テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
________
エリメス
町の外れ、開けた平原。
そこにその子はいた。
エリメス
名前を呟けば、気がついた様に その子はこちらを振り返る。
くすと首を傾げて微笑み、 その孔雀石に似た緑の目を細める。
……
…いつもと違う所がある。
大きな魔女の帽子、
柔く淑やかな、黒を基調とした服、
炎の中であろうと、 月下に映えるその姿…
あの日見た魔女と、同じである事。
エリメス
思わず苦笑いが溢れる。 対するように冷たい汗が頬を伝う。
信じたくなかったな、こんなの。
_ラソル・ビリウス_
__月桂樹の魔女。__
エリメス
その子はまるで、 視界に映る炎を気にせずに。
辺りの地獄など知らんぷりする様に 呑気な声で言う。
ざぁ、ざあと炎から風が吹いて、 お互いの服が、髪が、 はたはたと揺れている。
エリメス
エリメス
エリメス
にこにこと、何ら世間話をする時と変わらずに声を紡ぐそれに、
なにか悔しい様な、寂しい様な。
怒りとは少し違う感覚がして 自分でも困惑してしまう。
エリメス
エリメス
エリメス
エリメス
エリメス
エリメス
まるで、何度も答えてきたように、 慣れた言葉をすらすらと口にする。
その様子に色んな感情が ふきだしてきて、 思わずぎゅうと拳を握りしめる。
エリメス
エリメス
こちらを見つめて、にこりと笑む。
その瞳の色はフェイクグリーンに よく似ている。
だけど言葉に嘘偽りはなくて、 寧ろ優しいままだった。
……悔しい、悔しいなぁ。 ここまで仲良くなれたのに。 今度こそ守るって決めたのに。
ずっと私が命を狙ってた 魔女だったんだなぁ。
私はこんな魔族に、 心を奪われてしまったんだなぁ。
エリメス
エリメス
でも、すぐには決断できなかった。
捨てきれなかった。幸せを知ってしまった後の甘い思いを。
人生をかけて歩んできた道が、 こんなに一瞬で崩れてしまうこと。
あのとき犯した罪が、むだになってしまうこと。
なによりラソルと一緒に、 ただの友達として 過ごしてきた日々が、
私がただの女の子で いられた時間が、
すべて無駄だったんだと、 現実を突き付けられることになってしまいそうで、怖い。
こんなに生半可な思いだった 覚えはないが、
守ると決めた相手を自分の手で壊す ことが正解だといわれたら、
どうも、根本からすべてが崩れ去ってしまうように感じて。
真反対の感情が織り交ざって、 涙がこぼれそうになる。
魔女は、親友はゆら、と 見守るように揺れる炎の中、 微笑みをこちらに向けている。
わたしは_____
エリメス
エリメス
エリメス
ラソルは見守る様に頷く。 同意では、無さそうだが。
エリメス
エリメス
エリメス
くすりと月桂の魔女が笑う。
ナイフを取り出した左手を、 隠すように右手で覆う。
不意に魔女は両手を広げる。
エリメス
嗚呼きっと、全部ばれてる。
ばれてる上で、こうなんだ。
……かないっこない、ずるいなぁ。 思わず笑いが零れる。
その腕に飛び込む様に 私はたったっと駆けて行く。
どさりと、そのまま体重を預け、 地面に押し倒せば。
ドスッ。
ナイフでラソルの 左目を突き刺した。
赤く、少し淀んだ色の血が舞う。
エリメス
嗚呼、できない、出来やしないよ。
堪えてきた思いが溢れ出して、 ぼたぼたと視界を濡らしている。
震えている手は もうナイフを振れそうにない。
駄目だ。こんなに非力だったんだ。
エリメス
首に何かが強く巻き付いて、 ぐんと上へ引き上げられる。
ぐらりと視界が宙に浮く感覚がする。鼻の奥がヅンと痛む。
息ができない。声が出ない。
持っていたナイフが手から落ちて、 地面にカラランとぶつかる。
落ちたナイフに手を伸ばす私に まるで応える様に、 ラソルもこちらへ、微笑みながら 撫でる様に手を伸ばしている。
____
ああ、意識が、薄らぐ。
走馬灯が見える。
ラソルが月華に映える事を知った、 あの日のこと。
あの子の紫色の瞳が、 揺れて、こちらを見ていた時の……
…?
エリメス
ちが、ちがう。そうだ。
なんで忘れていたんだろう。
ラソルの目は紫色だ。
_
じゃあ、じゃあこの、
__
目の前の、緑色の瞳は、誰の?
____
Dear my___crovver .
____