悠也
俐乃の、俐乃さんのこと?
悠也は俐乃をさん付けで言い直した
お兄さん
さん付けじゃなくても良くない?悠也の方が年上だし…仮にも兄妹だし…
悠也
き、兄妹⁉︎
祖母
そうそう!
俐乃
………
悠也だけが会話についていけなかった
祖母
正確に言うたら従兄妹やね
俐乃
……
祖母の訛りは何処の方言か分からない
色んなのが混ざっているようなものだった
悠也
(え?まてよ、何で?なんで俺だけ知らないんだ?)
混乱する悠也をみて、お兄さんはようやく詳しい説明を始めた
お兄さん
俐乃ちゃんは養子なんだ
お兄さん
去年貰ったばっかりさ
俐乃はコクリと頷いた
悠也
じゃあ、俺が引きこもるようになったすぐ後?
お兄さん
そのぐらいかな
悠也は俐乃をじっと見つめた
俐乃
……
見つめられた俐乃は戸惑ってしまった
お兄さん
おい、悠!そんなに女の子のこと見つめちゃダメだぞ!
悠也
あ、ご、ごめん
祖母
そーゆことだから、仲良くしてやってぇーな!
二人は帰り道についていた
俐乃
…悠也さん
ふいに俐乃が言った
俐乃
突然部屋に押しかけてしまってごめんなさい、あと無断で部屋に入ったことも
悠也
え?あ、いや
悠也
別に気にしてなかったし…
悠也
その…急ぐような話だったし…
俐乃
…
俐乃
あと、説明もちゃんとしてなくてごめんなさい
悠也
え、あの…、別にそんなに謝らなくても…
悠也は少し戸惑った
悠也
そ、それにさ、俐乃はあれでしょ?
悠也
妹ですとか、ばあちゃんが入院したとか言い出しづらいし
悠也
言葉、選んでたんでしょ?
この午後一緒に過ごしただけでも、俐乃が他人の気持ちをすぐに察する子だと分かった
俐乃
え?…
悠也
あれ?違った?俺の自意識過剰?
俐乃
あ、いえ…違くはないです、けど…
悠也
…?
俐乃
いえ、何でもありません
俐乃
お気遣いありがとうございます
悠也
…ど、どういたしまして…
(つくづく真面目な子だなぁ…)
(つくづく真面目な子だなぁ…)
悠也
あ、あのさ、仮にも兄妹なんだし…その敬語辞めない?
俐乃
…頑張ります…
悠也
…(俺って信頼されてない…?)
悠也
ただいま〜
時はもう5時を回っていた
悠也
(そう言えば…昼から何にも食べていなかったような…)
俐乃
…食事にしますが、何かご希望は?
悠也
⁉︎(お!ナイス気配り!)
悠也
じゃーあ、カレー
俐乃
分かりました
悠也
…あ、
悠也
俐乃さ、昼飯まだ食べてなくね?
俐乃
…はい…
悠也
うわぁ、食事の準備手伝うよ
とは言っても、悠也にとっては1年ぶりのキッチンだった