私の家は豪邸で両親と姉の三人で暮らしていた
周りの印象はいったって普通の家族、喧嘩も小競合いもない仲の良い家族
確かに私以外はそうだった
両親は姉をとても可愛がっており、私はどうでもよかった
だから私は家を出た
昂夏
(出たは良いものの行く宛がない)
昂夏
(どうしよう…)
ドタッ
昂夏
キャッ
私は落ちていた石に躓き濡れたコンクリートの上に倒れ込んだ
昂夏
いったぁ…
電車賃だけを持ち家を出た私は住居から二時間以上かかるような町に辿り着いた
昂夏
(ここには私を"金持ち"と言う人はいな
い…)
い…)
男
あ、昂夏じゃん
こんな所で何してるの?
こんな所で何してるの?
何分位経っただろうか そんなことを考えていたら男に声をかけられた
昂夏
え…足枷?
彼は私が小学生の頃、高校生でよく遊んでいたお兄さんだ
足枷
昂夏、こんな所にいたら風邪引くぞ
っていうか家の人が心配する、帰れ
っていうか家の人が心配する、帰れ
昂夏
…やだ
足枷
…わかったよ、強制はしねぇ
一先ず風邪引かれっと困っから俺の家来い!
一先ず風邪引かれっと困っから俺の家来い!
昂夏
え…
そのまま力強い手に引かれて彼の家に来てしまった
昔はよく遊びに行っていたが彼の両親が他界してからというもの、気まずくなってしまうので合っていなかった
ガチャ
足枷
ただいまー
昂夏
…誰もいない…
足枷
うん、まあ
彼には私と同い年の弟と二個下の妹がいたはずだった
足枷
実はさ…
祖母
それで、足枷くん
この家をどうするか決めのかしら?
この家をどうするか決めのかしら?
足枷
…
祖母
貴方の両親がいなくなった今、この家の家賃は払えない
私の家に斗真くんと来る方が手っ取り早いと思うのよ
私の家に斗真くんと来る方が手っ取り早いと思うのよ
足枷
…いえ結構です、俺はこのまま就職して斗真と桐生がいつでも帰ってこれるように、この家を守り続けます
斗真
兄貴…
桐生
お兄ちゃん…
祖母
わかったわ
その代わり、斗真くんと桐生ちゃんは私達が預かります
その代わり、斗真くんと桐生ちゃんは私達が預かります
足枷
はい
足枷
ということだ
昂夏
へー
私が羨ましがっていたこの家にはもう四人もいなくまってしまっている
足枷
まあこの雨じゃ電車は当分動かないだろう、今日はしかたない、止まってけ
昂夏
わかった
足枷
部屋は…桐生の部屋使っていいから
足枷
お前の両親には俺が伝えておく
昂夏
いやっ!
足枷
え、
昂夏
それだけはだめ!
足枷
…わかったよ
なんか事情があるんだろう
雨に濡れたんだから聞くのは後だ、風呂入ってこい
なんか事情があるんだろう
雨に濡れたんだから聞くのは後だ、風呂入ってこい
昂夏
ありがとう
昂夏
やっぱり足枷の優しさは昔から変わってない
昂夏
口は悪いけどなんだかんだ優しい
昂夏
斗真と桐生ちゃん、帰ってきてほしいな…