残り少ない人生を

あれから5ヶ月の入院とリハビリを経てやっと退院が出来た

退院のことはメンバーには言ってない

言ってないって言うか、これからも言わない

このままみんなと離れれば、

このままひとりで生きていけば、

心臓病って診断されてから6ヶ月はたったはずなのに未だに死ねてない

でもそろそろだと思う

メンバーと会ったのが5ヶ月前だなんて、やばいかな...

いや、これは俺が決めたことなんだ。

悪いことは無い

もう合理的にシクフォニは抜けてる判定だと思う

まだ何も見てないからわかんないけど...

死期も近い、なんなら今日かもしれない

だから今俺はこうして退院したあとすぐに引っ越した隣町のアパートのソファの上で死期を待つ

俺はそのまま

意識を手放した

良く考えれば朝起きて第一声目が｢あ、死ななかった｣だなんて、パワーワードだなぁって思う

そして今日は月一の診察の日

心臓病についてだ

もうすぐ死ぬのに...

洋服はその辺に洗濯してから畳まずに置いてある山済みの中から適当に取って着る

財布だけをもって病院へ向かう

スマホなんていらない。

誰とも連絡なんてとる必要が無いし、暇つぶしなんてしてもしなくても暇なもんは暇だしいらない

必要最低限のものだけを持って出かける

これが俺の出かける時のルーティン

今は診察の待ち時間

こんな時間あるなら今すぐにでも死にたい

でも死ねない

あぁ、俺弱虫だなぁ笑

あ、てか待って、これって病み連載じゃなかったはずなんだけどn...

あ、呼ばれた

くん付け、優しい言い方

これはおじいさんお医者さんあるあるだと思う。

俺は嫌いじゃない。

むしろ安心する

診察後

なにそれ、死ねないってこと？

俺に死ぬ意味は無い。

メンバーと会うことが無くなったから。

でも、死なない限りこの苦しい思いは無くならない

今まで大好きなメンバーのみんなと積み上げてきたもの

今まで優しくしてもらったこと

こさめちゃんやなっちゃん

メンバーに1度嫌われたという称号を手にしてしまった今、それ以上に悲しく、苦しいものは無い

なら、今までのメンバーとの積み上がってきたものは忘れて、この称号だけをつけて生活すれば、

メンバーへの心残りなんてないだろう

申し訳ない気持ちなんてないだろう

なら、俺は今生きる意味ができる

もちろん死ぬ意味もない

てことは俺は生きるという選択肢しかないのだ

なら、本当の寿命まで生きてやろう

メンバーのことなんか忘れて、申し訳ないという邪魔な気持ちなんか忘れて

ここの暮らしを幸せに過ごそう

なんなら大阪戻ってもいいし、

そっちの方が友達も多いだろう

なんせ地元だから

あれから１ヶ月。

俺は大坂に戻って実家で暮らしている

高校の時の友達とかとも再開して今は待ち合わせ場所に向かっているところ

久しぶりに会ったのにこんなにも仲良くさせてもらってる

お母さんもお父さんもお兄ちゃんも俺の帰還に喜んでくれた

俺、今幸せだよ

あの大喧嘩から１ヶ月。

こさめたちはリスナーさんに4人の脱退と、今まで無断で7ヶ月もの間チャンネルを動かしてなかったことについて2人で謝罪した

リスナーさんも酷く悲しんでいた。

そりゃそうだ、大半のリスナーは推しを失ったんだから

個人のチャンネルも消したらしいし

ほんと、薄情者だよね、あの3人

それでもシクフォニリスナーだった過去があるからと言った理由でチャンネル登録を外さずにしてくれているリスナーさんは、ほんとに優しさに包まれた方だと思う

今はなつくんとなつくんの家で会議中

人数も少ないから決めることもやることも今までよりも多くなって休む暇なんてないくらい

こんな急な事態でも優しいリスナーさんのためにも、と思ってほとんど毎日投稿している

リーダーが居なくなった今、シクフォニのリーダー兼司会はなつくんがやってくれている

こさめはその分なつくんの編集などをやったりとなつくんを最低限休ませるようにしている

そんな中動画や配信ではなつくんが元気に嫌な顔ひとつ見せず頑張るから、こさめも頑張れる

ほんとにありがとうなつくん

でも、

今が幸せかと聞かれると、そうじゃない

こさめが頑張ってくれるから、俺が頑張れる

こさめがいるから、生きようって思える

本当は怖いだろうに、寂しいだろうに

でもそれは俺も一緒だから、一緒に生きよ？って言えた

こさめも、俺も、今は幸せにはなれないみたい

みことは幸せかなぁ

これが、“メリーバッドエンド”というものだ

今までありがとうございました！！

いつでも見たくなったら戻って来てね！😊

残り少ない人生を

Happy End/幸福な結末 【完】

Merrybad End/受け手によって異なる結末 【完】

『残り少ない人生を』