怖かった。 もう、私の前で誰かがいなくなってしまうのは耐えられなかった。 武道くん、本当にこれ以上したらあなたは死んでしまう。

視界がぼやける。 何回も経験したこのぼやけを私は知っている。 けど、それを認めたくはなかった。

武道くんの言葉に稀咲さんは銃を下ろした。 でも、次の瞬間…

ーーーーゴッ

稀咲さんが武道くんを殴った。 限界がきたのか、武道くんは起き上がることはできないみたいだった。 けど…

なんで…？ なんでそんなにボロボロになってまで戦えるの…？ そんな状態で死んだら元も子もないじゃんっ…

ドクンッ

足の力が抜けてその場に座り込む。 涙がアスファルトを濡らして、丸い跡がいくつも残っていく。 私はどこまでも最低だ… そう思いながら。