彗
あぁ、私にはだめでしたわ。
彗
なんだか、自分語りとやらをしてみたくなりましたわ。
………少し、昔の話をいたします。
………少し、昔の話をいたします。
彗
そうですね…。彼と出会った頃の、話にしましょうか。
彗
ふふふ、彼もあの頃は、とても可愛らしかったんですのよ。
彗
それでは、私のくだらない昔話に付き合ってくださいませ。
彗、五歳
召使い
彗さま、足利の御子がお見えですわよ
彗
追い返して頂戴。わざわざ話をするまでもありませんわ。
又太郎
姫君!又太郎が参りました!!
ドンドンドン!!
彗
……………帰ってくださいませ。
彗
はぁ、少し奥の部屋に下がります…
召使い
良いではありませんか。姫君と足利の御子が仲良くあらせられれば、我ら北条も安泰というものでございます。
彗
いやですわ…どうしてあんなに強引な方とともに居ねばならぬのですか………そ、それに私はあのような男となど仲良くなんてしておりませぬ!
召使い
姫君は愛らしい容姿をしていらっしゃいますもの。奥の部屋に引っ込む必要もありません。何かあれば私めもついておりますゆえ、今日は会ってはいかがでしょうか?
彗
う、うぅ……だ、だって…今日は髪が荒れておりますもの……又太郎に会うのが憚られますわ…
召使い
ふふふ、そんなことでございますか?私がといて差し上げますので、ご安心くださいませ。足利の御子様には少しお待ちいただきましょうね。
ガラガラガラ!
又太郎
姫君!今日も愛らしゅうございますな!
彗
ひっ!!
召使い
あらまぁ…
彗
こ、この大馬鹿者!出ておいきなさい!!
又太郎
なんてことを言うのです姫君!我は貴方様に逢いに来たのですぞ!!
彗
うっ、乙女心もわからぬ大馬鹿者に見せる顔など持ち合わせておりませんわ!
又太郎
そんな殺生な!!
彗
行きますよ!今日はもう外に出ませんから!
その後、恥ずかしいことにずっと不貞腐れていた私に又太郎は花をくれました。
又太郎
姫君、先程は申し訳ないことを致しました…これで気を治してくれたりはいたしませぬか?
彗
………庭先の花ではありませぬか?怒られはしなかったので?
又太郎
ふっふっふ、この又太郎、忍び込んでささっと摘んでまいりました!姫君にはこの花がよう似合いまする!
彗
怒られますよ……ふふ…
又太郎
…姫君はやはりお美しい…この又太郎、再度惚れ直してしまいました
又太郎
我は現在、十三。もうまもなく元服致しまする。その時に。我の許嫁になっては貰えませぬか?
彗
…………私を欲するなど、よほどの物好きなのですね又太郎は
又太郎
なんとでもおっしゃってくださいませ。それで、返事をお聞かせ願います。
彗
貴方がその時も私を好いてくれるのなら、私はきっと貴方の声に応えますわ。
彗
い、愛しの殿方に迎えに来ていただける日を楽しみにしております……………!
又太郎
……ひ、姫君…顔に朱がさしております………
彗
う、うるさいですね…………そう言う貴方も顔が柘榴の様に赤くなっておりますわ…
又太郎
…はぁ、甘ったるいですな……
彗
こ、こら、くっつくんじゃありません!
そんな、とても幸せに満ちた時間を過ごしていたのが五歳の頃。
メテオ
お読みいただきありがとうございます。作者のメテオです。
メテオ
今回から、又太郎…いえ、足利尊氏の夢小説を書かせていただきます。
メテオ
テラーノベルでの投稿は初めてになりますので、ゆっくりと仕様を把握しながら書いて行けたらと思っています。
メテオ
順次、他の夢小説も投稿して行けたらと思っているので、楽しみにお待ちください。
メテオ
初心者の作品なので読みにくいところもあると思いますが、甘く見ていただけると幸いです。
メテオ
♡機能などがあると聞き及んでいますが、それら必要ありません…私が書きたいように書いている作品になりますので、皆様がそう言うものを押さなくても勝手に更新されます。本当に好きだと思う作品に押してあげてくださいませ。
メテオ
それでは、ここまで無駄話にお付き合いくださりありがとうございました。