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美智子の記念日

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美智子の記念日

1 - 美智子の記念日

♥

24

2024年02月18日

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-廊下-

美智子

はぁ…、最近試合に勝てまへんねぇ。(廊下の窓に立ち)

美智子

さっきの試合も負けてもうたし、

美智子

こう、負けが続くと

美智子

流石に心に来るなぁ…。

美智子

……。

美智子

…こういう時

美智子

桜を見ながら縁側でお茶を飲むと

美智子

落ち着けるんやけど、

美智子

まだこの寒い時期に咲いとるわけないねぇ…。

リッパー

おや、美智子さんじゃないですか。(廊下から歩いて来て)

美智子

あっ、リッパーはん…。

リッパー

どうかしましたか?

リッパー

こんな寒い日に廊下にいると、

リッパー

体が冷えて風邪を引いてしまいますよ。

リッパー

もし宜しければ、ご一緒に食堂でも行きませんか?

美智子

…誘ってもらえるのは嬉しいけど

美智子

すまんなぁ、うちは遠慮しとくわ。(淡く微笑み)

リッパー

おや、それは残念です。

リッパー

ではまたの機会にお願いしますね。(にこにこと微笑み)

リッパー

……あぁ、それはそうと

リッパー

美智子さんは知っていましたか?

リッパー

私、さっきまで中庭を散歩していたのですが

リッパー

中庭の奥に、巨大なビニールハウスを見つけたのですよ。

美智子

へぇ、荘園にビニールハウスなんかあったんやねぇ。

美智子

野菜でも育ててるんかしら?

リッパー

私も気になって覗いて見たのですよ。

リッパー

確か、あの木に咲いているのは…

リッパー

桜……でしたかね?

美智子

えっ、さ、桜が咲いてはるの…!?

リッパー

えぇ、見間違いないと思いますよ。

リッパー

毎年春になると、中庭にも咲いていますよねぇ。

美智子

せやけど、今は気温が低いしなぁ…。

美智子

リッパーはんの見間違いちゃうの?

リッパー

そうですねぇ…、でしたら。

リッパー

一緒に確認しに行きませんか?

美智子

せやね、うちも気になるきん行ってみましょか。

美智子

リッパーはん、道案内頼めるで?

リッパー

勿論ですよ、ではご案内しますね。(微笑み)

美智子

ふふ、おおきに。(目を細めて、扇子で口元を隠し)

-中庭-

リッパー

美智子さんこちらですよ、

リッパー

もう少し歩けば見えますからね。

美智子

結構歩いて来たと思うんやけど、

美智子

ここの中庭は意外と広いんやねぇ…。(辺りを見渡して)

美智子

あまり奥まで来たことがないきん新鮮やわ。

リッパー

私もつい最近中庭に来たばかりですが、

リッパー

ここは本当に広いですね。

リッパー

荘園に来て長い時間を過ごしましたが、

リッパー

まだ訪れていない場所がある事に驚きましたよ。

美智子

ふふ、それはあるかもしれへんねぇ。

美智子

うちらは他の人より

美智子

長く住んではるけど、

美智子

まさか中庭にビニールハウスがあるなんて知らんかったわ。

リッパー

もしかしたら、知らないうちに建っていたかもしれませんね。

美智子

……。

美智子

……っ。

美智子

やっぱり外は中と比べて寒いなぁ…。(手に息を吹きかけ)

美智子

ふふ、廊下でぼーっとし過ぎたかもしれへんなぁ。

リッパー

おっと、私としたことが寒さに配慮をしていませんでしたね…。

リッパー

良ければ私のコートをお使い下さい、

リッパー

少しは暖かくなるかと。(相手の肩にコートを羽織らせ)

美智子

!あらあら…、

美智子

気を遣ってもうたかしら?

リッパー

ふふ、お気になさらずに。

リッパー

体が冷えしまったら体調を崩しますからね。

美智子

せやけど、リッパーはんは寒くないん?

リッパー

私は平気ですよ、それより…

リッパー

見えてきましたね。(奥の方へ振り向き)

美智子

!あれがビニールハウスなんやね…。

美智子

確かに近くで見たら大きいなぁ。

リッパー

中に入ると暖かいですよ、

リッパー

ではお先にどうぞ。(微笑み)

美智子

ふふ、おおきにねぇ。

美智子

ほな、先入らせてもらうなぁ。

-ビニールハウス内-

美智子

!?

