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ピピピッ 、ピピピッ

諸星 小夜

ん〜……z

諸星 小夜

もう朝……?

早く起きろと言うように目覚まし時計が部屋の中で鳴り響く

重い体を起こして目覚まし時計へと手を伸ばした

すると私が目覚まし時計を止める前に私より大きな手が目覚まし時計を止めた

その手の主は

爆豪 勝己

諸星 小夜

あ、勝己

勝己だった

勝己は私の5つ年上の彼氏

出会いは私が新人のプロヒーローになって勝己の事務所でサイドキックになったのがきっかけだ

最初は口が悪く怖い人だと思ってたけど、

一緒にヒーローとして活動していくうちに彼の優しさに気づき、いつの間にか好きになっていた

それから私は積極的に話しかけたりご飯に誘ったり……

猛アプローチをしていくうちに両思いになり、私たちは付き合うことになった

今は勝己と同棲してる

3ヶ月後には付き合って6年記念日だ

諸星 小夜

勝己、おはよう

爆豪 勝己

……

諸星 小夜

あれ……?

諸星 小夜

(いつもなら「おはよう」って返してくれるのにな……)

勝己は私の挨拶に返事もせずにリビングの方へと向かう

諸星 小夜

え、無視!?

諸星 小夜

酷くない!?

諸星 小夜

私泣くよ???

諸星 小夜

・・・

諸星 小夜

ちょっと!待ってよ!!

私は勝己を追いかけるようにリビングへと向かった

リビングに辿り着くと、勝己は出かける準備をしていた

いつもなら私が起きた頃には勝己のお手製朝ごはんがテーブルの上に並べられていて2人で一緒に食べるのに今日はそれがない

諸星 小夜

ねぇ、勝己

諸星 小夜

朝ご飯今日は作らないの……?

爆豪 勝己

……

勝己は私の言葉に返事もせずに黙々と準備している

諸星 小夜

また無視……

諸星 小夜

ていうか今日、日曜日だよね?

諸星 小夜

仕事ないよね??

勝己はリビングの時計を見るとどこかに電話をかける

爆豪 勝己

もしもし、出久

爆豪 勝己

わりぃ、今日のチームアップ少し遅れるかもしんねぇ

諸星 小夜

(緑谷さんとチームアップ……?)

緑谷さんは私たちと同じくプロヒーローの仕事をしている

プライベートでも勝己の幼なじみということでたまに3人でご飯を食べる仲だ

諸星 小夜

(それ再来週の月曜日じゃなかったっけ……?)

爆豪 勝己

急いで行く

爆豪 勝己

じゃ

勝己は電話を終えると再び準備に取り掛かった

諸星 小夜

待って、今日チームアップってことは……

諸星 小夜

私も行かないとじゃん……!

私は急いで部屋に戻って着替えを済ませ、ギリギリ勝己と一緒に家を出た

緑谷 出久

これで一件落着だね

爆豪 勝己

だな

私たちはヴィランを捕まえてひと仕事終えた

けど、私には1つ気に食わないことがある

諸星 小夜

任務中まで無視って酷くない?

勝己は任務中、私たちサイドキックに指示をしてくれるのだが、私だけには何も言ってこなかったのだ

諸星 小夜

(でも勝己、ツンデレなとこあるし)

諸星 小夜

(私には指示しなくても大丈夫と思ってるとか……?)

諸星 小夜

(いや、勝己は仕事とプライベートは切り替えて行動するタイプだからな……)

諸星 小夜

(じゃあ、なんでずっと無視するの……?)

私が勝己を見ながらそんなことを考えてると緑谷さんが口を開いた

緑谷 出久

……今日も"あそこ"行くの?

爆豪 勝己

……あぁ

諸星 小夜

("あそこ"……?)

緑谷 出久

かっちゃん最近無理してない?

爆豪 勝己

大丈夫だ

爆豪 勝己

少し時間が経ったからな

私は2人の意味深な会話にはてなマークを浮かべる

諸星 小夜

(何の話……?)

緑谷 出久

今日は僕も一緒に行っていいかな?

