キーンコーンカーンコーン
授業の終了の鐘が鳴った
担任
おい姫、ちょっといいか?
姫
はい、なんでしょうか?
担任
ここじゃなくて、屋上で話さないか?
姫
わかりました
では準備が終わり次第行きます
では準備が終わり次第行きます
私は先生から呼び出された
暁斗
担任から…
なんかしたのか姫?
なんかしたのか姫?
姫
なにも…
姫
舞台のことかもしれないなぁ…
姫
暁斗はなんも言われてないの?
暁斗
別に?
俺は何年か前からしてるし
俺は何年か前からしてるし
何か気にかかる 姫が浮かない顔をするのは何かあったときだ
姫
だからごめん、今日は一緒に帰れないかも
暁斗
いやいいよ、俺は待ってるから
姫
本当?
ありがとう!
ありがとう!
本当は姫を見ておくため 今日、何かが起きる 本能がそう語っている
遅っせぇなぁー 俺も忙しいんだ
担任
チッ
姫
お待たせしました
なんでしょうか?
なんでしょうか?
担任
姫さ、暁斗と同じ劇団に入ったんだろ?
姫
はい
担任
なあ、俺との約束忘れたのか?
なあ!
なあ!
姫
わっ、忘れてはいません
担任
じゃあなんでこんなことをした!
担任の怒号は屋上に続く階段にも響いていた
姫
それは…
担任
またはぐらかすつもりなのか?
姫
そんなことは…
入学式終わり
担任
姫、ちょっといいか?
姫
はい
なんでしょうか?
なんでしょうか?
担任
俺と約束をしてほしい
姫
約束?
ものによりますけど
ものによりますけど
担任
姫はこの学年で数えられる数しかいない優秀な存在だ
だから、今年は勉強だけに集中してほしい
だから、今年は勉強だけに集中してほしい
姫
はあぁ…
担任
いいか?
姫
(これってパワハラ?)
担任
いいよな?
姫
は、はい
担任のその顔は選択を間違えたらまるで何かをしでかしそうな顔だった
担任の本心は見え透いている
優秀な私がいて、成績が良ければ担任の評価が上がる
早く出世できる そう考えたのだろう
姫
(OKって言っちゃった…)
暁斗
姫どうしたの?
暁斗
浮かない顔して
姫
いや、何もないよ
暁斗
そう…
そして現在…
担任
OKって言っただろ?
担任
約束を守らないのはどういうことだ?
姫
えっと、それは…
担任
はあぁ…
わざとらしく大きなため息をついた
姫
ごめんなさい
姫
約束を破るつもりはなかったんです
姫
でも…
担任
言い訳をする奴はみんなそう言う
担任
そんな言い訳は通じないぞ
担任
しかも、ボイトレに行くために学校を早退するだって?
担任
冗談もいい加減にしろよ!
姫
でも…
担任
言い訳をするな
担任
チッ
担任は大きく手を振りかぶった
私は怖くて目を瞑った
叩かれる… 怖い、助けて…
私は声にならない声で助けを求める
俺は思わず体が動いた 衝動的に
というか、本能的に
暁斗
おい、
姫
えっ?
暁斗は聞いたことのない低い声で担任を呼んだ 私は間の抜けた声が出た
気がつくと暁斗が担任の手を握っている
私を守ってくれたんだ