美智子

ほ、ほんまに…

美智子

桜が咲いとる…。(辺り一面に桜の木が並んでおり)

美智子

しかも2月で8分咲きやないの…!

美智子

それにこの中、春みたいな気温で暖かいわ。

リッパー

ふふ、気に入っていただけて何よりです。

リッパー

私の言っている事嘘じゃなかったでしょう?

美智子

ほんまや、疑って悪かったなぁリッパーはん。

美智子

こんな綺麗な桜を冬に見れるなんて

美智子

うち感動したわぁ。(桜を見ながら)

リッパー

えぇ、本当に綺麗ですよねぇ…。(桜を見上げて)

美智子

……ふと、思ったんやけど

美智子

この桜の木、誰が植えはったんやろね?

リッパー

確かにそうですね、

リッパー

……誰だと思います?

美智子

あら、含みのある言い方やねぇ?

美智子

もしかして知っとるん?

リッパー

実はですね、

リッパー

私が植えたのですよ。(少し自慢げに言い)

美智子

えっ!?リッパーはんが!?

美智子

これだけの桜を育てるなんて

美智子

大変やったやろ?

美智子

あんさん、意外と凄いなぁ…。

リッパー

とんでもない、私は美智子さんの為なら

リッパー

これくらい平気ですよ。

リッパー

あぁ、もし宜しければこの後ご一緒に…

マリー

あっ!美智子〜〜!!(ビニールハウスの奥から走ってきて)

美智子

あら、マリーはんやないの!

美智子

マリーはんもこの桜を見に来たん?

マリー

そうよ、美智子と一緒にね!

マリー

じゃあ早速向こうでお茶会を始めましょ!

美智子

一緒に…?

美智子

お、お茶会…?(キョトンとして)

マリー

えっ、リッパーから聞いていないの?

マリー

今日は美智子の好きな桜を見ながら、

マリー

皆でお茶会を開くのよ!

美智子

えっ!そんなの初耳やわ…。(驚いて)

マリー

う、嘘でしょ!?

マリー

…ちょっとそこエセ紳士?(リッパーの方へ振り向き)

マリー

何で美智子に内容を教えていないのよ?

リッパー

ギクッ

リッパー

……今から説明するとしたら、遅いでしょうか?(苦笑)

マリー

もう私がさっき言ったじゃないの!

マリー

貴方、くじ引きで勝ったからって調子に乗らないことね…?

美智子

くじ引き?

リッパー

今日の主役は美智子さんですからね、

リッパー

誰が貴女を呼ぶか、くじ引きで決めたのですよ。

マリー

皆が立候補するんですもの、それなら

マリー

くじ引きで決めようとしましたの。

マリー

このエセ紳士がね。(横目で見ながら)

リッパー

えぇ、そして、私が選ばれたという事ですよ。(微笑み)

マリー

はぁ…、私が当たりを引きたかったのに悔しいわ。

美智子

あらあら、そうだったんやねぇ。(苦笑)

ロビー

あっ!皆美智子が来たよ〜!!(奥からトコトコと歩いて)

グレイス

……!(ロビーの声に振り向き)

范無咎

あぁ…やっと来たのか。(桜の下で座っており)

レオ

おーい、そろそろ始めるぞ〜。(遠くから叫び)

美智子

あら、今日は大勢やねぇ〜。

美智子

やっぱり皆この桜の木が気になるんかしら。(くすくすと笑い)

マリー

それは当然じゃない!

マリー

だって皆で育てたんですもの。

マリー

勿論美智子の為にね!

美智子

あれ、さっきリッパーはんが植えたとか言いよったけど?

マリー

……リッパー?(リッパーの方へ顔を向け)

マリー

言いたい事は分かるわよね?

リッパー

い、一応…水やりはしたので嘘はついていませんよ?

マリー

あらあら、女王に言い訳をするの?

范無咎

ちなみに、水やりは全員で交代だから

范無咎

リッパーだけで育てたとは言わんぞ?

范無咎

大半がレオとロビー、グレイスが育てていたがな。

リッパー

う…、そうですね。先程の言葉を訂正します。

リッパー

私も桜の木に水やりをしたのですよ!

グレイス

……。

范無咎

趣旨が外れている、と言ってるぞ?(にやにやと笑い)

マリー

ふふ、往生際が悪い紳士ね?

リッパー

皆さん私に対して冷たくありません?