緑谷 出久

あの日以来僕も会いに行ってなかったし……

爆豪 勝己

あぁ、"あいつ"も喜ぶと思うぞ

諸星 小夜

("あいつ"って誰……?)

私は2人の会話が気になり、勝己の方へと近づく

諸星 小夜

ねぇ、勝己

諸星 小夜

何の話───

諸星 小夜

!?

勝己の顔を覗き込むと、勝己今まで見たことないような悲しそうな顔をしていた

諸星 小夜

勝己───

爆豪 勝己

てめぇら、事務所戻るぞ

勝己はまた、私の方を見もせずに事務所へと戻って行った

夕方、

勝己と一緒に事務所から出ると、緑谷さんが待っていた

私は2人の後ろについて行った

諸星 小夜

勝己、どこ行くの……?

歩いて30分

勝己は目を合わせるどころか、返事すらしてくれない

勝己だけじゃない

緑谷さんすら私の方を見向きもしない

諸星 小夜

(勝己はともかく緑谷さんまで……)

諸星 小夜

(なんで……)

諸星 小夜

(私、何かした……?)

しかし、私は2人に嫌われるようなことをした覚えがない

勝己も昨日はいつも通りだったし、

緑谷さんはそもそも最近会ってなかったし、

考えれば考えるほど無視される理由が分からない

爆豪 勝己

……着いた

勝己がそう言って止まると私は周りを見渡した

諸星 小夜

え、?

目的地を見て、私は思わず声を出してしまった

諸星 小夜

なんで……

私たちがたどり着いたのは住宅街にある一軒家

そして表札にある「諸星(もろほし)」の文字

私の実家だった

諸星 小夜

勝己、なんで私の実家に───

爆豪 勝己

入んぞ

勝己はまた、私を無視して私の実家へと入っていった

実家に入ると懐かしい匂いが鼻を通った

諸星 小夜

(帰ってきたの3年ぶりだ……)

3年前から勝己と同棲していた私は久々の帰省だった

勝己と今住んでるマンションは実家からそんなに離れてないけど、忙しくてあまり帰ってなかった

爆豪 勝己

お邪魔します

緑谷 出久

お、お邪魔します……

小夜の母

あら、勝己さんいらっしゃい

小夜の母

いつもありがとうね

小夜の母

あら、そちらはもしかして……デク……?

緑谷 出久

あ、はい!

緑谷 出久

緑谷出久と申します

緑谷さんは母にお辞儀をする

爆豪 勝己

俺の幼なじみです

小夜の母

あら、そうなのね

小夜の母

じゃあ勝己さん、緑谷さんを部屋に案内してあげて

爆豪 勝己

分かりました

諸星 小夜

部屋……?

諸星 小夜

ねぇ、お母さんどういう───

爆豪 勝己

出久こっちだ

緑谷 出久

うん

私は見る方が早いと思い勝己達について行った

爆豪 勝己

ここだ

勝己が入っていったのは和室だった

諸星 小夜

え、なんで和室?

普段、この部屋にはお客様は入れない

諸星 小夜

勝己、この部屋は───

私が言いかけた瞬間

私はとある光景を見てしまう

諸星 小夜

え……?

この部屋に唯一置いてあるのは仏壇だけ

だから普段、お客様を入れることはない

けど、その仏壇には

私の遺影が飾られていた

諸星 小夜

え、……

勝己たちは黙々と仏壇の前で正座して、線香をあげる

そして和室にちーんとリンの音が響き渡る

諸星 小夜

勝己───

私は勝己に触れようとするが、私の手は勝己の体をスっとすり抜けた

諸星 小夜

!?

緑谷 出久

小夜ちゃんが亡くなって、もう1週間か……

爆豪 勝己

……

諸星 小夜

そうだ、あの時……

1週間前───

私は勝己と一緒に任務に出ていた

とあるビルで火災が発生し私たちは救助を行っていた

爆豪 勝己

マンションの住民は全員外出たぞ!

諸星 小夜

あとは消火を待つだけ───

「おい、建物が……!」

爆豪 勝己

!?

諸星 小夜

!?

