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私、石崎サキは自分が嫌いだ。
私はつぼみのように才能がある訳でも無いし、
さくらのように特別頭が良い訳でも無い。
それでも、自分を好きになりたいと思ってしまう。
だから、私はそのために他人を低くする。
つぼみの努力しないところだけを見て、彼女を貶す。
さくらを頭が悪いかの様にして、周りに見せびらかす。
でも、そうするほど私は汚れていく。
だんだんと私が醜くなっていく。
そして、私は更に私を嫌いになる。
負の連鎖だ。
変わりたいとは思う。
だが、方法がわからない。
私は頑張った。
本当に頑張った。
私を好きになるために沢山勉強して、沢山料理した。
でも、ダメだった。
これが生まれ持った差というヤツなのだろうか。
所詮、私は凡人。
さくらより勉強はできないし、
あめ君より料理もできない。
妬ましい。
私は皆が妬ましくて性がない。
醜いな。
そんなに優越感がお好きですか? 気持ち悪いですよ。
あの日、つぼみに言われた言葉が心によく響く。
そうだな。気持ち悪い。
そんな事はわかっているのだ。
それでも、私は変われない。
そうか。気持ち悪いって言われたのか。
私はもう、つぼみとは友達じゃないか。
あの時、つぼみは私をサキ"さん"と呼んだ。
何かのドッキリであってほしいが、
あれ以上、あの関係を続けていてもきっと何の意味も無かっただろうから、
現実でもあってほしい。
私はいつも曖昧だな。
私は何をしたかったのだろう。
自分を好きでいたいのに、何故逆効果と知っていながら他人を貶し続けたのだろう。
私は何かに惹かれていた気がする。
そうだ。
私は光に惹かれていたんだ。
つぼみさんはヲタクとしての自分を認められていて、
さくらさんはいつも明るくて、
たいよう君は自分を愛せていて、明るくて、賢くて、
格好良かった。
皆んな、輝いてた。
きっと私なんかが、あのキラキラした輪に居てはいけなかったんだ。
だから、これは私の罪への罰だ。
皆んなとはもう、お別れだ。
私は皆んなと関わってなんかいなかった。
知り合いですら無い。
そういう事にしよう。
あれ?
何で涙が出るんだろう。
止まらないんだろう。
辛いな。
私が何とかしなきゃいけない事何だ。
だって、私の問題だから。
それなのに、こう思ってしまうのはいけない事なのだろう。
誰か助けて。
「何か困った事があれば、気楽に連絡してよ」
いつだったか、そう誰かに言われた気がする。
その事を今思い出した。
名刺。
そうだ。
名刺を貰っていたはず。
財布から机まで、それらしい所は全て確認する。
あった。
名刺は棚の中で眠っていた。
私は携帯を取り出して、名刺に書かれた番号を打つ。
プルプルと携帯は鳴り響く。
そして、その音は止まった。
サキ
サキ
サキ