桃
青
桃
俺は鏡の前に立って ため息を吐く
数日前から歯に異変があることは 気づいていた
改めて恐る恐る鏡を見ると 2本程度虫歯が広がっていた
俺の彼氏は歯医者
今素直に「虫歯がある」と言ったら 歯医者に半強制的に連れていかれる
でも昔から治療系が苦手な俺は
素直に彼氏に伝えられるはずも無い
桃
がちゃッ…
俺が頭を悩ませていた時 玄関から扉が開く音が聞こえる
リビングの方からは 元気な少年のような声が聞こえてくる
桃
俺はいつものように 仕事から帰ってきた彼氏を出迎える
青
青
クランケとは患者を表す医療用語
最初の頃は全く医療用語なんて 分からなくて
ネットで調べてメモをしていた時期も山々
でも、ようやく最近になって 覚えられるようになり
今では彼氏の話に医療用語が出てきても すぐに理解が出来る
青
桃
何かを疑問に思うように 首を傾げる青
桃
謎に勘が鋭い青は 俺のちょっとの異変にもすぐ気がつく
青
桃
早く口を開けてと急かす彼
俺は小さく口を開け 奥にある虫歯が見えないようにする
青
青はいつ付けたであろう ゴム手袋が装着された青の手が
真っ直ぐと俺の口元に近づいてくる
必死に抵抗しようとするも
青に両手を掴まれて 片手だけで押さえつけられる
桃
青
全く反省の色が見えないのは 気のせいだろうか
青はゴム手袋の付いた手で 俺の口を横にぐいっと引っ張る
青
青
そう言って青は俺ともう片方に持った スマホを交互に見る
青
桃
俺は警戒の目で青を見る
青
桃
突然のことで俺は頭が真っ白になる
青
青
そう言いながら俺の頬を つんつんと押す
桃
青
桃
俺はしまったと言わんばかりの顔で 青から目を逸らす
青
青
桃
いつから虫歯になったのかも ばしっと当てる青
この勘はどこから来たのかやら
桃
俺は唯一疑問に思っていたことを 口に出す
青
青
必死に隠していたつもりのものが 即バレしていて少し悔しい
青
桃
あんなたった数分の出来事で 何故虫歯があると断定出来るのか
青
青
桃
桃
青
笑顔には結構配慮していたつもりだった
けれど、それもいつものように即バレ
青
桃
青
桃
青
少し自慢げにドヤる青が 若干可愛いと思える俺はおかしいのだろうか
青
青
青の言葉に久しぶりに心がじんと沁みて 奥深くに何かが刻まれた
少し切なそうに微笑むキミは 何かが物足りなさそうで
俺は精一杯彼を抱きしめる
今出せる最大限の力で──。
桃
青
青は当たり前だと言うように 澄まし顔でこちらを覗く
午後14時頃
辺りは太陽で照らされて玄関にある 花が一段と綺麗に見える
が
俺の方はそんな訳もなく
ただ「行きたくない」 と青に反抗するだけ
青
小さいお母さんに見えて 少し青が可愛く見えるのは気のせいだろうか
青
俺は青の顔を見つめていたままで 青の言葉に今日の本題にやっと気づく
桃
青
桃
青
青は軽く俺の腕を引く
少し躊躇ったが、今青に何か言ったとしても 気にかけてくれるはずが無い
俺は黙ったまま 素直に青に着いて行くことにした
桃
青
桃
俺は心配で何度も同じことを聞く
勿論同じ答えが毎度返ってくる
青
青
桃
桃
青
少し嬉しそうに微笑む彼は まるで夏に咲く向日葵のようで
凄く眩しく見えてくる
青
青
桃
青
桃
青
桃
青
黙る俺に優しく 声をかけてくれる青
「歯を削る」ということが怖くて 想像するだけで鳥肌がたってくる
桃
青
心配してそわそわしている俺に 優しく頭を撫でてくれる
