陸
あー退屈だ
陸
ったく、なんでこうなっちまったんかなぁ
俺は高校ニ年生
写真部に入部したものの、先輩はもう卒業して今は俺一人だ
陸
学校付近はもう大体撮り尽くしたし……
陸
しゃーない。ちょっと冒険に出るか
少し遠くまで適当に歩き、適当に写真を撮る。これが中々楽しいのだ
俺は扉に手をかけ、横に引く
陸
ん? なんか軽……
夏帆
あっ
陸
えっ
夏帆
……
陸
しゃ、写真部に何か用ですか…?
夏帆
あ、あのっ
夏帆
写真部に入部させてください!!
陸
………マジか
気付けばこの出会いから俺の日常は急激に変化していった
陸
あ、どうぞこちらに……
俺は彼女を椅子に誘導する
夏帆
ありがとうございます…
俺も椅子に座ったところで、質問を始めた
陸
なんで写真部に入部しようと思ったか聞いてもいいですか…?
夏帆
写真が好きで……あと…
彼女はチラッと俺の顔を見たあと、すぐさま下を向いた
夏帆
いや…何でもないです
陸
まぁ、別に入部を断る理由とか無いし……
陸
入部届持っている?
夏帆
あっ、はい!
陸
じゃそこに名前書いて……職員室に居る顧問に届けないとね
夏帆
わ、分かりました!
彼女はそう言うと必死にペンを走らせた
陸
そういや自己紹介がまだだったね
陸
俺は二年の田中陸。一応写真部の部長やってます
夏帆
私は一年の柊夏帆です…!
一年生か……
陸
柊さん…で良いかな?
夏帆
あっ大丈夫です
陸
あともっと砕けた口調でいいよ
写真部に上下関係特に無いし
写真部に上下関係特に無いし
夏帆
慣れないですけど……分かりました
陸
これからよろしく柊さん
夏帆
こちらこそ……よろしくね
はにかんだ彼女の表情は、女慣れしていない俺を5回ぐらい殺した
うまくやっていけるのだろうか……
夏帆
入部届書けたから、出しに行ってくる!
陸
ん、俺も行くよ
夏帆
あ、いいの?
陸
部長だしね
こうして写真部員は二人となり、新しい青春が始まろうとしていた
続く