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この家が大好きだから

第2話 - 転でまた転元親の死まで

2025年10月21日

#歴史

#長宗我部

#一部史実

#日本史

#歴史上の人物

#戦国時代

🌟金剛力士象🐘

数日後

岡豊城内

元親

…信親には…もっと
してやれたことが…

忠澄

元親様…気を確かに

谷忠澄(忠兵衛) 長宗我部家の家臣神主出身信親の遺骸を持って帰ってこいと命令を下された

元親

…信親の遺骸は？

忠澄

…遺骸は損傷が激しく

忠澄

荼毘にしてから…

元親

……っ！

バチンッ

忠澄

い゛ｯ…

元親

ワシは！

元親

そのまま持ち帰れと！

元親

言ったよな！？

忠澄

…存じております

忠澄

しかし…

バチッ

忠澄

……ｯ

忠澄

元親様の心労を考え…

元親

心労だ…？

元親

ははっ

元親

仕えてる人の命令を
無視するのがか？

バチンッ

忠澄

っ……

元親

ふざけやがって…

忠澄

元親…様…

元親

ワシがどれだけ…
信親を愛していたか

元親

お前が一番分かっていた
はずだろう…！？

忠澄

…

忠澄

…落ち着いたら話しましょう

跡継ぎの事を──

親忠

…ですって、聞きましたか？
親和兄上

親和

…あぁ、ばっちり

親和

話すも何も、次の跡継ぎは私だろう？

親和

年功序列なのだから、信親兄上の跡継ぎは私だ

親和

それに、私は秀吉から跡継ぎ認定の書をもらってるんだし

親和

今更何を話すというんだ…

親忠

さぁ…

親忠

ですが最近、父上は様子が
おかしいですよね

親和

あぁ、まるで気が狂ったみたいに暴力を振るってるな

親忠

忠澄さんもよく辞めない
ですよね

親和

それはな…あ、今ちょうど話してる人

親直

え〜〜それは大変やなぁ…

久武親直(内蔵助) 長宗我部家の家臣信用されていたものの長宗我部を破滅に導いたと言っても過言では無い

親和

あの人が関わってるらしい
どうやら父上があの人に依存し始めたとか

親忠

え、親直さん？

親和

知ってるのか？

親忠

ええ、昔に話したことがあって

親和

そうなのか

千熊丸

親和兄上、親忠兄上
何話してたんですか？

親和

ああ、千熊丸か

親忠

軽く跡継ぎの話を…

ガタンｯ

元親

…

忠澄

元親様っそんなのは
あまりにも…

親忠

…父上お体の方は？

元親

…全員いるな、よく聞け

元親

跡継ぎを決めた

千熊丸だ

親忠

…え？

千熊丸

？

親和

…っな

親和

何故ですか！？序列的に私でしょう！？

元親

決めた事だ

親和

殿下からの書だって…

元親

決めた事だ！！

親和

…っ

元親

……………

忠澄

…元親様、一度境内を
回りましょう？

元親

…分かったか？

もう変える気は無い

親和

………

親忠

………

千熊丸

…？

岡豊城周辺

親忠

…忠澄さん、酷い痣でしたね

親和

……そうだな

親和

…しかし父上のあれは

親和

どういう事だ？

親忠

…言葉のままの意味かと

親忠

し！しかし！

親忠

そんなの書を送った秀吉が許すでしょうか？

親和

…許すのではないだろうか

親忠

え？

親和

信親兄上が散ってから
父上の狂いようは秀吉まで
届いてる

親和

つまり、家が大荒れなのがバレている訳だ

親忠

…？

親忠

すみません、いまいち
分からなくて…

親忠

家が荒れてたら尚更
許さないのでは？

親和

荒れてる、統率が誰でも
取れないんだ

親和

当主が誰になろうと
戦力は変わらない

親和

内乱は時が経てば
落ち着いてくるだろう

親和

私が秀吉ならそう思う

親忠

兄上…

親和

だからといって千熊丸なのは納得がいかない！

親忠

えぇ、同感です

親忠

だって千熊丸ってまだ
十二歳…

親忠

しかも家臣から
聞きましたが…

親忠

千熊丸、かなりワガママなのでしょう？

親忠

なぜそんな…

親和

……まさか

信親兄上の娘と千熊丸を…？

親忠

…兄上？

親和

いや、まさか！まさかな

親忠

ど、どうされたんですか？

親和

すまない、あまりに
おかしな考えが浮かんで
しまった

親和

疲れているみたいだ

親和

少し部屋で休ませてもらう

親忠

で、では私もお供…

親和

いや、

親和

少し…一人にならせてくれ

親忠

……分かりました

親忠

津野家の方にいます
何時でも文を下さいね

親和

…わかった

数日後

津野家内

親忠

…ふぅ

親忠

だいぶ政治も
慣れてきましたね

親忠

…私のお家は

親忠

いえ、気にしなくても大丈夫ですよね

津野家家臣

殿、入ってもよろしいですか？

親忠

あぁ
構わないよ

津野家家臣

失礼しますこちら長宗我部家からの文が

親忠

ありがとう！
噂をすればってやつかな

親忠

……あれ

親忠

親和兄上からじゃ
ないんだ

親忠

…………え？

内容には親和が病気により数日前に死んだ事それにより内乱が激しくなった事家を継ぐのが千熊丸になった事

