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桃赤 〜小さな君〜

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桃赤 〜小さな君〜

1 - 桃赤 〜小さな君〜

♥

980

2022年03月18日

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桃赤

まどろみの中ノックをする音が遠くから聞こえてきて重い瞼をゆっくりと開ける

…………んん…?

眠い目を擦りながらドアに近づくと低い位置からノックの音がして疑問に思いながらドアノブに手をかけて開く

にいちゃ…

俺は固まった

………………は、?

目の前には小さくなったさとみの姿

俺はなんちゅー夢を見ているんだ

そうツッコみたくなる程

しゃがんで視線を合わせると俺の腕の中に入ってくる

…どした、?

ねむれなくなった…

手を伸ばして抱っこしてと合図するさとみの頭を撫でた

夢ではなさそう

小さく暖かい背中に腕を回し抱き上げる

どうやら中身も幼くなっているのだろう

そのままベッドまで連れて行き毛布をさとみに巻く

小さい時から俺に甘えん坊のさとみはこういう時俺が離れるのを凄く嫌っていたことを思い出す

なんで小さくなったんだ、?

多分ころんの仕業かなぁ

いやジェルか?

なんて覚醒しきっていない脳を動かしながらさとみの背中をトントンと一定のリズムで叩く

…ん…にいちゃ…

ん?

返事をするが何も返ってこなくてそっと顔を覗くと瞼を閉じて静かに寝息を立てていた

寝言か…w

それでも背中を叩くのはやめずに俺は窓の外を眺める

時間は3:37

まだ起きるにも早い時間で横になろうとさとみを起こさないように一度離れ、布団に潜った

再びさとみに抱きつく

いつぶりだろうか

小さな彼を抱きしめるのは

今はもうその反対で俺が抱きしめられる方なのに

どこか寂しさを感じる

足りないものを満たすように強く彼を抱きしめた

目を覚まし、1番最初にさとみと目があった

おはよっにいちゃ

…うん、おはよう

頭を撫でると嬉しそうに擦り寄ってくる

夢じゃなかったんだと実感する

起き上がってスマホを手に取り、今日バイトの所にメールを送っていく

最後のバイト先にメールをし終わりさとみを抱き上げて部屋を出る

リビングに行けばもうなーくんが居て目を見開いていた

…どうしたの?

なんか分かんないけど小さくなったみたい

そう言うとなーくんは納得したかのような表情を見せてカップに口をつけた

さとみを床に下ろして朝ごはんを作ろうとキッチンに数歩進むがさとみに裾を掴まれ止められた

振り向いてしゃがむとさとみは「離れちゃや!」と言って頰を膨らます

あははw今日は俺が作るよ!

ごめんねぇ

そう言うとなーくんは「まっかせなさい!」と自信満々に言って、アホ毛を動かし周りに花を咲かせながらエプロンを着けた

俺はそんななーくんを横目で見つつさとみを抱き上げてソファーに座る

クッションを使って遊んだり、高い高いをしたりしているとガチャっとドアが開きるぅとくんところちゃんが入ってきた

2人はこっちを見るなり硬直する

……えさと兄?

ちっっっっっさぁ

数秒すれば2人は動き俺たちの前に来てさとみと視線を合わせている

するとさとみは目の前にいるころんの頰をぶっ叩いた

だれがちっちゃいじゃバカ

どうやら地雷を踏んだらしい

そんなころんは頰を押さえ思考停止している

え、力やば。え?

莉犬兄、さと兄は昔からこうなんですか?

うーん、そうだねぇ

その時家中に爆発音が響き渡る

…っ?!うわぁぁあああん

さとみはその音にビックリして号泣してしまった

膝の上に座っているさとみが腕を伸ばし、俺は脇の下に手を入れてさとみを抱き上げる

ヒックと喉を鳴らして泣き続けるさとみの背中を叩きながら爆発の張本人を待つ

おはよー!みんな

ジェルの明るい声とは逆に部屋の空気は寒い

あれ?どないしたん?

貴方のせいですよ

ジェルくん泣かしたー

ジェルくんは2人の指差す方を見る

ジェルもまた硬直した

ジェルでもないの…?

どないしたん?!さと兄!

泣き止んださとみの額と額がくっつきそうな程近づいたジェルにさとみは顔をグイッと押してイヤイヤと言っている

みんなご飯だよ〜

その声にころるぅとが目を光らせ、ダイニングに向かう

ジェルも2人について行く

さとちゃんご飯だって

…ん

ご機嫌斜めのさとみを抱きしめながら自分の席に座る

ちょ、ジェル

ころんの声にジェルは手元の醤油を渡す

双子って凄いなぁ

なんて思っているとなーくんが手に最後のお皿を持って席に着いた

はい!これさとみくんのね

なーくんの持ってるお皿にはさとみの好物の桃などの果物が小さく切られて置いてある

にいちゃ…

はい、あーんして

懐かしい小さなフォークを持って、刺した桃をさとみの口元に運ぶ

小さくて可愛い口が開かれ、パクッとフォークに刺さった桃が口の中に入る

おいし?

と聞けば大きく頷かれ、周りの空気がほんわかしている

本当に子供だ

こんなこともあるんやなぁ

2人の会話になーくんは眉を下げて笑うだけ

莉犬兄、僕もしてみたいです

隣に座るるぅとくんは俺の裾を引っ張る

どーぞ〜

手に持つフォークをるぅとくんに渡す

るぅとくんは1番下で、こういうのはした事がなかったからかとても興味津々になっていた

はい!さと兄

さとみは少し嫌そうな顔をするがるぅとくんのキラキラした表情に負けたのかパクッと果物を口に含む

柔らかそうなほっぺを動かして食べる姿はとても可愛らしい

俺も早く食べてしまおうと箸を持って卵焼きを口に運んだ

あ、莉犬くん今日のバイトどうしたの?

朝ごはんを食べ終わりソファーでさとみと遊んでいると最後の会社に行く準備をしているなーくんが声をかけた

もう連絡はしてあるよ

そっか、じゃあさとみくんの学校には俺が言っとくね

うん、お願い

ネクタイを締め終わったなーくんは「じゃあ行ってきます!」と言ってリビングを出て行った

その跡を2人で追って玄関の前で手を振る

いってらっしゃい!

らっしゃい…!

うん、行ってきます

なーくんはさとみの頭を撫でて、手を振りながらドアを閉めた

よし、さとちゃん。これからどうする?

遊びたい

じゃあ綺麗な状態で遊ぶ為にお掃除しようね

んー…うん!

さとみの手を握って玄関から足を遠ざけた

~ next ~

この作品はいかがでしたか?

980

コメント

5

ユーザー

マフィアパロ…楽しみ!最高でした!いつも思ってたんですけど、ほんとに言葉選び美味いですよね、もう、尊敬します。 ぶくしつです✨

ユーザー

投稿待ってましたぁぁ!続き見たすぎるので、いっぱい♡押します🐶

ユーザー

次に投稿するのはマフィアパロです!♡200〜 続きは♡400〜

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