この作品はいかがでしたか?
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私、秋風つぼみは人間が嫌いだ。
とは言っても、嫌いなのはあくまで生身の人間に限っての話。
それ以外であれば、特に問題無く存在を受け入れられる。
だから、私はイラストやアバターに声と魂を入れられた
アニメキャラやVチューバーという存在は好きだ。
私がこうなったのには、とある体験が影響している。
あれは確か、五・六歳の事だったと思う。
その夜は暑かった。
そのせいか、いつもなら一人でも寝付けるのに、私はなかなか眠れずにいた。
しばらく、目を閉じていると、こう感じた。
喉が乾いたと。
だから、水を飲みに行こうとした。
私は部屋から出た。
廊下が何故か騒がしかった。
私が進むほどに、どんどんうるさくなっていく。
そして、その音がどこからしているのかわかった。
ママとパパの部屋の明かりがドアの隙間から差し込んでいた。
音はそこからしていた。
今思えば、嫌な予感はあった。
だが、喉の渇きが。眠気が。
夜の魔力がそれを誤魔化していた。
気付けば私はドアの前に立っていた。
その隙間から、中を覗いた。
裸のママとパパがベッドの上で暴れていた。
私は知った。
人間という生物の汚さ、醜さを。
喉の渇きはもう、どうでも良かった。
それなのに、その日は眠れなかった。
それから私は人を信じられなくなった。
あんなに優しかったママも
あんなに愛してくれたパパも
醜さを持っていると知ってしまったから。
大人は皆んな言った。
良いところをよく見て、人を判断しなさいと。
だから、私はよく見た。
そう言ってた大人は、皆んな醜かった。
この社会は醜かった。
ネットにはそんな社会に適応出来なかった仲間が沢山いた。
仲間は温かく、優しかった。
その行動の裏には、醜い考えもあったのかもしれない。
それでも、直接見えないというだけで真偽はわからなかった。
それだけで、十分だった。
私が普通でいられてると思えたから。
でも、この世界はそういう自由な生き方を許してはくれないらしい。
私は学校に行かなければならなかった。
小学校は地獄だった。
まだ何にも染まっていない人間が、醜い大人によって正しく醜くあれるように矯正されていく。
そんな様子を見る必要があったからだ。
学校はつまらなかった。
私は教わる事の全てを、人並み以上にできた。
私が簡単に理解できる事に何時間も使う醜い者たちを見てもつまらなかった。
でも、その醜い者たちの中に、他と違う者がいた。
隣のクラスの「愛田さくら」さん。
彼女は抗っていた。
この醜い社会に。
何も考えていないように振る舞いながら、
苦しそうに笑ってた。
だから、中学校の入学式で彼女を見つけた時は驚いた。
私は変わりたかった。
もう、うんざりだったのだ。
私も人間を好きでいたい。
そう思って、私は彼女にその場で話しかけた。
彼女に出会って私は変われたかな?
どうだろう……
ただ、友達ごっこをして、現実を見ないでいたような気がする。
いや、変わった事もあったな。
私はくも君を好きになれた。
それと、サキとはもう友達じゃない。
たぶんいつか、さくらとも友達じゃ無くなってしまうのだろうな。
そうか、もう友達じゃないのか。
あの時の「変わりたい」という想いは、どこに行ってしまったのだろう。
私の今までの人生は何だったのだろう。
意味なんて無かったのか。
それなら
もういっそ、死んでしまおうか。
そう思ったその時だ。
シャラン
机から音がした。
私は布団から出て、机まで行く。
そして、引き出しを開いた。
これはーー
コメント
2件
チャット …?? 今回もおもろかったです!
チャットノベルとは思えん