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【深夜・裏路地】
暗い路地裏。生臭い血の匂いが漂う。
カルロス
カルロス
カルロス
エイダンは目の前の男を見下ろす。
顔が腫れ上がり、呼吸も浅い。
震える手を地面につき、うわ言のように
「助けてくれ」
と繰り返していた。
エイダン
カルロス
カルロス
カルロスが無造作にナイフを差し出す。
銀色の刃が街灯の光を受けて鈍く光る。
カルロス
カルロス
カルロス
カルロス
エイダンは無言でナイフを受け取る。
弟たちを守るためには、ここで引き返すことは出来ない。
だが───
エイダン
男が嗚咽を漏らす。
その声がエイダンの耳に張り付くように残る。
視界の端でカルロスが苛立たしげに舌打ちをした。
カルロス
カルロス
エイダンは歯を食いしばり、ゆっくりとナイフを持ち上げる。
血が滲む指先。
震えを抑えながら、決意を固める。
エイダン
鋭い刃が空気を裂く。
そして、男の悲鳴が響く───
数時間後。
エイダンはシャワーを浴びながら、震える手を見つめていた。
血が落ちても、手にこびりついた感触は消えない。
エイダン
ドアの向こうからリオの声がする。
リオ
エイダンは深く息を吐き、声を落ち着かせた。
エイダン
鏡に映る自分の顔は、もう
"ただの兄"
ではなかった。
エイダン
夜の街。
ネオンが薄汚れた路地裏を照らしている。
エイダンは車の助手席に座り、硬く拳を握っていた。
ヴィンセント
運転席の男、ヴィンセントがニヤつきながらエイダンの肩を叩く。
エイダン
ヴィンセント
ヴィンセント
エイダンは手を握り直し、冷たい視線を送る。
ヴィンセント
ヴィンセント
カルロスが後部座席から口を開く。
カルロス
カルロス
カルロス
エイダンは黙って頷いた
カルロス
カルロス
カルロスが懐から銃を取り出し、エイダンの膝の上に置く
カルロス
カルロス
エイダンは銃を見つめる。
冷たい金属の感触が指先に伝わる
昨日とは違う
この手で直接、人を殺すことになるかもしれない
エイダン
指定の倉庫
静寂が広がる
エイダン、カルロス、ヴィンセントが車を降りる
ヴィンセント
倉庫を開けた瞬間───銃声が響く
敵の男
エイダンの肩越しに銃弾が飛び、背後の壁に穴が空く。
カルロス
敵組織の男たちが銃を構え、こちらを囲む
敵の男
敵の男
エイダンは迷わず銃を抜き、敵の一人に照準をあわせる
エイダン
次の瞬間、カルロスが先に撃った
敵の一人が崩れ落ちる
エイダンの鼓動が早まる
銃声、叫び声、硝煙の匂い
すべてが混ざり合う
エイダン
エイダンが引き金を引く
敵の男が倒れる
その瞬間、世界がスローモーションのように感じられた
血が飛び散り、エイダンの服を汚す
エイダン
銃を握る手が汗で滑る
だが、立ち止まるわけにはいかない
数分後、敵の残党が逃げ去り、倉庫には沈黙が戻る
カルロス
カルロス
エイダンは何も言わず、血まみれの手を見つめる
エイダン
薄暗いバー
酒と煙草の匂いが漂う
エイダンは無言でグラスを傾ける
喉を焼くアルコールが、まだ冷めない興奮を落ち着かせるようだった
ヴィンセント
隣でヴィンセントが笑う
カルロス
カルロス
カルロス
エイダンは黙ったまま、グラスを置く
エイダン
カルロスが煙草に火をつけ、ゆっくりと紫煙を吐く
カルロス
カルロス
カルロス
カルロス
エイダンは無言で頷くしかなかった
ヴィンセント
ヴィンセントが小さな袋を取り出し、テーブルに置く
中には白い粉
ヴィンセント
エイダンはその袋をじっと見つめた
エイダン
カルロスが袋を取り上げ、ヴィンセントの額に投げつける
カルロス
カルロス
ヴィンセント
カルロスがエイダンの肩を叩く
カルロス
カルロス
カルロス
エイダンはゆっくりと息を吐き、心に刻む
エイダン
この世界に"正しい道"なんてあるのか?
夜の街
エイダンはバーを出て、静かに歩く
携帯が鳴る
画面にはリオの名前
リオ
エイダン
エイダン
リオは少し黙った後、小さな声で言う
リオ
エイダンの胸が痛む
エイダン
エイダン
遠くで警察のサイレンが響く
エイダンは夜空を見上げた
この道を選んだ以上、もう戻れない───