春野綺羅子
乱歩さん、焼きたての大判焼きがありますよ
江戸川乱歩
ほんと!?
江戸川乱歩
冷めちゃうから早く頂戴!
春野綺羅子
お茶も煎れ直しましょうか
江戸川乱歩
うん、お願い〜
乱歩さんが綺羅子さんと そんな会話をしているのを、
パソコンに向かいつつ 盗み聞きする。
葵波翠璃
( 綺羅子さんとは仲が良いんだなぁ )
私は乱歩さんに 嫌われているんだと思う。
前に私が頼まれて 駄菓子を買いに行った時、
江戸川乱歩
えー、これ僕の好みじゃない
なんて云われてしまったし。
まあ、乱歩さんの好みを 把握していなかった、
私が悪いんだけど。
其れに比べて綺羅子さんは よく気が利く。
此の対応の差にも 納得出来てしまう。
そんな、ある日。
乱歩さんにお茶を出すと、
江戸川乱歩
苦っ!
江戸川乱歩
お茶っ葉は少なくて良いって前に云ったよね?
と怒られてしまった。
葵波翠璃
ご、ごめんなさい
江戸川乱歩
本当君は…まったくもう
春野綺羅子
今煎れ直すから、翠璃ちゃんは仕事に戻って大丈夫よ
ウンザリした顔の乱歩さんと 謝る事しかできない私。
すると綺羅子さんが そうフォローを入れてくれた。
葵波翠璃
すみません…
葵波翠璃
お願いします
俯く私に綺羅子さんは 優しく微笑んでくれる。
その励ましに、 ズキリと胸が痛んだ。