秘密の館

俺たちはヴァンパイアハンターだ

ここにいる仲間は捨て子の俺を親切に ここまで育ててくれた

だから俺も恩返しがしたくて ヴァンパイアハンターの見習いになった

別れも多々あった

でも、だからこそ

俺は立派なハンターになるんだと 心に決めていた

あれ

皆んなが

※夜中です

なんだ今の…夢？

まぁ確かに ヴァンパイアだもんな

なんていうか…アホだ

うわ、なんか今 目合わせちゃいけない気がする

ったく、 三大欲求食欲で埋まってんじゃね？

ﾊﾞﾀｯ

あれ、なんで俺 橙のこと助けようとして…

ｶﾞﾌﾞｯ!!

急に本性出しやがって！ 今すぐ討伐してやりたいけど、、

ﾌﾟﾊｧｯ

てか普通に十字架克服するとか どうなってんだよ

こうして見ると、 人間となにも変わらないんだよな

料理だってしないで 人間を好きにすることも できるはずなのに

俺がヴァンパイアハンターであることに 変わりはない

でも今まで俺が知らなかっただけで いいヴァンパイアも居るんじゃないか？

俺たちを無理矢理喰うこともできるのに そうしないのも

仲間の為に夜遅くまで研究してる 人間の情らしさも

そういうところを見ていると そんなふうに思えてくる

そう思い、俺は夢に任せて もう一度眠ることにした

やっぱ二度寝はよくないな 結局夢の続きも見れなかったし

いつも橙が頑張ってたんだな

ｺﾝｺﾝｯ

返事がない…ってことは まだ寝てるのか

ｶﾞﾁｬ

橙の部屋の壁には一面に レシピの考案書が貼り付けられていた

ハンターの修行で そんな暇はなかったけど

俺も料理には少し興味があった

ﾊﾟｼｯ

やっぱり全てのヴァンパイアを 敵だとみなすのは間違ってる

みんなにもちゃんと伝えれば 分かってもらえるかもしれない

ﾊﾞﾝｯ!!

ﾊﾞﾀﾝｯ

最悪どっちかがって場合も…

どうせ暗くなれば俺らの方が上手だ

こんなやつらと一緒に居たなんて 考えるだけで反吐が出る

信頼してきた奴に裏切られる

桃がそんな思いをするぐらいなら 今ここで口を塞ごう

鍵閉めるとかどんだけ厳重なんだよ！

おかげで窓割る 羽目になったじゃねえか！！

そうすれば記憶も少し戻るかも

橙たちも悪いやつじゃないんだって 伝えてみよう

えっ、ちょ…何やってんの！？

ｶﾞｻｯ!!

計画…？

なんか…雰囲気が、

俺があと少しで‪✕‬ぬ？

さっきからみんなの様子がおかしい

名前で呼んでくれない ずっと怒鳴りつけられる

怖い

ダメだ。泣いたらダメだ

今までずっと一緒に過ごしてきた 優しい仲間が、思い出が 最初から全部嘘だったなんて

信じたくない

今会ったら、多分 いや確実に泣く。なんか…無理

待ってるわけねぇだろ

ﾊﾟｯ

感情がぐっちゃぐちゃで どう話したらいいか分からない

いい意味で、敵に回したくないな

みんなが居なかったら 俺は今ここにいない

仲間からもらった命だから どう使われても気にはしない

でも実際、俺自身が見たわけでも 被害に遭ったわけでもない

仲間に捨てられて 橙たちにも迷惑かけて

もう生きてる価値すらない

ｷﾞｭｯ

涙が止まらない 顔を見られたくない

そこに自分の意思は無い

そうしないと、また裏切られる恐怖を 突きつけられてしまう

このほんの少しの期待には 気付かないふりをして

俺は橙と館に帰った