リッパー

私落ち込みますよ?いいんですか?(落ち込んだ振りをして)

ロビー

あれ、リッパー大丈夫〜?(リッパーの体をつつき)

マリー

いいわよ、だって今日の主役は美智子だもの。

マリー

ねぇ?美智子?

美智子

ふふ…。(扇子で口元を隠し)

マリー

?どうかしたの美智子。

美智子

いや、

美智子

桜を見ながらあんさん達との会話は

美智子

賑やかで楽しいなぁと思ってねぇ。

リッパー

ふふ、それは良かったです。

リッパー

私が一役買ったお陰ですね。(微笑み)

マリー

貴方、事がよく進めば美智子と駆け抜けしようとしたでしょ?

リッパー

えっ、何故分かったのですか?

マリー

私が美智子に声をかける前に貴方、

マリー

やたらと距離が近かったからよ。

リッパー

おや、そうでしたか?

リッパー

まぁ私は誰に対しても距離が近い方ではありますけどね。

范無咎

…自覚はしているのか。

ロビー

ねぇねぇ、かけぬけってどういう意味?

リッパー

おや、聞きたいですか?

范無咎

いやロビーは知らなくてもいい言葉だ。

グレイス

……?

リッパー

グレイスさんもその様子だと知らないようですねぇ…。

リッパー

ではこの後、お時間あればどうでしょう?

マリー

ちょっと!グレイスに変な事を教えないで下さる?

美智子

ふふ…。(扇子で口元を隠し)

マリー

あっ!美智子ごめんなさい!

マリー

今日は貴女が主役なのに色々話しちゃって…。

美智子

ええのよ、うちはここにおるだけでも楽しいからね。

美智子

そういや、さっきから言おうと思ってたんやけど。

美智子

何でうちが今日主役なん?

マリー

えっ?だって今日は、

マリー

美智子の記念日でしょう?

ロビー

そうだよ〜!記念日おめでとう!!

リッパー

遅れましたが美智子さん、記念日おめでとうございます。

グレイス

……!

范無咎

グレイスがおめでとう、だってよ。

范無咎

…俺達の分も含めてな。

マリー

今日来ていない人達の代わりに私が言ってあげるわ。

マリー

美智子、記念日おめでとう!(微笑み)

レオ

今日が記念日だったな。おめでとう、美智子。

マリー

って、レオ貴方いつの間にいたのよ?

レオ

お前たちが遅いから来たんだよ…。

レオ

準備が出来たから後は始めるだけだ。

美智子

皆はん…、

美智子

おおきになぁ、うち何かのために…。

美智子

記念日に桜を見させてもらうなんて、

美智子

うちは幸せ者やねぇ…。

美智子

もう、めっちゃ嬉しいわぁ。(微笑み)

マリー

ふふ、喜ぶのはまだ早いわよ?

マリー

まだお茶会をしていないんだから向こうに行きましょ!

レオ

マリー、今日はお茶会じゃなくて

レオ

皆でお花見をしに来たんだろう?

マリー

あら、そうだったわ。美智子の国の文化なのよね?

美智子

せやよ、と言ってもお茶会と少し似てるけどねぇ。

美智子

でも皆でお花見出来るなんて夢のようやわ。

ロビー

ねぇねぇ、そう言えば思ったんだけど。

ロビー

美智子はどうしてリッパーのコートを着ているの?

范無咎

ん、そう言えばそうだな。

グレイス

……?

レオ

俺も気付かなかったな。

リッパー

いや皆さん、最初から気付いていなかったのですか?

マリー

えっ?

マリー

ほ、本当だわ!!(羽織っているコートに気が付き)

マリー

美智子もしかして寒かったかしら…?

美智子

来る前は寒かったけど、ここはまだ暖かいけん大丈夫よ。

美智子

あ、そういやリッパーはんのコート借りたままやったなぁ。

リッパー

そのままで大丈夫ですよ、他にもありますので。

マリー

いえ、こんなコートより

マリー

私が美智子を温めるわ!(コートを投げ飛ばして、美智子に抱きつき)

美智子

!あらあら、マリーはんったら。(苦笑)

リッパー

ヘアァ!?

リッパー

わっ、私のコートが〜!!(飛ばされたコートを走って追いかけ)

ロビー

わ〜い!僕も追いかけっこする〜!(後を追いかけ)

レオ

やれやれ…、すぐ戻って来いよー。

范無咎

俺達は茶菓子の配膳準備でもしておくか。

グレイス

……!(頷いて)

-終わり-

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