終わった
恐る恐る腕を掴んできた人物の方を振り返る
彩葉
ぇあ、
なんとも間抜けな声を発してしまった
私の腕を引いて、雨に濡れないよう 傘をさしてくれていたのは
シャオさんだった
シャオロン
…
青ざめた表情で彩葉がこちらを振り返る
シャオロン
体調悪いんか?
彩葉
シャオさん、だったんですか?
彩葉
ずっと後ろにいたの…
シャオロン
ん?あー、びっくりした?
彩葉
…しましたよ!
シャオロン
ごめんごめん
彩葉
(…シャオさんだったんだ)
安心したような表情で深く息をついている
シャオロン
傘は?
彩葉
持ってないです
シャオロン
あー
シャオロン
しゃーないで送ったるわ
彩葉
!
彩葉
今日傘忘れて良かったです
シャオロン
わかったわかった
まだおるんか
彩葉にバレないようチラ、と後ろを見る
シャオロン
(おーおー、悔しそうやな)
誰かは知らないが一人の男が こちらを睨んでいる
いや、俺らと言うよりは___
シャオロン
(俺、か)
シャオロン
…
シャオロン
あー、傘ちっさいなぁー
彩葉
あ、すみません私のせいで
シャオさんまで濡れて__
シャオさんまで濡れて__
彩葉
???
彩葉の言葉を遮り、肩を寄せる
シャオロン
驚きすぎやってw
彩葉
あのシャオさんが…
彩葉
私を抱き寄せた…??
シャオロン
濡れるのが嫌なだけやからな!
シャオロン
別の意図はないで
彩葉
そうですか…
再び、がっかりした様子の彩葉の目を盗み 後ろを見る
シャオロン
(…おるな)
べ、と小さく舌を出し煽る
男は唇を噛み締めている
シャオロン
ざまぁ
つい出てしまったこの声は雨のおかげで 彩葉には聞こえていなかったようだ