家に入り、手を洗うため 台所へと向かうとそこには 割烹着を着た日本が 立っていた。
日本は俺が帰ってきた ことに気づくと、パッと 笑顔の花を咲かせた。
日本
日帝
日本
日帝
そう言いながら、 日本はたけのこを 手に取っていた。
日帝
日本
日帝
日本
日本が目を丸くして 驚いているのを横目に 手を洗ってから椅子に かけてある割烹着を 手に取る。
日本
日帝
『…だめか?』
そう尋ねると、 日本は。
日本
日本が嬉しそうに 微笑んだ。
日帝
出来上がったばかりの 煮物を居間へと 運ぶ。
机に置いた途端、 日本が目をきらきらと させた。
日本
日帝
日本
食べてもいないのに 断言し切ってしまう 日本を見て、ついつい 笑ってしまう。
…そこで、俺の腹が ぐぅ、と鳴った。
日帝
どうしよう、 凄まじく恥ずかしい。
顔に血が集まっていくのが 自分でもわかるくらいで、 俺が思わず下を向くと…
日本
という、日本の 笑い声が聞こえた。
日本
日帝
日本はくすくすと 笑いながらお茶碗に 白米を盛り始めた。
日本
日帝
皿一杯に盛られた タケノコの煮物を 箸で口に運ぶ。
日帝
ただ口の中にあるのは、 タケノコ独特の 食感がする無味の 食べ物。
毎回食事の度に 期待するが、 やはり治ることは なくて。
日帝
味がしないことが、 もう今となっては 当たり前になってしまった。
二度と他人に迷惑を かけたくなくて、 俺は誰にも言えずに ただ食物を胃の中に 押し込んでいった。
日本
日帝
冷たい水が 手にかかる。
しかも、この水は飲んでも 全く問題が無いらしい。
冷たくて安全に飲める 水など、戦時下では ほとんどありえない。
米軍の間諜が日本の中に 潜み、井戸に毒を流している とも限らないからだ。
日帝
こういう細かい所で、 時代は変わったのだと 実感できた。
しみじみとしながら 皿を洗っていると、 日本が声をかけてきた。
日本
日帝
日本はよいしょと床に 置いていした竹刀袋を持つと、 にっこりと微笑んだ。
日本
日帝
日本
いかんせん私、社畜を 極めてるので。と、 日本は諦めたように笑った。
日帝
厳密には、俺はこの 建物自体は知らない。
でも、間取りや部屋の 広さ…なんてものが、 俺の知っているどこかと そっくりなのだ。
どこだったのかなんて、 思い出せないが。
日本
パシ、と何かを 投げられる。
見ればそれは、 竹刀だった。
日本
日本が悪い笑みを 浮かべて立っていた。
俺もまた、無意識に 笑みを浮かべていた。
日帝
俺は日本の正面に立ち、 竹刀を構え直した。
数十分後。
日本
日帝
俺は日本に ぼろ負けしていた。
畳の上に疲れから寝転がり、 ただ天井を見上げていた。
そうして休憩していた時、 真上から結露した ぺっとぼとるを日本が 差し出した。
日本
日帝
日本
日本が上品に笑った。
先程の日本との試合。
不可解な所が 、 結構あった。
まず、剣道の型。
それが俺と全く 同じだった。
同じ道場で育ったのなら 全然あり得る事なのだが、 俺の剣道の型は祖国様から 直接教わった特別なもの。
でも、日本はその祖国様と 全く同じ型を使っていた。
二つ目。
俺と日本が戦って いる時、いつもは穏やかな 日本の表情が
まるで戦時中の俺の様に、 残酷な笑みを浮かべていた。
…やはり、剣を持つと 人間は変わるのだろうか?
日帝
日帝
あれは祖国様から 直接教わったもの。
それを後継の国で ある日本が知っているのは なんともまぁ不思議な事。
だが、実際に日本はその型を 俺と同じくらい━━━… いや、それ以上に使いこなして 戦ってきた。
日帝
日帝
一瞬だけ浮かんだ自分の ありえない考えを 打ち消すように 頭を横に振ってから 起き上がった。
日本
日帝
日本
日本に促され、立ち上がる。
一瞬だけふらついた気も したが、まぁ気のせいだろう。
日本に連れられるまま、 俺はその道場を出た。
日本
帰り道、日本が 思い出したように言った。
日帝
日本
それから日本は んーんーと小さな声を 時折発しながら 歩いていた。
多分、夕飯の内容で 頭の中が戦争状態に なっているのだろう。
日本
日帝
日本
てへ、と笑う日本。
へらへらとしている時が 多いように思うが、 なんだかんだ言って ちゃんと国としての仕事は 果たしているのだなと こういう時に実感する。
日帝
日本
にへ、と日本が 照れたように笑う。
日帝
ほんの少しだけ、 罪悪感が湧いた。
日本は、ただ俺が 訛った体を鍛え直したいと 言ったことだけで道場を 使えるようにしてくれた。
でも、俺の本来の 目的は━━━…
日帝
今は体が訛っているが、 お泊り会までに必死に 鍛えれば何とか 戦時中くらいまでは 力も戻るだろう。
日本のその行動が、 日本の大好きなアメリカを 殺してしまうという事件に 結びついていたと知った時 日本はどんな顔をするだろうか。
日帝
この行動は、死んだ 弟たちのためだ。
日帝
何も知らない日本が隣で 期限良さそうに歩いている 姿を見て、ほんの少しだけ 胸が痛くなった。
コメント
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彗さんいつもありがとうございます!
これであなたの作品全て見ました😆
日帝の料理食べたい、、、