ストーカー
キミに焦がれているんだよ

ストーカー
だからーー

りうくん
触るな

ちょこぺろ
うちの大事なチームメイトに、汚い手で触らないでもらえますか?

ストーカー
あーあ、やっぱり来るよね。こういうの

ストーカー
でもいいのかな?そんな口答えして

ストーカー
キミたちの大事なオトモダチはこちらで預かってるんだよ?

メロン
っ……

ストーカー
メロンくんのその表情とってもいいね!

ストーカー
写真に撮って額縁に入れて飾っておきたいくらい

りうくん
…お前

ちょこぺろ
待って。落ち着いて

ちょこぺろ
ここでやり合っても意味がない

りうくん
でも!

メロン
…俺は大丈夫。2人ともありがとね

ストーカー
そこの青い帽子の彼とは違って2人は賢いね

りうくん
何だと?

ストーカー
……言っていなかったかな。俺は別に1人で動いているわけじゃない

ストーカー
俺には共犯者がいるんだ

ストーカー
強くて有名なキミたちは、さぞ恨みも買っているだろうね

ストーカー
脅しじゃないけど、俺に危害を加えたら共犯者がオトモダチを殺しちゃうかもね

メロン
…どうしたらろぶすた〜を返してくれる?

ストーカー
もちろん!タダでとはいかないと分かってるよね

ストーカー
そうだね…

ストーカー
そうだ!ゲームをしようか

ストーカー
メロンくんが勝ったら解放してあげるよ

メロン
本当だな?

ストーカー
本当だよ。…キミが勝てるかは分からないけどね

ストーカー
まあ、その前に食事にしようか

ストーカー
折角、レストランに来てくれたんだもの

ストーカー
ご馳走してあげるよ

そう言うと、男は楽しげに手を叩いた。
間を置かず、店員がひとりひとりに料理を運んでくる。
並べられた皿を見た瞬間、メロンの表情がわずかに止まる。そこにあったのは、すべてメロンの好物だった。
ストーカー
喜んでくれたかな?

ストーカー
どれもキミの好物ばかりだろう?

メロン
お前…いつから

ストーカー
ふふ…いつからだろうね?

ストーカー
ほら、食べてよ。せっかく用意したんだからさ

ストーカー
…全部、ちゃんと食べてくれるよね?

3人は恐る恐る箸を取り、料理に手をつける。一口、また一口と、ゆっくりと食べ進めていく。
その様子を、男は満足げに眺めていた。視線がまとわりつくようで、落ち着かない。
緊張で、味など感じる余裕はなかった。
すべて食べ終えると、男は静かに手を叩いた。
それに応じるように、水の入った透明なグラスが2つ、運ばれてくる。
ストーカー
さあ、お待ちかねのゲームをしようか

ストーカー
1つはただの美味しい水。もう1つは、俺の共犯者が丹精込めて作った『君の選手生命を断つ薬』が入っている。

ストーカー
オトモダチを無傷で返してほしければ、どちらかを選んで飲み干してよ

ストーカー
そしたらキミの勝ちだ

りうくん
ふざけるな!そんなのどっちに毒が入ってるか分かったもんじゃない!

りうくん
俺が飲む!

ちょこぺろ
メロン、飲むな!俺たちがなんとかするから!

ストーカー
だめだよ。それじゃ退屈だ

りうくん
…あ?

ストーカー
主役はメロンくんなんだよ

ストーカー
君たちが動けば、俺の『共犯者』が、指を一本鳴らすだけでオトモダチの部屋に火を放つ

ストーカー
…さあ、メロンくん。選ぶんだ。キミの『オトモダチ』は、自分の身を削るほど価値があるものかな?

メロン
(どちらかのグラスの水を飲むだけ…)

メロン
(ただし、片方は猛毒ってことか)

メロン
(たとえ猛毒でも、飲み干せばろぶすた〜は解放される)

メロン
(アイツの言う通りなら)

メロン
(なら、簡単だ。やることは1つ…)

肩が上下し、指先が震えを止められない。視線はグラスに縫い付けられたまま、動けない。
メロン
(―分かってる。落ち着け、俺)

ストーカー
いいよ、メロンくん。震えているね。もっと怯えて、もっと無様に、泣いて縋ってくれてもいいんだよ……?

ストーカー
そうだよ。君のその綺麗な瞳が、絶望だけで塗り潰される瞬間が見たかった!

……数秒の沈黙。
やがて、メロンが深く、長く息を吐く。その吐息とともに、震えは嘘のように消えた。
メロン
…期待外れで、申し訳ないね

ストーカー
…え?

かすかに嘲笑を浮かべ、ためらいもなく右のグラスを掴み上げる
メロン
アンタが求めているのは、俺の『絶望』だろ?

メロン
でも残念だったね。俺が恐れているのは死じゃない。仲間の命を守れないこと、

メロン
そして…アンタのような卑怯な観客に、俺の心が屈することだよ

ストーカー
待っ、メロンくんーー

男の言葉を遮り、喉を鳴らして一気に飲み干す。その姿は、毒を仰ぐ殉教者のように気高く、美しかった。
メロン
…さあ、約束通りろぶすた〜を返せ。それとも、『共犯者』なんていうのもアンタがついたただの『嘘』だったか?

ストーカー
…

ストーカー
……っ。はは……あはははは!

ストーカー
すごい、すごいよメロンくん!

ストーカー
キミはやっぱり泥の中に引きずり下ろしても、まだそんな風に輝けるんだ……!

ストーカー
俺の完敗だよ…!
種明かしすると、2つとも毒は入っていない。
どちらもただの水だ。

ストーカー
……ふふ、いいよ。
今日は満足だ

ストーカー
オトモダチはもうキミの家の前に送り届けさせてある。…今日は、帰っていいよ

その言葉を聞くと、メロンはちょこぺろとりうくんを促し、背を向けて出口へ向かう。
男は、その背を獲物を狙う蛇のような眼差しで追い、ぽつりと独り言を漏らした。
ストーカー
ここで折れて泣いてぐちゃぐちゃになれば満足してポイしようと思っていたけど…

ストーカー
ああ、期待以上だよ!

ストーカー
あの気高さ、輝き、仲間を想う心の強さ…あれはメロンくんにしか出せない

ストーカー
本当に壊しがいのある子だね…

ストーカー
…ああ、ダメだ。
これ以上俺の脳を焼かないで欲しいな…我慢できなくなるじゃないか。

ストーカー
…待っていてね、メロンくん

ストーカー
キミがその光を失って、俺の腕の中でしか呼吸できなくなるまで…俺は、絶対にキミを離さない

ストーカー
…ふふ、どうやったら壊せるかな。
これからが楽しみだよ。