更に信親の娘と千熊丸の結婚が決まった事が書かれていた

親忠

どういう……事…？

親忠

私…全部知らされてない…

津野家家臣

………

親忠

親和兄上が…死…？

親忠

信親兄上の娘と千熊丸が
結婚って…そんなの…近親…

親忠

…はは

親忠

この家は
狂っちゃったんだね

津野家家臣

殿…

親忠

…さぁ、政治をしようか

親忠

いつまで下を向いてても
滅ぶだけですものね

1592年辺り朝鮮出兵が盛んになっている頃

親忠

…私も朝鮮出兵に？

津野家家臣

えぇ、どうされますか？

親忠

ふふ、拒否権が無いことくらい分かってる癖に

親忠

行きますよ

親忠

…この家には沢山の迷惑を
かけてしまいましたね

津野家家臣

っそんな！

津野家家臣

敬語など
使わないで下さい！

津野家家臣

我々は親忠様に何度も救われて来ました

親忠

そう言ってくれるとは…

親忠

ふふ、
本当に優しいのですね

親忠

大丈夫ですよ
無事にまた帰りますから

津野家家臣

…我ら残る人は殿を見送る
事しかできません

津野家家臣

どうか…ご無事で

1997年朝鮮出兵にて

親忠

うぅ、やっぱり慣れない土地は辛いなぁ…

家臣A

殿！合流する軍が見えてきました！

親忠

あぁ…え！？

高虎

おや、親忠殿！

親忠

わぁ！もう会えることなどないと思っていました！

高虎

ええ！私もです！

高虎

まさか親忠殿と
一緒だとは！

親忠

知らない土地で知ってる人と出会えて…
あぁ…良かったぁ…

高虎

……親忠殿

高虎

つかぬ事をお聞きしますが

高虎

実際、朝鮮出兵ってどう思いますか？

親忠

…あまり乗り気では
ありません

親忠

ようやく平和を掴み取ったのに、次は島の外なんて…

高虎

…そうですよね

高虎

…仕方ない、できるだけ被害を少なく終わらせましょう

親忠

はい…そうですね…

その後、藤堂高虎と長宗我部家は武功をあげ素晴らしい活躍と称されているなお親忠の記述は見当たらない

親直

……なーんか腹立つなぁ

朝鮮出兵後岡豊城外

親直

あのぅ、元親様〜？

元親

ん、親直か

元親

何かあったのか？

親直

高虎と親忠殿が話しているのを聞いたのですが

親直

どうやら、親忠殿は兄なのに家督を継げなかった事をまだ恨んでるそうでっせ？

元親

…なんだと？

元親

それは本当か？

親直

えぇ、ごっつほんまですよ

親直

怖いもんですわぁ、武功をあげて当主を変えてもらおうなんて

元親

…あぁ、
やはりそうだったのか

元親

どうりで藤堂と仲がいいわけだ…

親直

やはり怖いですねぇ

親直

もう

殺すしかないんじゃないですか？

親忠

(………)

1599年関ヶ原の戦いの1年前

親忠

兄上の墓参りは済ませたし

親忠

朝鮮出兵も終わって…

親忠

これから日の本はどうなるのでしょうか…

親忠

長宗我部家は…

親忠

…いえ、今となってはどうでもいい

親忠

今すぐ京に出奔しよう

親忠

もうこんな家など、私の愛していた家ではない…

ドタドタドタ…

家臣A

おい！いたぞ！

家臣B

大人しくしてくださいね、痛くはしなくない

親忠

なっ…！

親忠

皆さんに…父上…？

元親

…お前が出奔の準備をしているのは前から気づいていた

元親

外から滅ぼすのだろう？この家を

ドゴッ

親忠

うぁ゛っ…

元親

お前も裏切るのだな

親忠

父……上…？

元親

もうこれ以上ワシを不安にさせるなよ

元親

出奔？馬鹿げてる

親忠

私はっ！
もうこんな家などっ！

元親

黙れ!!

元親

…まだ殴られたいか

親忠

ｯ…

親忠

…息子殺しになりますよ

元親

…なんだその目は

元親

殺すと思っているのか？

親忠

だって…親直殿と…

元親

ん？…あぁ、聞いていたのか

元親

息子にこれ以上死なれて
たまるか

親忠

……じゃあ…つまり

幽閉だ

元親

…分かったら大人しく
ついてこい

元親

ワシだって
もうこれ以上拳を振り上げたくないんだ

親忠

………はい

1599年7月

幽閉中

親忠

(…息苦しい)

家臣A

親忠殿、失礼します

親忠

…はい

家臣A

口頭でお知らせ致します

元親様がご逝去されました

親忠

…あぁ

親忠

……そう…ですか

親忠

では正式に千熊丸が長宗我部当主になったのですね

家臣A

…悲しくないのですか？

親忠

悲しくない風に
見えるのですか？

家臣A

っ…すみません

親忠

父上は確かに狂っていた

親忠

それでも私を幽閉に留めた

親忠

父上は私を
殺さなかったのです

親忠

そこには確かに愛があった

家臣A

……

親忠

…千熊丸

親忠

あ、もう今は盛親って
名前でしたっけ

親忠

盛親を裏から支えましょう

親忠

私は表舞台に立てなくてもいい

親忠

…ふふっ
私もこの家と共に狂って
しまってるのでしょうね

家臣A

……そうですか

家臣A

あぁ、あともうひとつ
報せが

そろそろ、大きな戦いがはじまろうとしているそうです

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