチャッ…

え…?

鏡蘭

ニヤッ…)

すると鏡和田は、銃を遠くに投げ捨て両手を上げた。

鏡和田

…これでいいか

鏡蘭

ほんと、娘のこととなると素直だよなお前

鏡蘭

扱いやすすぎて、逆に心配になるかもw

鏡蘭

竜胆、夢ちゃんおねが〜い

鏡竜胆

はーい

鏡蘭はそう言って鏡竜胆に夢を預け、鏡和田の方へ向かった。

鏡蘭

心配すんな、夢ちゃんは殺さねーよ

鏡蘭

殺したら俺らが攫った意味もなくなるし

鏡蘭

でも、お前らは邪魔なんだよな

(じゃ…ま、?)

ま、待って鏡蘭ちゃん!

鏡蘭

ん?何夢ちゃん?

さっき降伏すれば殺さないって言ってたじゃん!

鏡蘭

うん、言ったね

鏡蘭

降伏すれば夢ちゃんは殺さないし、お前らを撃たない

鏡蘭

"俺は"ね

バァンッ!!

鏡蘭がそう言った瞬間、背後にいた梵天社員が鏡和田に銃弾を放った。

鏡和田

…ぐっ…!!

鏡和田っち…ッ!!

放たれた銃弾は、鏡和田の左肩を貫いた。 じわじわと服に血が滲み始め、激しい痛みが走る。

バァンッ!!バァンッ!!

そして先程の発砲に便乗するように、周りの梵天社員達が一斉に鏡和田に発砲した。

鏡ブックル

…ぁ”ぐ…!!

鏡和田

本田…!?

しかしすんでのところで鏡ブックルが鏡和田を庇い、代わりに銃弾を受けた。

2つの銃弾が鏡ブックルの腹部を貫き、白いシャツに赤黒い血がジワジワと広がっていった。

鏡ブックル

大丈夫…すか、和田さんッ…

鏡和田

ッ……お前、なんで…

鏡ブックル

ボス…守るのは…部下の……役目、でしょ…ッ…?

鏡和田

だからって…ッ…!

鏡ブックル

和田さ…逃げて、くださいッ…

鏡ブックル

狙ッ…われてる、このまま…じゃ、殺される…!

鏡ブックル

おれはッ…置いて、いって……足で、まといです…

鏡和田

ざっけんなッ…部下を置いていくボスがどこにいる…!

鏡和田

俺はお前らも、花笠も、夢も全員救うって決めてんだよ!!

鏡ブックル

ッ…和田さ…

鏡蘭

うーん…感動シーンに割り込むようで申し訳ないけど

鏡蘭

俺らそろそろ撤収しなきゃいけないから、悪いけど終わらさせてもらうよ

鏡蘭

安心しろ、殺しはしねぇ

鏡蘭

夢ちゃんにこれ以上、あんな顔させたくないし

鏡蘭は目元が腫れるほど泣いている夢を見てそう言った。

鏡蘭

まあでも追ってこられちゃ困るし、これだけはやっとく

バァンッ!!

鏡和田

う”ぐッッ…!?

すると鏡蘭は鏡和田の右太腿を撃ち、突然の痛みに鏡和田はうめき声を上げた。

…ッ!!

鏡蘭

それじゃあな

鏡蘭はそう言うと鏡和田に軽く手を振り、夢を連れて車に乗った。

そして何十台も止まっていたはずの梵天の車は、気がつけばひとつも無くなっていた。

十字路に残されたのは一台の車と血を流して倒れる二人、そして彼らに駆け寄る一人の男だけだった。

鏡春千夜

………ッ……

起きたか

鏡春千夜

ここは…

仮眠室、急に気絶するもんだからとりあえず運んだ

鏡春千夜

悪い…体弱ってる状態で大声出したから、多分限界きてたんだと思う

体の具合は?

鏡春千夜

だいぶ良くなってる

そうか、ならいい

鏡春千夜

………………なぁ、

ん?

鏡春千夜

なんで、助けたんだ

鏡春千夜

俺はお前らにとっては敵だ、普通ならもう殺してるはず…

鏡春千夜

手当なんかもってのほかだ

………お前は、あの日来た奴らとは違う気がした

こんなボロボロになってまで、夢ちゃんのために来てくれた

誰よりも必死だった

それにあの日、お前だけ来てなかったしな

なにか理由があるかもしれないと思って

鏡春千夜

そうか…

歩けるか?

