ハンカチ

僕は何故、何時も此処に来るんだろう

思い出のある訳でもない、

店が並んでいる訳でもないけど、

何処か見覚えがあって安心出来る場所

そんな僕の隣には今日は珍しく人が居た

隣、といっても2mほど離れているが、

彼は、此方には気づいてなかった

その彼の横顔を暫く眺めていると、

瞳が歪んできて、頬に一筋の線が入った

急に涙を流したものだから、吃驚してしまった

咄嗟に声をかけてしまったから、 何を話せばいいのかわかんなかったので とりあえず、持っていたハンカチを渡した

家にあった、お気に入りの motokiの刺繍が入ったハンカチ

いつ買ったのか、または貰ったのか、 覚えていないけどずっと大切にしている

ハンカチを丁寧に受けとって、少し後ろを向いて 涙を拭う彼

此方を向いた時には

目は赤かったが、頬の線は消えていた

僕にハンカチを渡しながらそう言ってくれた

別れ際、彼は何処か寂しそうな顔をしていた

なんでだろう、