少し経ってから 青は俺の顔を覗き込んで
困ったような顔を俺に向ける
青
俺のせいで頭を悩ませている ということが凄く申し訳なく感じて
俺は思わず彼の服の裾を引っ張る
青
桃
青
青
桃
凄く俺の心配をする青に 俺は優しく声をかける
これで青が安心するとは思えないが 何もしないよりかはマシ
青
数分経ってようやく青が口を開く
桃
青
青
桃
治療室の中には 沢山の器具が用意されていて
少し躊躇う
青
桃
俺は渋々椅子に座り、 青が椅子の高さや角度を変える
その時点で俺は酷く緊張していて 手に冷や汗をかいていた
俺がその手をずっと見ていると 青が俺の顔をじーっと覗き込む
桃
青
桃
青
青
桃
青
そう言っていたずらっ子っぽく 笑う彼
この笑顔に 俺は惚れてしまったのだろうか
俺は青に半強制的に 開口器を取り付ける
そして彼は青色の ゴム手袋をつけ始め
開口器で開かれた 俺の口をぐいっと横に引っ張る
青は全体の歯を見て ボタン式のライトを俺の真上に照らす
青
それから青は 手馴れた手つきで器具を用意し始める
青
桃
俺は汗をかいた手をぎゅっと握りしめる
凄く嫌な音を立てて 俺の顔に近づいてくる
青のテクニックのおかげなのか
歯を削られている感じは あまり無い
少し経つと 突然嫌な音が聞こえなくなった
青
桃
桃
俺は思った以上に痛くなくて 思わず青に確認してしまう
青
青
桃
これまで必死に歯医者を 避けてきたのがバカみたい
俺は謎に悔しくて 曖昧な返事をする
青
桃
青
桃
これは前もって青にちゃんと 説明されていたし
痛くないとのこと
青はピンセットを使って 俺の歯に防腐剤を詰めていく
痛いと言うより気持ちいい
何故か癖になるような感じで
このまま力を抜いたら 寝てしまいそうなぐらい
青
青は俺に背を向けて 何やらゴソゴソと準備をしている
桃
青
桃
青
桃
聞いた事のあるような言葉で 俺は頭の中の記憶を駆け巡る
青
青
どうやらクラウンと言うものを作って 歯を削ったりなどして形を整えるらしい
それで虫歯の治療は終わり
意外と時間が掛かる 工程は無く
とりあえず一安心
あれから数時間後
俺はSNSを見て時間を潰す
そして長い時間椅子に腰掛けていた青は
椅子から立ち上がり こちらを振り向く
青
青
青はまた椅子の角度を変えて ライトをつける
すぐ目の前には先が細い 機械があって
クラウンをつけるということに 少し抵抗したくなる
目を開けても 青の顔は逆光で見えない
でも段々と機械が近づいてくることは 一瞬で気づいて
日和ってる俺はすぐに目を瞑ってしまう
青は椅子の微調整をしたり 周りの器具を整理しながら言った
青
青にそう元気で告げられる
青は開口器を外して 俺が喋れるようにしてくれる
桃
青
改めて喋ってみると、 奥歯に少し違和感がある
けど、痛みは中和されているみたいで
とりあえず安心
桃
青
青の許可を得て 近くにある洗面台に顔を近づける
思いっきり口を開けると他の歯とは違う、 クラウンが付けられた歯があった
桃
青
青
桃
桃
青
青
桃
青
やっぱり彼は俺の事を 何でもお見通し
俺の彼氏が 1番です
- 𝑒 𝑛 𝑑 -
書くの凄く難しかった🥲💕
最近桃赤💗❤️ハマってます(
今度桃赤投稿してみるっ💭
リクエストくださいっ✊🏻 ̖́-
ペアは一応自由です🤧💙💛
コメント
4件
いれいすのしょうちゃんとすとぷりころんくんでお願いします 歯医者バージョンで!
逆みたいです