会議室にマイキー達がいる、できれば作戦会議に加わるついでに

何があったのか、話して欲しい

鏡春千夜

…分かった、肩貸してくれ

鏡春千夜はそう言うとベッドから降り、蘭に支えてもらいながら会議室へ向かった。

ガチャッ

どーもー、鏡三途くん復活でーす

鏡春千夜

(コクッ

部屋に入ると一斉に二人に視線が集まり、蘭がお気楽にそういう中、鏡春千夜は思わず小さくお辞儀をした。

マイキー

そうか、それはなによりだ

マイキー

2人とも座ってくれ

はーい

マイキーにそう言われ、鏡三途は蘭に支えてもらいながら椅子に座った。

鶴蝶

怪我の具合は?

鏡春千夜

…よく、なってきてる……

鶴蝶

そうか、なら良かった

春千夜

目の前に怪我した自分がいるって、なんか変な感じだな

竜胆

俺は怪我とか関係なしに、この空間にヤク中が2匹いるってだけでどうにかなりそう

春千夜

んだとこの毒クラゲ💢‪

匹って虫の数え方じゃんwww

春千夜

ぁ”あ”!?

ココ

そのくらいにしろよ、話進まねーだろ

さーせーん

竜胆

以後気をつけまーす

春千夜

すいやせんしたー

ココ

ふざけてんのか‪💢‪

マイキー

お前もそこまでにしろココ

ココ

すいません…

マイキーにそう言われ少し不服に思いながらも、ココはそう言って椅子に座り直した。

マイキー

さて鏡三途、目を覚まして突然ではあるが

マイキー

何があったのか、教えてくれないか?

鏡春千夜

………………

マイキー

ゆっくりで構わない

鏡春千夜

1月28日、雪の降る冷えきった冬の夜

鏡春千夜

あの日夢は曉牙に攫われ、その後起こった曉牙と梵天の抗争で死んだ

マイキー達 「!?」

鏡春千夜の言葉に、マイキー達は思わず言葉を失った。

鏡春千夜

夢の誘拐が発覚して、蘭がひとりで奴らのアジトに奇襲をしかけた

鏡春千夜

俺たちは何も出来なかった

鏡春千夜

駆けつけた時には、現場は血の海…死体の山…

鏡春千夜

そして正面入口から、蘭が夢の遺体を抱えて歩いてきた

鏡春千夜

拷問で弱りきっていた体に、銃弾を3発も撃ち込まれ、たった数十秒ほどしか話せなかったそうだ

鏡春千夜

夢の遺体は警察に回収されないように、アジトに持って帰った

鏡春千夜

そして俺たち梵天は、一気に崩壊寸前に陥った

鏡春千夜

どうしようもなかった、何もする気になれなくて、何をしたいとも思えなくなって

鏡春千夜

でもそれから数ヶ月がたったある日、蘭が突然こんなことを言い出した

鏡春千夜

「別世界の夢ちゃんを連れてきて、俺らの夢ちゃんにしよう」

鏡春千夜

ってな…

鏡春千夜

正直意味が分からなかった

鏡春千夜

確かにそれなら本物でないにしても、夢は戻ってくるかもしれない

鏡春千夜

でも普通に考えて、そんなことしていいはずがない

鏡春千夜

だから…夢が死んだショックで、おかしくなったんだろうと思っていた

鏡春千夜

でも違った、あいつは本気だった

鏡春千夜

計画を聞いて、半ば強引に実行することにはなったが

鏡春千夜

誰も否定しなかったし、誰も止めようとしなかった

鏡春千夜

今思えばおかしかったのは、俺らもだったかもしれねぇ

鏡春千夜はそう言って、呆れたような乾いた笑みを浮かべた。

鏡春千夜

それから計画に必要な薬を作るため

鏡春千夜

お前らを巻き込んで、薬の実験を行った

鶴蝶

それってもしかして、数ヶ月前に頻発してた謎現象のことか?

鏡春千夜

ああ…俺が薬入りの箱や煙状の薬を持ってきては、効き目を実験してたんだ

鏡春千夜

そして、数万回以上の調合と実験を繰り返してできたのが

鏡春千夜

強力な幻覚薬【harutoxn0128】と

鏡春千夜

記憶を消す【Amnesia】だ

望月

記憶を消す…!?

竜胆

ちょっと待て!夢はもう2回も記憶喪失を経験してるんだぞ!

竜胆

これ以上なったりしたら、今度こそ夢が壊れちまう!

鏡春千夜

分かってる、だからお前らを頼ったんだ

鏡春千夜

あいつらは幻覚薬で自分達を本物だと誤認させ、夢の記憶を消して改ざんするつもりだ

鏡春千夜

頼む、夢を助けてくれ

鏡春千夜は立ち上がると、マイキー達にそう言って深く頭を下げた。

マイキー

当たり前だ

鏡春千夜

…!

