テラーノベル
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僕は、夜の街の片隅で立ち止まっていた
声にした瞬間
胸の奥から溢れ出した重さに自分でも驚いた
誰もこちらを振り返らない雑踏のなかで
僕だけが「透明な硝子の欠片」みたいに取り残されている
そんな気がした
振り向くと、暗がりにひとり、静かに笑う人影がいた
かすれた声で問い返すと、彼は迷いなく答える
その言葉に、心臓が確かにここにあることを思い知らされる
彼は首を横に振った
僕は気づく
自分を縛っていたのは
世界ではなく
自分自身だったことに
ほんの少しだけ
消えたい気持ちが「生きてみようか」という灯に変わっていく
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