上を見上げると、火事になったマンションに大きな亀裂が入っていた

爆豪 勝己

マンション崩れるぞ!!全員離れろ!!

周りの人達は流れるようにマンションから避難していた

爆豪 勝己

おい、俺らも離れるぞ……!

諸星 小夜

うん……!

マンションの瓦礫がもう今にも落ちそうで避難しようと思ったその時、

勝己の真上から瓦礫が降ってきたのが見えた

諸星 小夜

……!

諸星 小夜

勝己……!危ない……!

爆豪 勝己

……!?

私は個性で勝己の方へ向かい

勝己を庇って

命を落とした

諸星 小夜

……

爆豪 勝己

小夜……!

爆豪 勝己

おい、目ぇ覚ませよ……

爆豪 勝己

小夜……!!( 泣

諸星 小夜

(そうだ……)

諸星 小夜

(全部、思い出した……)

爆豪 勝己

俺が……

爆豪 勝己

俺があん時すぐに動けていりゃあ……

爆豪 勝己

小夜は死なずに済んだのになぁ……( 泣

勝己の赤い瞳から涙がポロポロと溢れていた

勝己の泣き顔を見たのは、初めてだった

緑谷 出久

かっちゃんのせいじゃないよ

緑谷 出久

絶対に……

諸星 小夜

(私……見ることしかできないの……?)

諸星 小夜

(触れることも、声をかけることもできないの……?)

自分の無能さに思わず悔し涙を流した

爆豪 勝己

……ただいま

小夜の実家を出て出久と別れた後、俺は自宅のマンションへ帰った

いつもなら、小夜と一緒に事務所から帰って2人で一緒に「ただいま」と言って入った部屋も

小夜が死んでから1週間

この部屋には俺の声だけしか響かない

A組の奴らや事務所のサイドキックたちが心配してくれてんのも分かってる

それでも俺の中の何かが空っぽになった、そんな感覚が抜けない

爆豪 勝己

小夜に会いてぇ……

何言ってんだ俺、

そんなこと言っても小夜は戻ってこない

分かってる

分かってるけど

会えるもんなら、もう一度会いてぇ……

そんなことを考えてると、

俺を現実へと引き戻すかのようにマンションのベランダの窓からの風が俺の頬を撫でた

爆豪 勝己

俺、家出る前戸締りしたよな?

爆豪 勝己

いや、そう思い込んでるだけだろ

ベランダの方へ行き、窓を閉めようとした

その時だった

ヒュ〜〜〜〜

ベランダから真正面に花火が打ち上がるのが見えた

爆豪 勝己

(そういえば、この辺は今日花火大会があったな)

打ち上がった花火は空に上がったあとパーン音を立て、大きな火の花を咲かせた

爆豪 勝己

小夜も花火好きだったなぁ……

爆豪 勝己

空で花火見ってっかなぁ……

「何言ってんの、勝己」

「ずっと隣にいるじゃん」

爆豪 勝己

小夜……?

隣を見るとそこには死んだはずの小夜が俺の隣で花火を見ていた

爆豪 勝己

小夜……

爆豪 勝己

小夜なのか……?

諸星 小夜

勝己……?

諸星 小夜

見えてるの……?

諸星 小夜

私のこと……

小夜はポカンとした顔で俺の方を見つめていた

爆豪 勝己

小夜ッ……!

爆豪 勝己

小夜……ッッ!(泣

俺は無意識に小夜に抱きつき、柄にもなく大泣きした

爆豪 勝己

小夜ッ、すまねぇ…… (泣

爆豪 勝己

俺が……!俺がすぐ動けてたら……ッ(泣

爆豪 勝己

お前が死なずに済んだのに……ッッ(泣

諸星 小夜

謝らないでよ、

諸星 小夜

勝己のせいじゃないよ

諸星 小夜

私が勝己を助けたかっただけなんだよ

諸星 小夜

私は、勝己が無事でよかったよ

小夜はそう言うといつもの優しい顔で微笑んだ

諸星 小夜

ほら、勝己

諸星 小夜

花火、綺麗だよ

小夜に言われ空を見ると、そこには無数の花火が大きく音を立て、1つ、また1つと咲いていった

諸星 小夜

まさか、またこうやって勝己と話せるなんて思わなかったよ

爆豪 勝己

それは俺のセリフだ

諸星 小夜

ベランダの窓を開けて正解だったね

爆豪 勝己

小夜が開けたんか?

