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東京リバーシブル
外は夜の明かりが増え始め、東京はまだ静まる気配を見せない。
ひと息ついた俺は、いまこのフロアに自分だけしかいないことに気づく。
時計の針は時を回っていた。帰る支度をし、ビルを出る。 暗い道には、疲れ切ったサラリーマンたちが家へと歩いている。
その中を歩いていると、少し離れたところから声が聞こえた。
酔っ払いが学生らしき男に絡んでいた。
助けたほうがいいと思いながらも、正直面倒だと無視しよようとした。
…そのとき。
俺の名前を呼んだ?
仕事でも友人でも、皆俺を苗字で呼ぶ。
名前で呼ぶやつなんて――
その声で、ようやく思い出した。
高校の後輩で・・・元恋人。
振り向くと、整った顔立ちの学生と、その腕を掴んでいた酔っ払いがこち ちらを見ていた。
酔っ払いは舌打ちし、ふらつきながら去っていった。
黒田小太郎
山村律
黒田小太郎
山村律
黒田小太郎
その言葉と同時に君は悲しい顔をした。
黒田小太郎
山村律
黒田小太郎
半ば強引に言われて、スマホを渡す
指先が、一瞬だけ触れた
黒田小太郎
そう、小さく囁かれた
黒田小太郎
振った後俺は、連絡先も全部消した。
——また、思い出してまった。
黒田小太郎
黒田の乗った電車がゆっくり動き出す。
ガラス越しに見える彼の姿は、もう小さくなっていくのに、
夜のホームには、風とアナウンスだけが残る。
気づけば、携帯を握る手に力が入っていた。