竜胆

まず拒否なんて選択肢ねーし

春千夜

テメェが来た時点で、もう答えは決まってんだよ

ココ

その通りだ

鶴蝶

それにさっきまで話し合ってたが、全員満場一致で助けに行くって結論が出たしな

望月

本当に、来てくれて感謝してる

武臣

サポート頼むぜ、鏡春千夜

鏡春千夜

…お前ら

みんな、お前の味方だ

蘭はそう言うと、鏡春千夜の肩に手を置いた。

鏡春千夜

……ありがとう…

マイキー達の言葉の言葉に安堵した鏡春千夜は、そう言ってほほ笑みを浮かべた。

竜胆

うわっ、三途の笑顔とかチョー激レアじゃん

鶴蝶

なんか新鮮だな

ココ

待ち受けとかにしたら幸運訪れるんじゃね?

春千夜

やめろ、変なこと言うな

春千夜

こいつらの待ち受けが俺の顔になったら、マイキー以外全員まとめてスクラップにしてやる

死神じゃん

竜胆

無理心中じゃん

春千夜

ざっけんな、テメェらと心中するくらいならチンパンジーとキスするほうがマシだ

武臣

どんだけ嫌なんだよ

ちょうどチンパンジーいるし試すか?

チンパンジー

ウッキー!!ホッホッ!!

春千夜

なんでいんだよ!?

上○動物園から脱走してきた

春千夜

返してこい!!

よしりんどー、三途押さえとけーw

竜胆

はーいwww

蘭がそう言うと、竜胆は笑いながら三途を押さえ込んだ。

春千夜

ざっけんなクソ谷がァ”ァ”ァ"ァ”ァ”───!!!!

チンパンジー

オッオッ!!キイィー!!

ココ

写真撮っとこw

望月

誰か止めてやれよwww

武臣

もう収拾つかないなwww

春千夜

ゼェ……ハァ…

ちぇ、もうちょっとだったのに…

竜胆

すんでのところでチンパンジー逃げていったな

ココ

上野に帰ったんだろ

鏡春千夜

お前らいつもこんなことしてんのか?

望月

ああ

武臣

いやああじゃねぇよ、適当に答えんな望月

鶴蝶

………なぁお前ら、楽しんでるところ悪いが、そろそろ本題に戻らないか?

それな、俺も今言おうとしてた

竜胆

ヤク中のせいで無駄な時間使ったな

春千夜

んで俺のせいなんだよ!!

マイキー

おい、そろそろ黙れ

マイキーが一声上げると、騒がしかった会議室が一気に静まった。

マイキー

作戦は大体出来ている、今から話す

マイキー

まず、鏡三途を通して鏡の世界に行く

マイキー

着いたら3つのグループに分かれる

マイキー

俺、鏡三途、蘭は夢の救出

マイキー

竜胆、鶴蝶、望月は見張り

マイキー

三途、ココ、武臣は監視制御室に向かい、監視カメラを停止しデータを抜き取れ

マイキー

警備と一応奴らにも気をつけろ、もし見つかったら構わず撃て

マイキー

夢を救出したら直ぐに撤退だ

鏡春千夜

………なぁ、もし出来たらでいいんだが

鏡春千夜

鶴蝶を…助けてやってくれねぇか?

マイキー

何かあったのか?

鏡春千夜

あいつは、俺がここに来るための手助けをしてくれたんだ

鏡春千夜

拷問部屋に閉じ込められていた俺を連れ出して、負けると分かっていてマイキーに立ち向かい時間を稼いでくれた

鏡春千夜

きっとあいつは、俺と同じように拷問されてる

鏡春千夜

頼む、助けてやってくれ…!

マイキー

分かった

鏡春千夜

本当か…!?

マイキー

もちろん…お前を助けたってことは、そいつも俺らの仲間だからな

マイキー

鏡鶴蝶の救出は、竜胆と三途で行ってくれ

春千夜

分かりました

竜胆

りょーかい

マイキー

最後に鏡三途、怪我はどのくらいで治る?

鏡春千夜

今夜中に意地でも治す、痛みは薬でいくらでも飛ばしてやる

マイキー

そうか分かった、無理はするなよ

鏡春千夜

ああ

マイキー

よし…全員、計画は行き渡ったな?

マイキー

では今日、深夜3時より

マイキー 「夢の救出作戦を決行する」

To Be Continued…

ヲタ女と反社【君に捧ぐ想い】

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コメント

56

ユーザー

鏡春千夜出てきたら辺からもうギャン泣き何ですけど!!‪( ;ᯅ; )

ユーザー

梵天って高いビルだよね?どうやって登ったんかな、、、?

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