コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
『ユウちゃん。ウソをつくのって、必ずしも悪いことじゃないと思うの』
そう言ったのは、誰だったろうか。
『その人が大事だからこそ、ウソが必要なこともあるから』
忘れるはずもない。
母さんだ。
かけがえのない、たった一人の、僕の母親。
いつも明るくて、おちゃらけてて。
ちょっと抜けてるところもあって。
……優しかった。
十数年以上、一つ屋根の下で一緒に暮らしてきて、母さんのことは全部知っていると思ってた。
『でもね』
だけどその時の母さんは……、何だか、僕の知らない人みたいだった。
その時の僕は、『先輩』と別れることになって、失意の底にいた。
ベッドに突っ伏し、枕に顔をうずめる僕。
母さんはその横に腰掛け、そっと、言葉を紡いだ。
僕に。
そして--自分自身に、言い聞かせるかのように。
『大切な人にウソをつくのが……苦しくて苦しくて、どうしようもなくなったら--』
その言葉の続きは、何だったろうか。
…--忘れるはずもない
スズ
ユウヤ
スズ
ユウヤ
あの後『MARINE&WALK YOKOHAMA』からクイーンズスクエア周辺まで移動した僕たちは、適当に周囲をぶらついた。
彼女の気の向くままに店を出ては入り、出ては入りを繰り返してから、コーヒースタンドでドリンクを買ってベンチでダベった。
僕はいつも通りコーヒー。
彼女はレモンやミントがゴロゴロ入ったレモネードを、これまた美味しそうに堪能していた。
今はみなとみらい駅からほど近い場所にある、臨港パークに来ていた。
ロケーション的に、ちょっとした散歩に使えるスポットなのだ。
そして気づけば、もうこんな時間だ。
ユウヤ
スズ
ユウヤ
スズ
広い石畳の歩道を挟み、左手には綺麗に手入れされた芝生。
右手には一面の海。
夜の散歩をする人はもちろんのこと、釣りをしにきている人なんかもチラホラ見受けられる。
ユウヤ
スズ
スズ
ユウヤ
スズ
立花さんと初めて出会ったのは、彼女のバイト先の居酒屋--『じん』だった。
部活の定例飲み会で行った時のことだ。
そこで紆余曲折あり、連絡先を交換することになって……後日、この近くでお茶をする運びになったのだった。
ユウヤ
スズ
ユウヤ
スズ
スズ
ユウヤ
スズ
スズ
スズ
ユウヤ
スズ
ユウヤ
スズ
スズ
ユウヤ
ユウヤ
立花さんと出会えたという意味では、もちろん最高の日だった。
だけどそれとは別に、思い出したくないこともあったりして--…
そう。
僕と立花さんの出会いのきっかけは--“キュウリ”だった。