幼い頃
らんは路地裏にいつも1人でいた
今でも覚えてる。
紫
ねぇ、なにしてるの?
桃
…。
何を聞いても答えなかった
俺は同情とかなんでもなく
ただの好奇心でらんと 話すようにした
紫
なんでこんなとこいるの?
桃
…。
紫
おかあさんは?
桃
…。
紫
…。
紫
身体、冷たくなるよ?
桃
…。
俺は着ていた上着をらんにかける
するとらんは
さっきまで着ていたからなのか
その温もりに包み込まれるように
泣き出した
桃
ッポロポロッ
紫
ぇ、ぁッ💦
桃
…どぅ…し、て…ッッ?
紫
ぇ?
紫
……ひとりだったから…?
桃
…へんなひと、
紫
かもしれないw
それから俺は毎日らんに 話しかけにきた
紫
らーん!
桃
いる、ま
紫
きょうのごはんはねー
紫
ゼリーとおかし!
桃
ふふっニコッ
紫
ほら、食べな?
俺はあえてらんの事情は 聞かなかった。
“兄さん”みたいなことだったら 嫌だったし。
桃
…どうして、
桃
いるま、は、やさしく、するの、?
紫
…んー…
紫
……おれね、
おにぃちゃんがいるんだ。
おにぃちゃんがいるんだ。
桃
おれもいるよ、
紫
ッッ!
紫
…おれのおにいちゃんはさ、
紫
おくびょうでおかあさんたちに
きたいされてて、
きたいされてて、
紫
それにこたえなきゃって
紫
おいつめられて
紫
いま、おにいちゃんは
ひきこもった。
ひきこもった。
桃
…。
紫
…そうやっておかあさんとか
紫
いえのじじょうでいやなこと
あるならおれはきかない、
あるならおれはきかない、
紫
わかってしまうから
紫
おれも、
けいけんしたがわでなくても、
けいけんしたがわでなくても、
紫
…それがどういうものか、
わかるから。
わかるから。
桃
…そっか、
桃
やさしいよ
紫
……もしさ、
桃
ん?
紫
らんがだいじょうぶになったら
紫
またおしえてよ、
紫
かこのはなしはすてて、
紫
わらいばなしにかえれる
桃
…そんなはなしにしようか、w
紫
…うんw
でもある日
らんはここから消えてた
紫
…ぇ?
紫
なんで、
そこから2度とここに 戻ってこなかった。
紫
…あの日らんは、
紫
親に売り飛ばされてたんだ
桃
……。
紫
…助けてあげたかった
紫
俺があの日
紫
もっと早く…
紫
らんとッ…
桃
違うよ…
紫
…ッッ
紫
俺はさ…あの日海で見た
らんを見た時
らんを見た時
紫
一目で分かった
紫
…だから今度は離さない…ッ
紫
だから…お願い。
紫
俺と、
紫
俺らと…
紫
もう一度。
桃
未来作りますか、?
紫
…wつくろ…!
桃
…はぁ〜ぁ、
桃
最初からそう言っといてよ。
紫
ごめんw
紫
…体調どう?
桃
…みんな外かな?
紫
ぁー、中庭じゃね?
桃
行くか。
紫
歩けそう?
桃
やばかったらいるまに
突進するから。
突進するから。
紫
やめて?