医者
おめでとうございます
医者
妊娠3ヶ月目になりますね
チヒロ
……はい!
医者
赤ちゃんに危険性がありますので、激しい運動はなるべく控えてください
チヒロ
はい、ありがとうございます
◇◆◇
愛翔
ただいま~~
チヒロ
愛翔、おかえりなさい
愛翔
おぉ
愛翔
そうだチヒロ、すげぇいい話があるんだよ
チヒロ
えー、なになに!?
愛翔
いやぁ、実はさ……
愛翔
──俺、留学することになったんだ
愛翔
3年間、ニューヨークに行く
チヒロ
……えっ?
チヒロ
ニューヨーク……? 留学? 3年間?
愛翔
あぁ、監督がスカウトしてくれたんだ
愛翔
ニューヨークでおもいっきりサッカー学んで来いって
チヒロ
……そっか。良かったね!
チヒロ
ずっと愛翔の夢だったもんね。ワールドカップに出るの
愛翔
あぁ! やっと一歩近付いたよ
けれどそれは
今の私にとっては
残酷な結果
今日、妊娠が分かったのに……。
愛翔
チヒロのおかげだよ。
愛翔
毎日うまい飯作ってくれるし、応援してくれるから
愛翔
ありがとう、これからもっと頑張るよ
チヒロ
愛翔……。
──チュッ💋
愛翔
あー、夢ってホントに叶うんだな!
チヒロ
まだ叶ってないでしょ
愛翔
これから叶えますぅ!
どうしたらいいだろう?
妊娠のことを、彼に話すべきだろうか。
けれど、私の妊娠を彼はどう思うだろう。
笑って祝福してくれるのか?
新しい命が生まれると、喜んでくれるのか?
いや──
優しい、恋人想いの彼のことだ。
きっと私の妊娠を知ったら、 サッカーの夢を諦めて しまうに違いない。
長年の夢を捨て、 安定した会社に入ると言い兼ねない。
そんなわけにいかない。
私は彼の夢を最後まで応援すると決めたのだ。
なら……どうしたらいい?
子供を諦める?
それは苦しい。
じゃあ、私の選ぶべき道は?
愛翔
それでさ、チヒロ
チヒロ
ん?
愛翔
チヒロにもついてきてほしいんだ
愛翔
チヒロには、俺の傍で安心して働いてほしい
愛翔
だから
愛翔
ついてきてくれませんか?
チヒロ
……あのね、私……
愛翔
無理にとは言わないよ
愛翔
慣れない土地に行くのが不安なら、日本にいても構わない
愛翔
けど、俺はチヒロが好きだからさ(照)
愛翔
できれば、一緒に行きたいなって……。
愛翔
だから……
愛翔
もし、チヒロさえ、よかったら……
愛翔
──結婚もしたいと思ってる
チヒロ
っ!?
愛翔
結婚、、、してくれる……?
チヒロ
……。
どっち?
どっちが正解なの?
このまま結婚して、彼についていくべき?
でもそしたら……。
私だって彼を愛してる
それでも、サッカーは続けてほしい。
ああ……もう、分かんないよ。
チヒロ
ニューヨーク行きは……考えさせて
チヒロ
今の仕事もあるし、すぐには決められないかな……。
愛翔
そうだよな。いいよ、ゆっくりで!
チヒロ
……ありがと
愛翔
チヒロ、愛してる
チヒロ
……私も。
愛してるよ、愛翔──