諸星 小夜

うん、勝己を元気づけたくて

爆豪 勝己

通りで行く前戸締りしたのに窓が開いてるわけだ笑

爆豪 勝己

俺、本当は今年の記念日にプロポーズしようと思ってた

諸星 小夜

奇遇だね

諸星 小夜

私も、今年の記念日に勝己にプロポーズしようと思ってた

爆豪 勝己

そこは男にやらせろや

小夜はクスッと笑うと、悪戯っぽく

諸星 小夜

じゃあ今からしてよ

諸星 小夜

プロポーズ

爆豪 勝己

まだ指輪ねぇぞ

爆豪 勝己

記念日まであと3ヶ月先だから買ってねぇわ

諸星 小夜

いいの

諸星 小夜

大事なのは、指輪じゃなくて

諸星 小夜

誰に言って貰えるか、だから

爆豪 勝己

……わーったよ

俺は、片足を着いて冷たい小夜の手を取った

爆豪 勝己

小夜、好きだ

爆豪 勝己

俺と結婚してくれ

諸星 小夜

はい、喜んで ( ニ コ ッ

俺たちの祝福するように、花火はどんどん勢いをまして打ち上がった

諸星 小夜

結婚してたら私、「爆豪小夜」になってたのか〜

諸星 小夜

なんか、名前と苗字のギャップすごいね笑

爆豪 勝己

嫌か?笑

諸星 小夜

全然

諸星 小夜

勝己とお揃いで嬉しいよ

そろそろ花火も終盤に差し掛かった

諸星 小夜

終わるね、花火

爆豪 勝己

あぁ

諸星 小夜

私もそろそろ行かないと

爆豪 勝己

……あぁ

諸星 小夜

身体に気をつけてね

爆豪 勝己

あぁ

諸星 小夜

他に好きな人ができたら、乗り換えていいんだからね

爆豪 勝己

んなこと、地球が滅亡してもありえねぇわ

諸星 小夜

ふふっ、嬉しい

諸星 小夜

私はずっと勝己の好きだからね

爆豪 勝己

ありがとよ

諸星 小夜

最後に、キスしていい?

爆豪 勝己

んなこと聞かなくてもいいわ

諸星 小夜

じゃあ、お言葉に甘えて

小夜は少し背伸びをすると俺の唇に優しくキスを落とした

もう今にも消えちゃいそうな最後のキスだった

諸星 小夜

じゃあ、行くね

爆豪 勝己

おう……

諸星 小夜

勝己

諸星 小夜

愛してる

爆豪 勝己

俺も愛してる

小夜は満足そうな顔をして宙へと飛んで行った

小夜の靴には最後の打ち上げ花火が、

俺の靴には涙という名の花火が咲き誇り

ふたつの花火が散ると同時に、

小夜はゆっくりと姿を消した

読み切り

「靴の花火」

e n d

【 あとがき 】

皆さんどうも

杏月です

私の"初"の読み切り作品

「 靴の花火 」 はどうでしたか?

書くのに夢中で、少し話が長くなりました

すみません ( 笑 )

実はこのタイトル、

アーティストのヨルシカさんの楽曲

「靴の花火」をお借りさせていただきました

私が最近今1番よく聞いてる楽曲です

すごく素敵な曲なので

よかったら聞いてみてください

雑談枠でも言いましたが、

最近、無断で低浮上になっていて

心配かけてすみません

これからも皆さんに素敵な物語を提供できるように

いろんな小説読んで、

もっといろんな知識を育んで、

活動していこうと思います

読み切り作品もまた気が向いたら出そうと思います

次読み切り作品出す時には今回より上手に書けるように頑張ります ( 笑 )

これからも杏月をよろしくお願いします

𝓐𝔃𝓾𝓴𝓲

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